2013年の取り扱いスタート以来、BEAMS 各店で好評を博すグアテマラのアクセサリーブランド<wakami(ワカミ)>。人気のブレスレットをはじめとするそのアイテムは、現地の小さな農村に暮らすマヤ民族の女性たちによって、一本一本、丹精を込めた手作業で製作されています。

グアテマラ共和国で発生した30年にも及ぶ内戦のなか、難民キャンプの診療所に従事したマリア・パチェコ。彼女は過酷な飢饉や戦争といった深刻な現実を目の当たりにした経験から、グアテマラ国民、特に貧しい農村地域の生活を改善すべく、2009年に<wakami>を発足。それは土着の人々が生み出すアクセサリーを通し、国民はもとより、作品を手にした世界中の人々が幸せになることを目的としたフェアトレード※1のビジネスモデル。そして、いつしか国内外すべての貧困地域が豊かになることを願うプロジェクトでもあります。
2016年11月、BEAMS は<wakami>を主宰するマリア女史の招待により、“ワカミ ヴィレッジ” を視察する機会をいただきました。ワカミ ヴィレッジとは、プロジェクトの活動拠点であると同時に、フェアトレードによるブランドの売り上げを基としてグアテマラ各地に構築された、農村地域の生活者を支援するコミュニティのこと。

成田国際空港からアメリカのヒューストンを経由し、グアテマラの空の玄関口であるラ・アウロラ国際空港へ。日本出国から丸1日を掛け、私たちはかの地に降り立ちました。北緯14~18度に位置し、太平洋とカリブ海に面する中米・グアテマラ共和国。つい20年ほど前まで内戦状態が続き、現在でも決して治安は良いと言えません。団体での行動でさえも危険が伴うため、我々一行を乗せたバスには現地警察のパトカーが追尾し、警護にあたります。そうして街を抜け、山を越えること約3時間、世界遺産としても有名な古都アンティグア近郊の小さな村、パトルルに到着。国内に点在するワカミ ヴィレッジのひとつが、ここにあります。

※1「フェアトレード」・・・途上国の農作物や製品などを適正価格で継続的に取引することで、生産者の正当な賃金や労働条件を保証し、持続的な生活向上を目的とする公正な貿易モデル。また直接取引によって、消費者はより安価で商品を購入できるという相互メリットも。一時的な援助とは違い、途上国の自立や環境保全、生産者の技術向上も図れる国際協力の新しい形態。

まず最初に、どのようにして<wakami>がビジネスとして成立しているか、マリア本人から丁寧なプレゼンテーションが。続いて、実際にアクセサリーの生産にあたっているマヤ民族の女性が、抱く夢や希望、子どもたちへの想いを話してくれました。情報としては十分に理解していたものの、当事者である彼女たちの生の声を聞き、日本とはまったく異なる生活環境に改めて深く考えさせられました。
それでもフェアトレードでの売り上げが順調なことから、長く貧困に苦しんできた村の生活は徐々に整い、仕事のなかった女性が安定した収入を確保し、子どもたちはヴィレッジで語学を勉強できるまでになるなど、かつてからは想像もつかぬほど暮らしは向上しつつあるといいます。またワカミ ヴィレッジにとどまらず、グアテマラという国自体にも好影響をもたらしているということも。

その後、パトルルの村を案内いただき、普段の生活空間にお邪魔したり、アクセサリーの製作風景も見学。<wakami>のアイテムは素朴でありながらも繊細なデザインが持ち味ですが、彼女たちは実に器用に、緻密かつ素早くロウ引きのワックスコードを編み込んでいきます。見る見ると仕上げていくその職人技に、一同は目を見張りました。
そして私たちは、日本から用意したお菓子やオモチャを村の子どもたちへプレゼント。瞳をキラキラと輝かせた眩しい笑顔と、人懐っこく無邪気にはしゃぐ姿がとても印象的で、最初は少し恥ずかしそうにしていたチビっ子ともすっかり仲良しに。

別れを惜しみながら村を後にした私たちは、世界で最も美しい湖とも謳われるアティトラン湖を望むホテルで一泊。
<wakami>というブランドの社会活動に注目・賛同し、ワカミ ヴィレッジに赴き、肌で感じたプロジェクトの “ 現在 ”、これから訪れるであろうグアテマラの明るく希望に満ちた “ 未来 ”、そしてパートナーとなって歩みをともにする BEAMS の今後。来たるべき明日を映し出すかのように澄みきった湖を背に、BEAMS取締役副社長 遠藤恵司が語る。
TALK 01
ワカミ ヴィレッジを訪れて

