MENU

Archive

21
Mike Mills
Movie Director
#20THCENTURYWOMEN #MOVIE
May. 25. 2017
about
May. 25. 2017 / #20THCENTURYWOMEN #MOVIE

21 Mike Mills
Movie Director

& Kazuyoshi Minamimagoe(BEAMS Senior Creative Director) Photography : Kikuko Usuyama / Interview & Text : Tomoko Ogawa 90年代のユースカルチャーを代表する映像作家のマイク・ミルズさん。<X-girl>のロゴデザインやソニック・ユース、ビースティー・ボーイズなどのアルバム デザインやMV制作などを手がけた彼が、自身の母親をモデルに少年と母の絆を綴り、第89回アカデミー賞脚本賞にもノミネートされた6月3日(土)公開の新作『20センチュリー・ウーマン』を引っさげて来日。今回は、マイクさんと同時代のカルチャーシーンを体験してきたBEAMSきっての映画好き、クリエイティブディレクター 南馬越一義とのスペシャルトーク。映画の舞台となる1979年という時代のカルチャーや、ものづくりの姿勢、BEAMSとのコラボレーションについて訊きました。

パンクに出会って、初めて「生きてる!」と思えたんです

Kazuyoshi Minamimagoe(以下、M.K) :
僕は映画が好きなので、だいたい週末には観に行くんです。今年に入ってから20本くらいは観ているんですが、6月3日(土)から公開する『20センチュリー・ウーマン』を一足先に試写会で見たのですが、これが今のところ2017年のナンバーワンですね。
Mike Mills(以下、M.M):
ありがとうございます。
M.K:
僕は62年生まれなんですが、66年生まれのマイクさんとはほとんど同世代。だから、ティーンエイジャーのときに、影響受けたカルチャーが共通しているんですよね。当時パンク音楽が好きでロンドンとNYには興味があったんだけど、西海岸はノーマークだった。映画のなかで、79年にパンクがサンタバーバラという郊外まで影響を及ぼしていたことも興味深かったですし、追っていなかった当時の自分は「損してたな」と映画を観て思ったんですけど(笑)。
M.M:
ブラック・フラッグやサークル・ジャークスだったり、西海岸でも、実はハードコアなパンクシーンがあったんですよね。
M.K:
そうだったんですね。映画の中ではイギリスのパンクバンドもたくさん出てきますが、ラジオから流れてきたり、普通にレコード屋さんで手に入るものだったんですか?
M.M:
そうですね。僕が住んでいたサンタバーバラは、LAから2時間くらいのところにあるんです。だから、かなり郊外っていう感じがあった。でも、スケートボードをやっていたので、コンテストがある度にLAに通ってたんです。そうすると、そこにはパンクでタフなシティボーイがいるわけです。彼らが中心にいた当時のLAのハードコア シーンを振り返ると、もしロンドン出身のセックス・ピストルズやNY出身のトーキング・ヘッズが好きと言えば、わりとまわりから馬鹿にされる節があった。彼らはかっこよすぎるというか、少し時代遅れと思われていたんです。
M.K:
へぇ!
M.M:
ピストルズは78年には解散していましたし。ブラック・フラッグの方が粗っぽくて、ローカル感もあって、自分たちのものみたいに思えたんでしょうね。
M.K:
映画の時代設定がスマッシング・パンプキンズの曲『1979』と同じですけど、マイクさんも彼らのMVに出てくるみたいに、木にトイレットペーパーを投げつけたりしたんですか(笑)?
M.M:
僕はそういうタイプじゃなかったかな。1回、いや2回はあったかもしれないけど(笑)。
M.K:
10代の頃は何不自由なくてもモヤモヤした不満はあって、そんな中でパンクに出合うと「おぉ!」と感動するじゃないですか。特に、僕らの世代は「何かおもしろいことねーかな」といつも思っていたから、パンクが出てきたときに、「これだ!」となりましたよね。
M.M:
僕もスージー・アンド・ザ・バンシーズが出てきたとき、「これだ!」ってなりました(笑)。映画でも描いてるんですが、当時のサブカルチャーは異なる流派を同居させてはいけないという暗黙のルールがあったんだけれど、僕の場合はトーキング・ヘッズもブラック・フラッグも全部まとめて好きで。
M.K:
それはまたなんで?
M.M:
僕が育った家庭環境では、怒りとか孤独とか、ひどく落ち込んだりする感情を持つことを許してくれる場所が一切なかったんです。日本もそうだと思うけれど、1920年~30年代生まれの世代って、自分の弱さやフラストレーションを表に出さないように育てられていて、自分たちの子どもがそうすることも許さないところがあった。でも、そういう感情しか詰まっていないパンクという音楽と出合ったときに、「怒ってもいいんだ! 落ち込んでもいいんだ! しかもその感情が歌われているんだ!」と、初めて「生きてる!」という満たされた気持ちになった。

