自治体向け講演会開催レポート
自治体向け講演会開催レポート
2024年10月18日(金)に、初の自治体向け講演会「地域をもっと、面白く。あたらしい『ビームス』の使いかた。」を開催し、全国から35名の方が参加。ビームスの社員5名が、これまで取り組んできた地域共創の事例と今後の可能性を紹介し、大きな関心が寄せられました。「地域の強みを魅力的に伝えるには?」「新しいお客様を呼び込むには?」「そもそも何から始めるべき?」ビームスの地域共創サイトでは、こうしたご相談を承っています。まずはお気軽にお問い合わせください。
本講演会の企画担当者と登壇者
1976年に創業したセレクトショップのビームスは、長年世界中の良い物を仕入れてきましたが、創業40周年のタイミングで、その“目利き力”を国内の仕入れや企画に活かす事業として〈ビームス ジャパン〉をスタートさせました。2016年にオープンした新宿の店舗「ビームス ジャパン」は、“匠からオタクまで”を掲げ、伝統工芸からサブカルチャーまで幅広く紹介し、日本の文化を国内外に発信し続けています。
ビームスにおけるBtoBの地域共創事業は、〈ビームス ジャパン〉の事業運営を通じて発展していきました。独自の視点で地域の魅力を発見し、磨き上げ、発信し、地域のファンを増やす。これができるのは、全国に約150店舗のネットワークがあり、さまざまなモノやカルチャーを大切にしてきたビームスだからこそ。自治体の課題に寄り添いながら、異なる要素を掛け合わせて新しい価値を創出するだけでなく、自走型ソリューションまでワンストップで提供可能。その成果はすでに地域の賑わいとして現れています。
〈ビームス ジャパン〉プロジェクトリーダー 佐野明政
名古屋出身で大のスポーツファンである佐野は、地域スポーツとファッションを掛け合わせて相乗効果を狙う、新しい地域共創を推進してきました。
代表的なのが、地元におけるシビックプライドの醸成と、県外からの名古屋や愛知各地への来訪機会の創出を目指すプロジェクト『大名古屋展』。これまでに計5回開催し、2024年には名古屋を代表する8社とコラボレーションしました。このプロジェクトは、名古屋グランパスからのユニフォーム製作依頼をきっかけに、地域の魅力を伝える大規模な企画へと発展したもの。佐野をはじめ担当社員が現地を何度も訪れ、地元企業と信頼関係を築きながら商品の開発を進めました。たとえば、共に名古屋拠点のチームマスコットであるグランパスくんとドアラのコラボTシャツや、名古屋名物の味噌やラムネをトッピングできるソフトクリームが話題に。期間中、沢山の方にご来場いただき、多くの媒体で取り上げられました。
2024年には川崎市の市制100周年を記念した『かわさき飛躍祭』でも、川崎フロンターレとのご縁からグッズ制作と宣伝を担当。川崎にゆかりがある社内のクリエイターと手掛けた、「Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu」を有する川崎をイメージしたTシャツやバッグなどを開発し、18万人の来場を実現しました。
佐野曰く、スポーツ×ファッションの地域共創事業で目指しているのは、地元を愛し、地元に誇りを持つ方を増やすこと、引いては日本を元気にすること。だからこそ、共に目的を共有して楽しむワンチームの姿勢で取り組んでいると語りました。
新しい地域共創を推進する、〈ビームス ジャパン〉プロジェクトリーダー 佐野明政
プロデューサー 井上博喜
神戸ポートタワー誕生60周年を記念したフードフェス『メリケンパーク フェスティバル』をプロデュースした2024年の事例では、神戸らしい魅力を追求しながら、デジタル化が進む今求められるリアルな体験も重視しました。
手掛けたのは、空間プロデュースに強い神戸出身の井上。食と食関連の雑貨なども含め、地元で愛される25店舗と協業。和菓子店とは瓦せんべいの型抜き体験を、寿司店とは明石の魚の塗り絵体験を提供し、家電メーカーとはフードを温め直せるサービスを実施するなどして、売上記録を更新した店もありました。また、会場の看板やベンチには神戸市内の端材を使用し、地元イラストレーターの絵を起用したオリジナルグッズが当たる抽選会も企画。当日はビームスの店舗スタッフが運営にあたり、その細やかなおもてなしやSNSでの情報拡散も反響を呼びました。