「もちろん<wakami>のことは以前から理解していましたが、実際にグアテマラまで来て、色々な意味で想像以上に考えさせられました。ワカミ ヴィレッジを訪問してから、ずっと身体の中を衝撃が振動し続けています。
なかでも特に印象深かったのは、子どもたちの純真無垢な笑顔。今でも瞳に焼きついて離れません。昔は日本でも、あんな風に屈託なく笑う子どもの姿が当たり前にありましたが、近頃はなかなか見ることができなくなったように思います」

TALK 02
wakami の生母であり聖母・マリア

「ブランドの<wakami>、コミュニティであるワカミ ヴィレッジ。このプロジェクトが着実に成果を出し、少しずつ成長し、継続できているのは、マリアの強い意志とリーダーシップに寄るところが大きい。村の人々と接している彼女の姿を間近で拝見し、非常に強く感じたことです。
男性とは違う、女性だからこその特質ってありますよね? 潜在的な母性が芯にあり、自らの信じるところを邁進して具現化している。それはマリアだけでなく、ワカミ ヴィレッジの女性たちからもヒシヒシと伝わってきました。

創業者のマリア・パチェコ(Maria Pacheco)は、グアテマラ共和国で発生した30年にも及ぶ内戦の最中の難民キャンプに診療所で従事した際の過酷な飢饉や戦争という残酷な経験から、グアテマラ国民とくに農村地域生活を改善すべくプロジェクトを立ち上げる。

マヤ民族の大昔からの風習で、男性が強く、女性は虐げられ、それは現代においても続いています。しかしながら、このプロジェクトによって女性の立場が変わってきているように感じました。家族、ひいては村全体の稼ぎ頭として存在を確立しつつあり、女性が自身の考えを発言できるようになっていることが随所にうかがえた。<wakami>の取り組みが、女性の地位向上に大きく貢献している証です。
マリアは同性としても、女性が虐げられてきた歴史を改善したいのでしょう。女性は凄いですよ。男性にはない資質をたくさん秘めているし、母性本能が多岐にわたってエネルギー源になる。事実、マザー・テレサしかり、日本人でも宮城まり子さん※2、沢田美喜さん※3など、先頭に立って慈善活動に尽力してきた女性は枚挙に暇がありません。そうした強い母の愛を、マリアからも感じました」

※2「宮城まり子」・・・元歌手、女優。1968年に肢体不自由児の社会福祉施設「ねむの木学園」を設立。
※3「沢田美喜」・・・第2次大戦後の'48年に孤児院「エリザベス・サンダースホーム」を創設し、2000人近くの混血孤児を育て上げた。
TALK 03
wakamiの捉え方

「 BEAMS は世界各地から面白いモノを見つけ、紹介するセレクトショップのパイオニア。今年で41年目を迎え、日本にないモノ、できないモノを発掘してきました。我々は物品を販売していると錯覚しがちですが、実はそれだけではない。すべてのモノには意味があり、形や色といったデザインに加え、そのバックグラウンドも非常に大切なんです。商品をお売りするときに、そうした背景まで一緒にお届けしたい。<wakami>も色彩や素材、造形はもちろん、グアテマラのワカミ ヴィレッジで手作りされていること、そして理念も含め、しっかりと伝えていく必要がある。

我々はショップを媒体にして、ありとあらゆるモノを提案することができます。そのなかで本当に伝えなくてはならないことを、常に考えるべきです。併せて、過大評価と取られるかもしれませんが、自分たちの仕事を通して広くグローバルに発信できる立場にあることを個々のスタッフが意識し、それを誇りにすべきです。BEAMS には、そうした伝達者としての使命があります。
今回のグアテマラの旅での最大の収穫は、アクセサリーを見たり、身につけるだけでは知り得ない<wakami>の背景に直接触れ感じることができたこと。目には映りにくいその感覚を日本まで持ち帰り、全国のスタッフと分かち合い、お客様へお渡しできることが、私たち視察チームの最大の成果です」

現地の様子を体感いただけます。ぜひご覧ください。