三世代にわたる、三者三様の女性たちを物語るということ

M.K:
1924年の大恐慌時代に生まれて自立心がある母親 ドロシアをはじめ、映画には、20世紀に生きた3世代の女性が出てきますよね。そして、1955年生まれで、変革の波が訪れた時代に多感な時期を過ごし、ウーマンリブの名残を感じさせるカメラマンのアビー。最後に、僕と同じ1962年生まれの、しらけ世代というかどこかシニカルな学生のジュリー。その三世代の女性像の描かれ方がとってもおもしろかったですし、僕自身一人息子がいるので、親の気持ちだったり親子の関係にも共感できるところがありました。
M.M:
女性の歴史という観点から見ても、世代が違うこの3人は全く違う立場にいるんです。物事の見方も全然違う。だから、息子の育て方もそうですが、ひとつのテーマについて話していても三者三様の意見が交わされる。その関係性がすごく映画的というか、映画のシーンにばっちりハマるんですよ。
M.K:
どうして、三世代を描こうと思ったんですか?
M.M:
何層かのきっかけがあって、結果こうなっていたんですよね。何かが生まれるときって、そうじゃないですか。たとえば、主人公は僕だし、ドロシアは僕の母を、アビーは二人の姉をモデルに描いてる。ジュリーはというと、僕が付き合っていたガールフレンドや女友達が混ざったキャラクター。この3人がそろったときに気がついたのが、世代が異なるだけなのに彼女たちはこんなにも違うということ。それで、何世代にわたる3人の女性について物語ることができるかもしれない、と思ったのかな。
M.K:
今回の作品でマイクさんが描かれたのは20世紀の女性ですが、21世紀の女性像をどう捉えていらっしゃいますか?
M.M:
僕は本当にストレートな白人男性だから、女性の気持ちはやっぱりわからないんだけど(笑)、一番の変化があるとすれば、ジェンダーに対する価値観じゃないかなと。70年代を生きた女性ってすごく開放されているというか、いい意味でワイルドですよね。と同時に、少し古風なところもあって、まだ異性愛とか同性愛というかたちに囚われていたと思う。でも今は、男と女が絶対に2つの対極にある存在ではないし、ジェンダーがとても広い範囲で認識されていますよね。
M.K:
確かにそうですね。
M.M:
充実したとても健康的な考え方だと思う。21世紀の女性というよりは、21世紀の男女関係の話になってしまったけれど。一方で、女性軽視という差別意識はまだ残っているんですよね。映画業界なんかは特に。アカデミー賞のキャンペーンに参加したときも、審査員団の参加者はほぼ男性でしたから。冗談で、「Panel(審査員団)」のことを「Mannel」って呼んでたくらい(笑)。まだまだ映画業界は、昔ながらの男性優位なところがあるんだなと思いました。

