「絵画保存修復家 岩井希久子と私たち」

「絵画保存修復家 岩井希久子と私たち」

Information

B GALLERYでは初となる絵画保存修復家、岩井希久子の仕事を紹介する展覧会。ゴッホ、モネ、ピカソ、レンブラント、ウォーホルといった世界中の名画を修復してきた岩井希久子がこれまでに携わってきた膨大な仕事の中から代表的なものを3つ抜粋し、紹介します。

1つ目は、ゴッホの『ひまわり』の修復作業風景を記録した映像を公開。貴重な修復現場をご覧いただきます。2つ目は、ベトナムを代表する絹絵画家、グエン・ファン・チャンのダメージを受けた絹絵と、岩井希久子の手による修復作品の両方を展示。2011年に金沢21世紀美術館で開催された「ベトナム絹絵画家 グエン・ファン・チャン絵画修復プロジェクト展」の続編です。3つ目は、東日本大震災の記憶を風化させない為に、津波被害にあった銅版画を発見当時の泥だらけの状態のまま岩井希久子が保存を施した作品を展示。修復家人生で初めて自ら修復を名乗り出た、酸化から作品を守るプロジェクトです。

また岩井希久子が自らの手によって生み出してきた修復用の道具をはじめ、日本の職人たちによって大切に守られてきた、美しく質の高いモノづくりの背景なども併せて紹介します。この展覧会が、美術品を中心とした保存修復の諸問題や課題の共有と、人類の文化遺産を未来に残すきっかけに繋がりますように。

 

岩井希久子(いわいきくこ) / 絵画保存修復家

1955年8月15日熊本市生まれ。(有)IWAI ART保存修復研究所 代表取締役。父親が熊本県立美術館建設準備室長をしていた関係で、絵画修復の仕事と出会う。80年に渡英し、ロンドンのナショナル・マリタイム・ミュージアムで修復技術を学び、84年に帰国。以後、フリーランスとして、モネ、ゴッホ、ピカソといった名画の修復を手けるほか、現代アート、セル画など多様な表現の修復にも挑む。また、国際巡回展などで出品作のコンディションチェックの仕事も数多く担当。89年、有限会社岩井絵画修復(現・有限会社IWAI ART保存修復研究所)を設立。93年、小山敬三美術振興財団海外研修を受賞し渡米。「絵にやさしい修復」を理念に、98年からロンドンのテート・ギャラリー(現テート)に研究を持ち込み、絵画をエイジングさせない「脱酸素密閉」という作品保存方法を開発。このほか日本の職人の技術を生かした修復を行うなど、独自の修復技術をつねに探求し続けている。2012年度佐倉市民栄誉賞受賞。主なテレビ出演として、『NHK プロフェッショナル 仕事の流儀「母の覚悟で、ピカソに挑む」(2010年)』、『NHK BSプレミアム 旅のチカラ「幻の絹絵よ!よみがえれ 絵画修復家 岩井希久子 ベトナム・ハノイ」(2011年)』。主な著書として、『モネ、ゴッホ,ピカソも治療した絵のお医者さん 修復家・岩井希久子の仕事』(美術出版社/2013年)、『ソリストの思考術 修復家・岩井希久子の生きる力』(六耀社/2014年)。現在、修復センター設立を計画中。
日本に修復センターをつくる会