1977年生まれ。栃木県出身。学生時代に地元宇都宮のセレクトショップにてバイトをし、2000年BEAMSに入社。「ビームス プラス 原宿」のオープニングスタッフとして参画し、オリジナル商品の企画やバイイングなどに携わる。その後、2012年よりBEAMS PLUSのディレクターに就任。現在はBEAMSのメンズ統括ディレクターとして多忙な日々を送る。
1983年東京都出身。中学、高校をドイツ、大学をアメリカで過ごしサッカー三昧の学生生活を送る。帰国後外資系企業でのヘッドハンターを経て、THE NORTH FACEに入社。以後マーチャンダイザーとしてアパレル企画を担い、日々THE NORTH FACEの未来を模索している。「ONE LIFE, ONE CHANCE」という言葉を胸に常に探求する事を目指し、いつかアメリカのヨセミテ国立公園にあるハーフドームの北西壁を登る事を夢見る。
―――まず初めに<THE NORTH FACE>とBEAMSがコラボレーションをすることになった経緯を教えてください。
中田:元々はBEAMS40周年のタイミングで、一緒に何かできないかと思い、僕らからご相談させていただいたんです。ただ<THE NORTH FACE(以後、TNF)>本体はアウトドアを目的としたコラボレーションしかやっておらず、ファッション畑のBEAMSとの協業は難しいということで、残念ながら玉砕しました(笑)。ただ、その1年後にTNFさん側から逆にオファーをいただいたんです。若い世代の方がアウトドアを通して、ヒト、モノ、そしてコトをフォーカスしたコンテンツを一緒にやりませんか、と。あの時は嬉しかったなぁ。
山下:アウトドア業界だけに限らず若者たちが外へ出る機会が減っている今、どうやって彼らを外へ連れて行けるんだろう、と僕らはずっと考えていたんです。若者たちにとって何がフックになるのか、と。そこで、ファッションやアートなどカルチャーの要素に長けている会社と協業することがベストなのではと思ったんです。それでBEAMSさんにご提案させていただきました。ファッションや音楽だけでなく、カルチャーの要素をもっていて、さらにアメリカっていう背景も2社の共通点としては重要でした。
中田:アウトドア・アクティビティをスタイリッシュにできたら、よりハッピーなことだし、もっと楽しくなるんじゃないかと。そのためには、アウトドアをギアという捉え方だけでなく、ファッションという観点からも捉えることが大事だと思ったんです。
山下:例えばですけど、「ヒマラヤンパーカ」が8000メートル峰を登るために作られた商品であることを知らずに、ただカッコイイというだけで着ていらっしゃる方もいると思うんです。もちろんそれはそれで嬉しいことなのですが、「ヒマラヤンパーカ」が何のために作られたのか、そしてどんな機能を備えているのかを知った上でかっこよく着てもらったら、それがベストですよね。
―――そういった経緯があり、2017年の秋冬にコラボレーション・アイテムをリリースされました。
山下:はい。写真撮影の方法で“DOUBLE EXPROSURE(ダブルエクスプロージャー)”っていう1コマの中に複数の画像を重ね写し込むという技術があるんですが、この言葉をテーマにプロダクトを展開しました。要は山でも街でも着用のできるウエアということです。
中田:おかげさまでどのアイテムも大好評だったんですが、ただ販売するだけではいつもと変わらないので、実際にこの時に製作したプロダクトを着て瑞牆山(みずがきやま)へ登山に行ったんですよね。その時に、改めて機能性の高さに感動しました。それと同時に、アウトドアの面白さや素晴らしさをお客様に伝えたいという気持ちが強くなりました。こういう点が今のファッション界には欠けていると思うし、それらを伝えるのが僕らの役目だなって。
―――そこで今回マウンテンフェスティバルを開催されたんですね。
山下:ヨーロッパでは既にTNFによって開催されているのですが、かなりのアウトドア経験者向けで、もっと日本ならではの解釈ができるのでは?と思ったのがきっかけです。
中田:みんなで瑞牆山へ行って、実際にアウトドアを体験した時に、もしかしたら今までにない新しいフェスができるんじゃないかって思ったんです。様々な体験型のアウトドア・アクティビティがあって、好きな音楽が聴けて、みんなでキャンプをして。こういうイベントからアウトドアの面白さや音楽の素晴らしさを一人でも多くの人に知ってもらえたらって。日本では初めてだと思うし、一人でイベントのことを考えてたら勝手にワクワクし始めてました(笑)。ただ、イベントのコンテンツを決める時は、色々大変でしたよね(笑)。
山下:そうですね(笑)。場所の選定や食事などに対して、かなりじっくり話し合いました。若い人たちがどうやったらアウトドアを楽しんでもらえるか、ということが一番の大事なポイントであることはもちろんわかっていたのですが、やはりお互いの考えるイベントの本質的な部分において、譲れない部分もありましたから。ただ、そういった話し合いがあったからこそ、今までにないイベントをすることができ、さらに良い意味で今までのアウトドアに対する概念も広がった気がします。
―――では、実際にイベントを開催されたご感想は?
中田:大成功でしたね。僕自身、アウトドア・アクティビティってこんなに面白いんだと今回のイベントで実感しましたから。アウトドアってギアを揃えるっていう億劫さがあったんですけど、そんな考えは一蹴しましたね(笑)。むしろ今回体験したことでテントや寝袋が欲しくなりました(笑)。参加された方々もきっと同じような感想だったと思います。残念ながら、雨も降りましたけど、それはそれでアウトドアならではの色々なシチュエーションを経験できてよかったんじゃないかと思っています。それでいながら、ライブが始まる前には嘘のように雨がやんでくれて一安心でした(笑)。
山下:ライブといえば、Yogee New Wavesは良かったですね。音楽はもちろんなんですが、やはり若い方々からの支持もありますし、何より彼ら自身もアクティビティを体験してくれたのはとても嬉しかったです。ライブをやって終わりではなく、キャンプもして、一緒に泊まってくれて、とても最高でした。
中田:そうですね。アウトドアのイベントだと、ギアを見せ合ったりすることもできるじゃないですか。そういうのって音楽フェスにはないシーンなので、マウンテンフェスティバルからはそういった面白い可能性も秘めているのではって思いました。普段アウトドアのイベントに携わられている山下さんからは、今回のイベントをどう感じましたか?
山下:アウトドア初心者の方々が実際に色々なアクティビティを体験されて、アウトドアの楽しさを知っていただいたことは、とても良かったと思います。それがこのプロジェクトの最たる目的でしたので。これを機に、もっとアウトドアを好きになってもらえたら嬉しいですね。
―――ちなみに次のイベントは企画されているんですか?
山下:次回は、雪山を予定しています。非日常的な環境をテーマに少人数で行う冬のアクティビティを企画中です。
中田:雪山に対応するアイテムをまたTNFさんと制作しましたのでそちらも楽しみにしていて下さい!