設計、デザインのプロ(それでいてレコードコレクター)が語る <Type>のレコードシェルフと<THORENS>のレコードプレーヤーの魅力

近年、ますます注目を集め、リリースも増加しているアナログレコード。レコード自体は好みの音楽を選べばよいわけですが、それを収納する家具や、レコードプレーヤーは何を基準に選ぶべきなのでしょうか? そんな疑問を「設計事務所ima」共同主宰者でありレコードコレクター、DJとしても知られる小林恭さんにぶつけてみました。デザイン、設計のプロという視点と音楽好きの視点、双方から<soui woodworks>の<Type>に別注したレコードシェルフと、スイスの名品<THORENS>のレコードプレーヤーの魅力を解き明かしてゆきます。また、<soui woodworks>の神保哲也さんにもご登場いただき、作り手としての意見もお伺いしています。

レコード・コレクションに合わせて増やすことができるのは魅力的

—<BEAMS RECORDS>では、レコード、CDといった音楽ソフト以外にオーディオ類やオーディオアクセサリー、レコードを持ち運ぶためのバッグなどを取り扱っているのですが、今回新たにオーダーメイド家具を手がける<soui woodworks>さんにお願いして、オリジナル家具のブランド<Type>に別注するというかたちでレコードラックを制作しました。ご覧になってみて印象はいかがですか?

Takashi Kobayashi(以下、T.K) すごく使いやすそうですね! レコードってどうしても増えていってしまうものだと思うのですが、これはひとつのユニットを積み重ねていけば大きな棚になりますよね。コレクションの量に合わせて増殖していけるのがいい。縦置きでも横置きでも使えるんですよね?

Tetsuya Jimbo(以下、T.J) はい。縦横の比率が同じなのでどちらでも大丈夫です。

T.K:この黒皮鉄のパネルも縦横差し替えられると。

T.J:そうですね。横に挿せばCDやカセットテープなんかも収納可能と思います。

—小林さんがこうした家具を見る場合、どういうところに着目しますか?

T.K: レコードを入れるとなると、棚に負荷が相当かかるのでこのくらいのグリッドで組んであるのは信頼できますね。それと黒皮鉄の板がいいアクセントになっているんじゃないかと思います。後ろ側は有孔ボードで、部屋の真ん中に置いても雰囲気を壊さないのもいいですよね。有孔ボードは音楽室とか視聴覚教室の壁みたいな感じもあるので、音楽好きの人にはぴったりです。個人的にもラワン合板と黒皮鉄と有孔ボードの組み合わせは好きですね。

—こちらを作るにあたって神保さんが考えたポイントはどんなことでしょう。

T.J: これは僕らの家具全般についていえることなんですが、あまり恰好よくなりすぎないように、どこかに野暮ったさをあえて残すというのを狙っています。たとえばラワンの積層を見せる側と見せない側があったりするのもそうしたところからです。ただラワン合板って色の調子がまちまちで、そこを考えないで作ると、ひとつのユニットでがちゃがちゃとした印象になってしまいますから、そのあたりは注意していますね。

T.K: 確かにラワンはものによって赤っぽかったり黄色味がかっていたりと個体差がありますけど、このシェルフをいくつか組み合わせたときはそれもまた面白さにつながると思います。交互に縦置きと横置きにすれば、積層面とそうでない面がいい感じにリズムを生み出してくれそうです。

—小林さんなら、どんな使い方を提案しますか?

T.K: あえて横置き一段の高さにして並べ、その上にクッションを置いたらベンチ的にも使えますね。

T.J: 縦置きならば二つの間を空けて天板を載せ、椅子を置いたらデスクにもなります。

T.K: いろいろな使い方ができるのはユニットならではですよね。

T.J: 賃貸マンションなんかだと、いいところにコンセントがなかったりしますよね。それでテーブルタップを使って引っ張ってくることになるんですけど、この天板はシェルフの奥行よりも少し長さをとっているので、そうした配線を裏側にまとめることができるのもポイントです。

