Beyond~

Satoshi Tsuruta 2017.02.20

去る1月、
パリで開催された
ファッションウィークにおいて
最も話題を集めたものの筆頭に
Louis Vuitton×SUPREMEの
コラボレーションが挙げられることに
異論のある方は少ないでしょう。

リリースを待ちきれないファンたちの間では
早くも発売日や価格についての
憶測~詳細情報までが飛び交っているようです。

また、コラボと言えば
2017春夏コレクションのなかで
なんと全17ブランドとコラボしてみせた
VETEMENTSも忘れてはいけません。

いま最も勢いに乗るデザイナー
デムナ・ヴァザリアだけあって
BrioniからChurch's、
CANADA GOOSE、MANOLO BLAHNIK、
Reebok、Championに至るまで、
ジャンルレス、縦横無尽に
コ・ラボレートしまくっています。

で、コラボと言えば…。


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こちら。



「BEAMS beyond TOKYO」。
2016年に40周年を迎えた
ビームスが過去にコラボしてきたアイテムたちの
アーカイブを1冊にまとめた
ビジュアルブックが
去る2/14(火)に世界発売されました。

ビームスにとって記念すべきこの本。
出版元はなんとアメリカの
Rizzoli International Publications Inc.です。
僕が大いに影響を受けた
写真集「Jocks and Nerds」や
近年だとJames Sherwoodによる
「Bespoke」も同社によるもの。


Broadway,NEW YORKにあるRizzoli BOOKSTORE。
ウインドウを「BEAMS beyond TOKYO」が
飾っています。

ちなみに
日本のいち小売店のビジュアルブックを
Rizzoliが出版するのは初めてのこと。

肝心の中身はというと…。

もちろんクールかつ興味深い仕上がり。

当レーベル
インターナショナルギャラリー ビームスが
過去にコラボしたアイテムに絞って
ちょっとだけ覗いてみましょう。



<MONCLER×田名網敬一>

人気絶頂を誇ったMONCLERのダウンジャケットに
現代アートの巨匠・田名網氏が
ハンドペインティングを施すという衝撃の企画。担当バイヤーのサブカル感度が爆発しています。



<Sacai×International Gallery BEAMS>

人気ブランドSacaiのメンズデビューを記念して
ポップアップショップを店内にオープン。
その時の別注ストールは飛ぶように売れました。


<FALLAN&HARVEY>

世界中に顧客を抱え、
かのマイケル・ジャクソンの上着まで
仕立てた事のあるビスポークテーラーとの
コラボは足掛け20年以上に渡りました。
注文服屋に既製服を作らせて
ビームスの店頭で販売していたわけです。


<ami Alexandre Mattiussi>

パリ発の新進ブランドを
いち早くバイイングしていた当店は
同ブランドの本格的な日本ローンチに合わせて
パリにあるamiショップの内装を
インターナショナルギャラリー ビームスの店内で
再現する、という大規模プロジェクトを敢行。
それに合わせたコラボキャップは
クレイジーパターンに頭文字「B」という
実にビームスらしい仕上がり。


<COLIN TAUB>

オリジナルテッズに愛されたテーラーの
エドワーディアンジャケットを
現代的なバランスにアレンジ。
元にしたパターンは
当レーベルオリジナルスーツの
型紙でした。

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ちなみに冒頭の話、
Louis Vuitton×SUPREMEの
何が衝撃だったのか、というと。

昔から
ファッションブランドは
アイテム別に専業メーカーを使って
生産を行っており
「あそこのシャツはボレッリが作っている」
とか「靴はパラブーツ製らしいよ」
とか「ザンスというパンツメーカーがある」
とか、そういった話があったわけです。


で、セレクトショップは
ブランドショップや百貨店ではないので
例えばHERMESやLouis Vuittonを
仕入れてはこない。
こない代わりにそういった老舗メゾンの
製品を作っている工場で作られている
シャツや靴やパンツを仕入れてくるわけです。

世にいう「ファクトリーブランド」です。

ビームスも過去から現在にいたるまで
そういったファクトリーブランドや
専業ブランドとのコラボレートを
数多く世に送り出してきました。

そういった意味で
VETEMENTSのコラボは
ある意味セレクトショップ的、と
言えない事もない。

専業メーカーとコラボして各アイテムを
(Championにスウェットを、
CANADA GOOSEにダウンジャケットを)
作らせている、という点においては。

で、Louis Vuitton。
(いまは巨大ファッションブランドですが)
そもそもは老舗のバッグ専業メーカーが
ストリートでカルト的人気を誇るとはいえ
「専業メーカーでもなんでもない」
ファッションブランドのSUPREMEとコラボした、
という点でビックリなわけです。

まるで
SUPREMEがLouis Vuittonに
バッグを作らせたかのような
逆転現象が起こったのです。


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今の時代において
コラボレーションは
もはや当たり前の時代。
それもファッションに限った話ではありません。
コインランドリー併設のバー、とか。

人々が期待するのは
その根底にある「らしさ」のようなもの。

なぜ、ビームスがプロデュースした
Fallan&Harveyの既製服は
ツイードの上着を1つボタンで
オーダーしたのか?
英国人のハンティング用ではなく
日本人のファッション用だから、です。

なぜ、MONCLERのダウンに
田名網敬一なのか?
当時、爆発的人気を誇るMONCLERの
コラボモデルを手がけていた担当バイヤーが
「完売必至ダウン」と「サブカルダウン」
を同時にプロデュースすることで
ファッションのバランスを取ったから、です。

日本は黒船以降の時代に
西洋の衣服を取り入れた
20世紀のファッション新興国。
21世紀にファッション先進国と
呼ばれるようになりました。

この根底には
「0を1にすることはできないけれど
1+1を3にする編集能力」と
「あこがれの対象について
徹底的に調べ上げる勤勉さ」
がありました。

ファッションにおいて
新たな発明無きこの時代に
この「日本人的」手法は
海外のデザイナーにすら影響を与えており
昨今のコレクションウィークで頻発する
コラボ祭りはその最たるものとも言えます。


Louis Vuittonのディレクター
キム・ジョーンズが仕掛けた
掟破りの(?)コラボで幕を開けた
ポスト・コラボ時代。

セディショナリーズのコレクターとしても
知られるキムは
マーク・ジェイコブスのDNAを受け継ぐ
パンクオタク。

時代を激しく扇動し
マルコム・マクラレンよろしく
ニヤリと笑っているのではないか?
なんて考えてしまいます。

先日ご紹介した
BASSCOUTUR NIUKUも
発売と同時に完売間近。
NIUKUの考える
パリ「らしさ」が詰まった
リメイクアイテムに
多くのお客様が共感してくださいました。

どうやら1+1を3にする時代は
ある到達点を迎えようとしています。

何をかけても0にしてしまう
「0」の時代、
すなわちパンク再生までは
もう少し?か。




過去のコラボをアーカイブすることで
40年の総決算を果たしたビームスが
そしてファッションがこの先向かうべきは
「beyond TOKYO」=「東京的視線」の
さらに向こう側(beyond)。

そこには言葉では言い表せない
(beyond discription)
世界が待っていると信じてみたくなります。




Tsuruta