BEAMSで17年前に買ったPコート、今も愛用してます

M.K:
直接お会いするのは今回が初めてだけれど、19年前かな、僕がバイヤーだった頃、マイクさんがデザインしたグラフィックのTシャツやポスターを買い付けていたんですよ。
M.M:
そうだったんですね! アメリカに比べて日本のほとんどのファッションは上をいっていると思うけど、その中でもBEAMSは革新的というか、常におもしろいものを作られていますよね。それに、デザインに対する愛情や思いやり、確かな意志が感じられるから好きなんです。17年前にBEAMSで買ったPコートを今もまだ愛用してるくらい。部屋に置いてきちゃったから、今ここにはないんですけど(笑)。
M.K:
映画の本国オフィシャルサイトに、マイクさんがDJを務める「1979 RADIO」というコーナーがあるじゃないですか。僕としては、今回のコラボレーションが単純に映画のグッズとして終わるんじゃなく、うちがこの商品を紹介することで作品の世界観とつながるような、作品を補完できる関係になればいいなと思っています。
M.M:
そうですね。僕もこれまでバンドとかグラフィックデザインとかアーティストとかいろいろな活動をしてきたけど、売れたいという意図は全くなくて、ただ好きだからやっていただけなんです。映画って、完成するまでに5~6年と長い時間がかかる。そうすると、映画の中で使われるモノの世界みたいなものができあがる。その一つひとつのモノを外に引き出して、眺めることが好きなんですよね。
M.K:
カメラマンのアビーが撮った作品写真を、コラボレーションのアイテムのモチーフにさせてもらっています。
M.M:
すごくいいアイディアですよね。アビーが自分の持ち物を通じてセルフポートレイトをするプロジェクト、作品としてもすごく気に入っていたのでうれしいです。映画で終わったら消えてしまうものではなくて、ただ商品として終わるものでもなく、映画から派生した一つひとつに対して太陽の下で輝ける場所を与えられたらいいなという気持ちは常にありますね。
『20センチュリー・ウーマン』
1979年のサンタバーバラを舞台に、15歳のジェイミーが母親でシングルマザーのドロシアと、「息子の教育を手伝って欲しいの」とドロシアから頼まれた写真家のアビー、幼なじみのジェリーという3人の女性と過ごしながら成長していくひと夏を描く。第89回アカデミー賞脚本賞ノミネート作品。 www.20cw.net
6月3日(土) 丸の内ピカデリー/新宿ピカデリーほか全国公開
監督・脚本:マイク・ミルズ
出演:アネット・ベニング、エル・ファニング、グレタ・ガーウィグ、ビリー・クラダップ
2016年/アメリカ/英語/119分/アメリカンビスタ/カラー/5.1ch/原題:20TH CENTURY WOMEN/ 日本語字幕:髙内朝子/PG-12/ 配給:ロングライド
20TH CENTURY WOMEN
×
BEAMS BOY

Tシャツ 各¥5,800(+tax)※ウィメンズサイズのみ、トートバッグ 各¥4,500(+tax)/ グレダ・ガーウィグが演じるパンクな写真家アビーが、劇中で撮影した写真をフィーチャーした限定アイテム。5月27日(土)より、全国のビームス各店(一部店舗を除く)及び、BEAMS公式オンラインショップにてリリース! また、同日より「ビームス ウィメン 渋谷」では、コラボレーションアイテムに加えて、映画のサウンドトラックCDとBEAMS限定のポスターも展示販売いたします。詳しくはこちら

Mike Mills
Mike Mills
(Movie Director)

マイク・ミルズ / 1966年、アメリカ、カリフォルニア州バークレー市生まれ、サンタバーバラで育つ。NYのクーパー・ユニオン大学で学んだ後、映像作家として90年代のNYのアート&カルチャーシーンの中心人物に。現在は、映画監督、グラフィックデザイナー、アーティストとして活動。『サムサッカー』(05)で長編映画監督デビュー。75歳でゲイをカミングアウトした自らの父親と自身の関係を描いた長編第2作『人生はビギナーズ』(10)では、インディペンデント・スピリット賞の監督賞、脚本賞にノミネートされ、父親役クリストファー・プラマーがアカデミー賞助演男優賞を受賞。そのほか、日本の抗うつ剤導入をめぐる議論を取り上げた長編ドキュメンタリー『マイク・ミルズのうつの話』(07)などがある。

Kazuyoshi Minamimagoe
Kazuyoshi Minamimagoe
(BEAMS Senior Creative Director)

南馬越 一義 /「ビームス創造研究所」シニアクリエイティブディレクター。1962年生まれ。1984年入社。メンズカジュアルのショップスタッフを経て、ウィメンズ店舗「レイ ビームス 渋谷」の店長としてウィメンズ分野でのキャリアをスタートする。1989年より<Ray BEAMS>レーベルのバイヤーとして数々の功績を挙げ、2004年、ウィメンズ全体のクリエイティブディレクターに就任。世界中を飛び回り、旬のデザイナーやブランドを次々と発掘。「ビームス創造研究所」の立ち上げに伴い、2010年3月より新規事業の開発に着手。コラボレーション企画や、ブランドのプロデュース、様々なバラエティ番組やコンテストでコメンテーターや審査員を務めるなど、その活動は多岐にわたる。

About

BEAMSにまつわるモノ・ヒト・コトをあらゆる目線から切り取り、
ヒトとヒトとのお話から”今気になるアレやコレ”を
紐解いていく連載企画 【TALK】。

洋服のデザイナーからバイヤー、フォトグラファーやモデルなどなど。
様々な職種のプロフェッショナルから
”今気になるアレやコレ”を伺います。

close