Jason Takala × BEAMS PLUS

ホピ族を代表するジュエリーアーティストとしてその名を馳せる<Jason Takala(ジェイソン・タカラ)>。歴史を継承しつつ、オリジナリティ溢れるデザインを長年作り続ける氏と<BEAMS PLUS>とのコラボレーションは、40周年に相応しいスペシャルピース。氏がこの世界に入ったのは奇しくもBEAMS創業と同年の1976年。同じ時間を歩んできた両雄だからこそのコラボレーションアイテムは、マスターピースとして後世にその名を残すはず。

取材協力/LONGBRANCH http://www.longbranch-co.jp/

「異なるモチーフを5つ並べたスペシャルデザインです」



はじめに、アーティストとしてのキャリアを教えてください

「1976年にホピのジュエリーアーティストであり、私の叔父である<Bernard Dawahoya(バーナード・ダワホヤ)>の手伝いをしたことが、この世界に入ったきっかけです。その後、私のもう1人の先生である、フランス人宝飾作家の<Pierre Touraine(ピエール・トゥレーヌ)>の元で学びました。彼は、元々ヨーロッパの貴族などに宝飾品を作っていた方で、その後アメリカに渡りヨーロッパの宝飾品製造技術を教授されていました。通常ホピのジュエリーは、ギルドと呼ばれる自治団体で学ぶのですが、私の場合はダワホヤ氏だけでなく、トゥレーヌ氏から学んだことで、様々な要素を取り入れることが多いです。もちろん、それは今でも生かされています」

今回の別注モデルを製作するに至った経緯とは

「<BEAMS PLUS>のバイヤーをされている若松さんから、オファーをいただきました。コラボレーションは、35周年の時も作らせてもらったので、今回で2回目になりますね。今回若松さんからのオーダーは『異なるモチーフを5つ並べたバングルとリングを作りたい。そして、今までで一番のスペシャルなデザインを』というものでした。もちろん快諾しました」

<Jason Takala × BEAMS PLUS> Prayer Ring ¥128,000(+tax),Bangle ¥298,000(+tax)



別注モデルならではのこだわり

「通常私がデザインするジュエリーは、中央に“Man in the Maze(マン・イン・ザ・メイズ)”を置き、左右は同じモチーフにしてシンメトリーにデザインすることが多いのですが、今回のように異なるモチーフを並べて、アシンメトリーするというデザインは、とても特別であり、新しい感覚でした。“マン・イン・ザ・メイズ”以外の4つのモチーフは、10個の候補の中から、私が選びました。“レインクラウド”、“フルートプレーヤー”、そして“サンフェイス”と“イーグル”です。すべてのモチーフには意味が込められているので、それらをひとつのストーリーにしています。4つともホピのジュエリーの中ではポピュラーなモチーフなので、ドリームチームのようなデザインに仕上がりになり、私自身も満足しています」

【RAIN CLOUD / レインクラウド】

「その名の通り、雨雲のことです。元々ホピ族では、ドライファーミングという水を与えない方法で現在もトウモロコシを栽培しています。そのため雨による水分がとても重要になるため、このようなモチーフが生まれました」

【SUN FACE / サンフェイス】

「このモチーフは、太陽です。私たちホピ族は、太陽を父として崇めています。それは、物の創造主で絶対神であり、遠い宇宙に存在する神が、我々の暮らしを見守っていると言われています」

【FLUTE PLAYER / フルートプレイヤー】

「このフルートプレイヤーは、ホピのカチーナ(精霊)の一柱で、笛を吹くことで、雨を降らせて五穀豊穣をもたらしたり、子宝などの幸福をもたらせる力があるとされています」

【EAGLE / イーグル】

「生物の中で最も高く飛ぶといわれるイーグルは、インディアンにとって、とても大切な生き物とされています。また人間の願いを神に届けるメッセンジャーとして、雨をもたらす貴重な存在ともいわれています」

【MAN IN THE MAZE / マン・イン・ザ・メイズ】

「ホピに伝わる古い意匠のひとつで“人生において迷うことがあっても、いつしか正しい道に辿り着く”という意味が込められています。さらに東西南北や第4の世界、そして輪廻転生といった意味もこのモチーフには含まれています」

「色々な人に私の作品をつけてもらいたい。それが私の喜びだから」

デザインをする上でのこだわりとは

「ホピのジュエリーはオーバーレイと呼ばれる技法がほとんどです。オーバーレイを簡単に説明すると、2枚のシルバー・プレートを重ねて作る技法で、上のプレートにデザインを描いてジュエリー用のノコギリで切り抜き、それを下のプレートと銀ロウで溶接し貼り合わせています。私の場合、絵柄が入る上のプレートはすべてフリーハンドによるものです。これは高い技術を要するものなので、フリーハンドで作っているアーティストは決して多くないと思います。また常日頃からモチーフを作り続けているので、様々なデザインをこの世に送りだしてきました。同じホピのアーティストの中には、私のデザインしたモチーフを模倣する人もいます。あまり気分はよくありませんが、それよりも私は新たなモチーフを作り続けて、日々進化し続けたいと思っています」



ファッションとしてあなたのジュエリーをつけている人も多いです

「一過性であるファッションアイテムとして、ホピのジュエリーを身につけることについては、やはり色々な意見があります。しかし私は、部族や性別、そして国籍などにとらわれることなく、色々な人につけていただきたいと思っています。これはジュエリーを作り続けている理由でもあるのですが、1人でも多くの人に私のジュエリーを身につけていただくことが、私の一番の喜びだからです。お気づきかもしれませんが、私はほとんどジュエリーを身につけません。それは、そんな理由からです」


今後やってみたいこと

「昨年、私の息子である<Jason Takala Jr.(ジェイソン・タカラ・ジュニア)>が、ホピのジュエリーアーティストとしてキャリアをスタートさせました。まだチェーンなどしか作っていないのですが、近いうちに彼と共同でひとつのアイテムを作ってみたいです。そして、私自身の目標としては、身体の許す限り、私にしか作れないジュエリーを作り続けていきたいです。それが、ホピのアーティストであり、私の喜びなので…」

PROFILE

<Jason Takala> ホピ族 シルバースミス ジェイソン・タカラ

制作活動をスタートしたのは、今から40年前の1976年。修行を重ね、1980年に独立。“人生は色々あり苦しむ事もあるがいつか必ず抜け出せる”という意味をもつ『Man in the Maze』をメインモチーフにし、今ではホピ族を代表するアーティストの1人としてその名を馳せる。

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