余計な手を加えず、コンテクストを「正しく」発信する。

ご相談いただいた案件については、まずはバイヤー・商品企画の目線でできる限り詳しく話を伺いながら、「お客さまと一緒に」最適なソリューションを考えていきます。なかでも工芸品や伝統産業については、その地域で受け継がれてきた背景をできる限り「正しく」発信することを強く意識しています。長い時間をかけて大切に継承されてきた伝統や文化に僕らが余計な手を加えることはせず、その「伝え方」、「見せ方」を工夫することでその本質的な魅力を正確に伝えるべきだと考えているからです。だから、こうした地域に関わる仕事に関わらせていただいて何よりも嬉しいのは、地域の方々に「自分たちにとっての誇りである産業や工芸品を、こんなに素敵な形で大切に発信してくださってありがとうございます」と感謝される瞬間なんです。すでに6年近く続いている「ふくしまものまっぷ」プロジェクトの初期にプロデュースさせていただいた白河市のだるまが、別件で福島を訪れた際に立ち寄った飲食店にそのだるまが飾られていたんです。「ビームスが地元を文化を大切に発信してくれたのがうれしくて、ずっとお店に飾っているんです」と。そんなふうに自分たちが関わったものが、地域の方の誇りになっていく。そういう体験をたくさんの地域の方と作り上げていけたら、それ以上のことはないと思っています。

クリエイティブは「お節介」。

僕は素晴らしい価値を持っているのに正しく認知されていない日本のさまざまな魅力を「既成概念や難しい制約条件の中で、どうやったら一番面白く発信できるだろう?」ということをいつも考えています。そのために、あらゆるモノゴトをあれこれ「繋げてみる」ことで新しく生み出される、「こうしたら面白くなるかもしれない!」というアイデアのタネを見つけることを強く意識しています。そうやってどんどん溜まっていく無数のアイデアを起点にさまざまな面白い人たちとのタッチポイントをつくり、そのコミュニティを次々と広げていくことが得意だし、何よりそういう「編集的思考」が大好きなんです。B to Gの案件をはじめ、さまざまなクリエイティブを手がける上で、僕が一番大事にしているのが「お節介」の気持ち。「僕が好きだから、この特産品を食べてみて欲しい!」、「最高に楽しいから、一度ここに行ってみて!」って。自分が本気でいいと思うものだから、誰かにお節介してでも絶対に勧めたくなる。その嘘偽りのない気持ちが僕のクリエイティブのすべての源泉なんです。

できる限り長く続けていくことで、ソリューションの精度を上げていく。

いま関わらせていただいているそれぞれのプロジェクトはどれも、できるだけ長く続けていくことが大切だと考えています。地域の魅力を伝える仕事とは、さまざまな人々が長くじっくりと時間をかけて向き合い、関わり合うことでより深く、立体的になっていきますから。時間をかければかけるほどに、その価値が受け継がれる時間も長くなるものだと思っています。つねに「いま」だけではなく、数年先、数十年先を見据えながら長期的な取り組みをご提案させていただくのは、そういう理由からです。日本中のさまざまなお客様と一緒になって、日本の価値を「正しく」伝える素晴らしいプロジェクトをつくりあげていければうれしいです。

クリエイティブの掟。

扱うプロダクトや工芸品の背景にあるストーリーやデザインを絶対壊さないこと。ただ「格好良い」だけのモノづくりはしません。

プロデュースの得意技。

お客さまも含めて「楽しみながら一緒に考えられる」、チームとしての共感度の高いプロジェクトにすること。

自身の必殺技。

なにはなくとも妄想力(笑)。いつも「こうなったら面白い。これを繋げたらもっと盛り上がる。」などと、あれこれ妄想しまくってます。