出会えた好きを大切に。

    INTERVIEW

    #3
    ゼロから始めた私だから、伝えられることがある。

    INTERVIEW

    #3
    YUNA NOMURA野村祐奈
    SIDE A:
    リバーサーフィン(インストラクター)
    SIDE B:
    オーシャンサーフィン

    人間の力では及ばないスピード感に憧れて。

    「サーフィン」を仕事にしていくまでの経緯を教えてください。
    幼少期に住んでいた北海道で、父がカイトサーフィンをやっていて、それでサーフィンには興味があって。3歳くらいからスノーボードをやっていたんですけど、多分、人間の力では及ばない領域、スピード感に憧れがあるのだと思います。
    工業大学で意匠設計を学び、ウィンドサーフィン部に入りました。就職先として希望していたのはデザインか、バイク関係でした。でもデザインの部署は美大・芸大出身じゃないと受けることもできなかったんです。開発部門にテストライダーという枠があったので、600CCのバイクに乗っていたことを活かし、テストライダーとして就職しました。
    バイクはエンジンを使うモータースポーツで、スノーボードやウィンドサーフィンは自然の力で動くスポーツ。働くうちに、人間が作ったものではない、自然の領域に踏み込みたくなり、一度バイクから離れようと。デザイン専門学校に通いながら、次に何をやろうか探していたら、屋外型サーフィン施設のインストラクター職の情報を見つけて、これはチャンスだと思って。

    未経験だからこそ、一緒に成長していける。

    経験していたのはウィンドサーフィンですよね?
    (笑)そうですね。できるだろうなって自信があったのと、未経験者がどんどん上手くなる過程でインストラクターとして活動したら、どうなるんだろうという興味もありました。やってきたスポーツを教えるんじゃなくて、一緒に成長していくインストラクターを目指して。当初、面接した方も驚いていたんですけど「面白いじゃん!」って納得していただいて。サーフィン未経験でインストラクターに就職したのは、未だに私だけです(笑)
    シティウェーブなどウェーブプールのサーフィンは「リバーサーフィン」、海でのサーフィンは「オーシャンサーフィン」と呼ばれているんですね。インストラクターとしてリバーサーフィンをしつつ、さらに海に行きオーシャンサーフィンも。この経緯は?
    インストラクターを始めて、私自身、波に乗る面白さを感じたんです。お客さまの半分くらいはオーシャンサーファーだったので、私自身も海とウェーブプールの違いを知りたいと思って。
    海でのサーフィンはどれくらいのペースで?
    仕事が午前で終わる日は、夕方に2時間だけ海に入ったり。 繁忙期でない冬には、まとめて2週間とか行ったりします。冬季は夏よりサーファーが少ないので練習しやすいんです。
    ウェーブプールのサーフィン世界大会で3位ということですが。未経験から10ヶ月で、なぜそこまで急成長できたのですか?
    私の場合、インストラクターとして継続的に練習できたからだと思います。海のサーフィンは、波や自然の環境に左右されるので、自分のやる気だけではどうしようもない。波に乗れる回数が圧倒的に違います。
    これまで人生の選択をしていく中で、影響を受けた人、言葉はありますか?
    父ですね。父が私の最初の憧れの人だった。はっきりと言葉では言ってはいないんですけど、「自分のやりたいことをやれ」と。幼い頃から父を見ていて、そういった姿勢を感じていたので。それが今の私を作っているんじゃないかな。
    「リバーサーフィン」と「オーシャンサーフィン」、それぞれ今の目標は?
    リバーサーフィンは、今年もドイツやアメリカからサーファーが参加する大会が開催される予定なので、そこで上位を取ることです。私が世界1位になれたら、未経験者からでも世界を目指せるんだという証明になると思うので。オーシャンサーフィンの方は、始めてまだ1年ほどですが、まずは日本のプロサーファーも出場する大会に出場して入賞すること。そうやってリバーサーフィンも海のサーフィンも、お互いの競技の練習になるっていうことを証明したい。

    人に「伝える」仕事はクリエイティブな喜びがある。

    サーフィンは知識や理屈というよりは、
    身体で覚える感じですか?
    それもありますが、私は「教える」立場なので、感覚でやっているとは言いたくないんです。人に伝えるためにはわかりやすい言葉、順序が大事。リバーサーフィンも、初体験の方でも理解できる言葉を選んで、順序立てて伝えています。私もサーフィンを始めて間もないので、何十年もやっているエキスパートの方より、初心者の方の気持ち、ぶち当たる壁など、実感を持って伝えられます。
    教え方の流儀といったものは
    ありますか?
    時間が限られているので、いろんなアクションをまとめて教えるのではなく、一つずつ、その人に必要なことをシンプルに伝える。複合的な要素が増えてしまうと、私が目指している「最短で上達する」ということから遠のいてしまうので。 教えた方が上達して、少しずつ変わっていく姿を見るのは、とっても嬉しいです。 そういう点は、モノづくりと似ていると思います。
    好きなことを選択したくて迷っている方にアドバイスをお願いします。
    新しいことを始めるのって、すごく勇気もいるし失敗しちゃう不安もあるけど、年をとってからやっておけばよかったと思うのは、人生で一番悔しいことだと思うんですね。だから勇気を持って、好きな道を選択してほしいです。
    YUNA NOMURA野村祐奈
    SIDE A:
    リバーサーフィン(インストラクター)
    SIDE B:
    オーシャンサーフィン

    屋外型サーフィン施設の「Citywave Tokyo」でリバーサーフィンのインストラクターとして働きながら、サーフィン未経験からわずか10ヶ月で人工波サーフィン世界大会3位に。さらにオーシャンサーフィン(海)での大会入賞も目指している。日本におけるサーフカルチャーの魅力を確立するためにSNSやレッスンを展開している。

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