パンク再生?

Satoshi Tsuruta 2017.08.14

伝統と破壊。

メンズファッションの源流である
英国の長い歴史の中で
幾度となく繰り返されてきたこの二極の対立。

インターナショナルギャラリー ビームスが
当初からその才能に惚れ込み
日本国内エクスクルーシブ(当時)で
バイイングを続けてきたデザイナー
NICHOLAS DALEYもまた
伝統と破壊の間を自由に往来しながら
自らのアイデンティティを探求する
若き表現者のひとりです。

ショップには
彼の最新コレクションが届きました。



ファクトリージャケット ¥77,000(+tax)
2プリーツトラウザーズ ¥63,000(+tax)

シェットランドウールを使用したツイードは
英国の老舗「MOON」社のもの。
表情豊かなサージグリーンが印象的です。




チュニックジャケット ¥87,500(+tax)
プルコードトラウザーズ ¥82,000(+tax)
ジュートベレー ¥36,000(+tax)

ダークトーンのチェック柄セットアップ。
この生地はヨークシャーにある
1931年創業の「MARTON MILLS」で
織られたものです。



ハイランドポンチョ ¥108,000(+tax)
ハイランドキルト ¥124,000(+tax)

フード付きのポンチョと
キルトを組み合わせたスタイル。
1864年創業、スコットランドの老舗
「HALLY STEVENSONS」が生産する
ヘビーなワックスコットンを使用しています。

特に、このキルト。
BARBOUR×1.5着分位あるんじゃないの?
というほどの重さ。
気合の一着です。




ハイランドジャケット ¥115,000(+tax)
3ポケットウエストコート ¥50,000(+tax)
フロントシンチトラウザーズ \85,000(+tax)
ジュートベレー ¥36,000(+tax)

再び「MARTON MILLS」製の
生地を使った3ピーススタイル。
ポケットのフラップなど
一部は
ワックスコットン素材です。

NICHOLAS DALEYの
2017年秋冬コレクションのテーマは
「BLACKWATCH」。


スコットランドのなかでも
高地地方(ハイランド)の民族文化と
密接に関係するタータン(チェック)に
焦点を当てたコレクションです。

ちなみに「ブラックウォッチ」とは
タータンの一種であり
上の写真の3ピースに見られる柄
(緑×紺)を指しています。

用途や目的によって細かく分類され
呼称が登録されているタータンですが
(数年前に日本の百貨店がオリジナルタータンを
制作、登録したことも記憶に新しいですね)
ブラックウォッチと言えば
代表的なミリタリータータン。
つまり軍用としても使われるタータンです。

そして、タータンと言えば…。





今シーズンのNICHOLAS DALEYの
コラージュによるイメージを見ると
伝統的なスコティッシュの肖像の中に
混じって
「PUNK」の影がちらちらと。


そもそもNICHOLASと言えば
2015-16の秋冬シーズンには
パンクレジェンド、ドン・レッツを召喚し
皆の度肝を抜くコレクションを発表しました。

※ビームスが初めて買い付けた
彼のデビューコレクションにも
レッツはモデルとして登場しました。



2015-16秋冬のショップウインドウ。

NICHOLASとカウンターカルチャーは
切っても切れない関係にあるようです。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ジャマイカ系英国人という
移民の血を継ぐ彼が
熱い想いを寄せるPUNKカルチャー。

上のコラージュにも登場する
ご存じジョニー・ロットン。
彼はアイルランド系の移民という
ロンドンにおいてのマイノリティでした。

故アレキサンダー・マックイーンにも
スコットランド系の血が流れていたと言います。
彼も自身のコレクションの中で
独自の配色のタータンを多用した一人です。

英国に於いて影の歴史を歩んできた
スコットランドのタータンに
彼らが身を包むとき
そこにはマイノリティに対する
共感と鼓舞の気持ちがあったのでしょうか?


・・・・・・・・・・・・・・・


そういえば、この秋冬。
当レーベル別注のアイテムで
こんなものがあります。






GEORGE COX 「EVERTON」 ¥45,000(+tax)
※こちらは11月入荷予定のご予約商品です。


数々のパンクスの足元を飾ってきた
GEORGE COXが
当レーベルのために
製作したこのシューズ。
EVERTON(エバートン)というモデル名も
同社の副社長が直々に命名したものだとか。


1971年、ヴィヴィアン・ウエストウッドと
マルコム・マクラレンが
キングスロードにオープンさせた
ブティック「Let It Rock」で人気を博していた
GEORGE COXのシューズ。


「クリーパー」と呼ばれる
ゴム底のコンビ靴が当時のテディボーイたちの
足元を飾っていた時代。
GEORGE COXのシューズも
また伝説です。


ファッション・パンクがリバイバルする、
とは言いませんが情報化社会に揉まれて
知らず知らず、すっかり白けてしまった心に
う一度火を灯すガソリン的な存在として
パンクが見直されることはあり得るでしょう。

パンクとは放送禁止用語を連呼することでも
体中に安全ピンを付けることでもありません。
その行為自体ではないのです。

破壊する相手は「体制」ではなく、自分自身。

自らを壊して終えて
チリや芥しか残っていない
もはや残骸ですらないようなものをかき集め
「これが俺なんだよね、へへへ」
笑ってみせるような感覚。


セックス・ピストルズ解散後、
ジャマイカへ飛んだジョニー・ロットンは
ドン・レッツらに注入された
強靭なダブビートとともにカムバック。


世間に押されたパンクロッカーとしての
烙印をあざ笑うかのように
結成したバンド名は
P.I.L(Public Image Ltd)
=公共イメージ会社。

ピストルズ時代とは全く異なる音楽性で
サウンドとしてのパンクを期待していたファンを
見事に、軽やかに裏切ってみせました。


Rockarchive.comより


期待はずれ上等。

タータンを身に付けて
開き直った笑みを浮かべている
この時代の彼のポートレートは
清々しさに満ちています。


自らのアイデンティティを
ふてぶてしく宣言した男が着る
タータンのかっこよさといったら。

ファッションが手軽な時代。
異常な服好きはもはやマイノリティ。

開き直りも必要です。

勝手にしやがれ、ですよ、ホント。




Tsuruta