T.K: そういう配慮があるものってないわけじゃないんだけど、どれもちょっとやりすぎていて、かえって使い勝手が悪いこともある。その点これはユーザーの自由度が高いのが嬉しいですね。シェルフひとつのサイズならエレベーターにも載るし玄関も簡単に通せるから引越しする際にも困らなそうです。

繊細でまろやか。小さな音でも細部まで聴こえてくるのがいいですね

—続いて<THORENS(トーレンス)>のレコードプレーヤーを実際に使ってみていただこうと思います。ご自身のレコードも何枚か持ってきてくださいましたので、音の聴き比べもしてみましょう。

T.K: デザインは恰好いいですね。使い勝手はどうですか?

—慣れれば簡単ですよ。シンプルな構造ですし。

T.K: 音の方は繊細な感じですかね。今聴いているジジ・マシンのような静かな音楽向けというか。

—あんまり誇張される部分がなくて素直な音ですね。

T.K: ストリングスが入ってる作品を聴いてみましょうか(ジョアン・ジルベルト『Amoroso』を試聴)。

—このアルバムのクラウス・オガーマンの弦は結構キラキラと存在感があって、前に出てくる印象があると思うんですが……。

T.K: <THORENS>で聴くと比較的マイルドに聴こえますね。馴染むという感じがします。レイ・ハラカミの『lust』はどうでしょうね?(と、レコードをターンテーブルに載せて)お! ちょっとまろやかになってこれはこれで気持ちいいですね。ボーカルものも聴いてみましょう。

—ベン・ワット『North Marine Drive』! 最高の名盤ですね。

T.K: これは<THORENS>で聴くとかなりいいですね! 透明感があってまさにノース・マリン・ドライヴって音です。

—何枚かアルバムを聴いてみて、いかがでしたか?

T.K: 異なる時代やジャンルのレコードを持ってきて聴いてみましたが、どれも同じ気持ちで聴くことができました。繊細ではあるけれど穏やか、まろやかという感じでしょうか。そういう意味ではホーム・リスニングにはいいと思います。今回、そんなにボリュームを上げずに、家で聴く感じに近い音量感で試してみましたが、ちょっと小さい音でも気持ちよく聴こえるのは実にいいですね。ディテールもしっかり出ているし。聴いた中ではベン・ワットが一番しっくりきましたね。録音の空気感が再現されているという印象でよかったです。

小林恭(こばやし・たかし)

1966年神戸市生まれ。1990年、多摩美術大学インテリアデザイン科を卒業後「カザッポ&アソシエイツ」に入社。1997年に退社し、建築、デザイン、アートの勉強のため半年間渡欧。帰国後、1998年にパートナーでもある小林マナと「設計事務所ima」設立。物販、飲食のインテリアデザインを中心に、プロダクトデザイン、住宅建築なども手掛けている。また渋谷「カフェ・アプレミディ」などでDJとしても活動。現在所有するレコードは6、7000枚だそう。 http://www.ima-ima.com/

神保哲也(じんぼ・てつや)

2011年設立のオーダーメイド家具を主に手がける<soui woodworks>代表取締役。埼玉県川口市の工房にて生み出される家具は、質実剛健でありながらどこか「抜け感」のある表情からファンも多い。最近ではオーダーメイド家具に加えて、<Type>というブランド名でオリジナル家具の展開も開始した。 http://soui-w.com

soui woodworks

<TYPE>レコード シェルフ ¥37,000(+税)
サイズ:W360 × H720 × D360 mm
※写真はレコード シェルフを4台並べています。

THORENS

1883年にスイスのサントクロアでオルゴールの製造を発端に創立し、100年以上もの間“音の精密さ、響きの良さ”にこだわったオーディオ製品を発表してきたターンテーブルの最高峰メーカー。創立以来こだわり続ける伝統のベルトドライブ駆動方式による安定感のある瑞々しいサウンドは、今なお多くのオーディオファンを魅了している。
<THORENS> TD235 ターンテーブル ¥149,000(+税)
※フォノアンプ内蔵のTHORENS TD235EV ターンテーブルも販売しています。

お気に入り