結果、より高感度で幅広い層にリーチ。ポートタワーのリニューアルオープンの情報発信やメリケンパークのイメージ向上、シビックプライドの醸成にも貢献しました。神戸市との取り組みは、街の定期的な清掃活動などで現在も継続しています。
井上は、自分の強みは求心力にあると分析。人とファッションの力を掛け合わせて、ビームスのコミュニティを最大限に活用すれば、地域に賑わいを生み出せると力説しました。
プロデューサー 井上博喜が監修したイベントオリジナルグッズを紹介しながら話す様子
〈ビームス プラス〉ディレクター 溝端秀基
カジュアルブランドの〈ビームス プラス〉を手掛ける溝端は、ブランド力をいかした地域共創の可能性を提案しました。〈ビームス プラス〉ブランド最大の魅力は、日本製の高品質な素材を使用した服。国内では同ブランドが運営するコミュニティやネットのラジオ番組が活況で、海外では83社への卸も行うなど、その人気は世界に広がりつつあります。しかし、素材の産地では後継者が不足し、70歳で若手とされる地域も。また、地元の産業を知らない若者も増えつつあります。
そこで溝端は〈ビームス プラス〉のブランド力を活用した、ふるさと納税の返礼品化やSNSでの情報発信、ファンを地元のイベントに呼び込むなど、地域を盛り上げるさまざまなアイデアを披露。
日本のアパレル産業における技術継承はセレクトショップにとっても切実な課題だからこそ、ビームスは地域の未来づくりに真剣と溝端。ファッションを通じて地域の魅力は広く届けられると熱く語りました。
ブランドと生産地の共創の可能性について語った、〈BEAMS PLUS〉ディレクターの溝端秀基
プロデューサー 藤平道子
プロジェクトマネージャー 仲西遥奈
講演会ではメタバースを活用した地域共創の可能性も紹介しました。ビームスの仮想店舗でアバターを接客する様子を披露したほか、会場内にVRゴーグルを用意し、参加者にバーチャル体験も提供。メタバースユーザーの約半数は13歳未満といわれる中、将来的な若年層ユーザーの増加を見込んだ早期アプローチと、その可能性について紹介しました。また、地域共創事業の具体的な進め方や補助金の活用法についても触れ、これまでの実績を活かしたビームスのサポート体制をアピールしました。
メタバースの可能性を語った、プロデューサー 藤平道子
会場内に用意したVRゴーグルでバーチャル体験
助成金の活用について話す、プロジェクトマネージャー 仲西遥奈
講演後には、登壇者を囲んで活発な意見交換が行われました。その後、希望者は新宿の「ビームス ジャパン」店舗視察へ。実際の地域共創商品に触れる貴重な機会となり、参加者が熱心に質問する姿もみられました。
会の終盤では、各担当者がリラックスした雰囲気の中で名刺交換や質疑応答に応じた
当日配布した講演会概要を記載した資料
より詳しい地域共創の取り組みについてはこちらのサイトをご覧ください。
https://www.beams.co.jp/beamsbusinessproduce/regionalprojects/
「地元出身の人物を題材にした歴史ドラマの放送に合わせて、ビームスが地元事業者にアドバイスをしながら江戸などをテーマにした商品を開発中。雑貨に強いバイヤーを紹介してもらい、心強く感じています。今後は新宿の『ビームス ジャパン』でのテスト販売を経て、地域の新しい土産物として販売する予定です」。
「大名古屋展と連動している名古屋グランパスのイベントで、身近な存在のビームスが地域共創事業にも関わっていると初めて知りました。今日はほかの地域コンテンツも知ることができ、そのどれもがビームスらしいおしゃれさがあって感心しました」
「インフラ関連の仕事で行動データを扱っており、ブランド力を持つビームスとの連携を模索したく参加しました。他社にはないコンテンツの強みをいかした協業に期待しています」
「想像以上に自治体と幅広い関わりがあることを知り、驚きました。企画してプロデュースするだけでなく、運営まで一貫して任せられる点に魅力を感じています」
「これからの若い世代には当たり前になるメタバースを先取りする視点が、すばらしいと感じました」
「モノの企画や小売だけでなくイベントも手掛けていることと、地元事業者に寄り添いながら開発を進める姿勢に感銘を受けました。新宿の『ビームス ジャパン』で当地域の知る人ぞ知る染物や織物を販売したところ、即日完売したケースもあると聞きます。また、交通アクセスが限られる地域ですが、メタバース空間なら地元の魅力を広く届けられるのではと、新たなファン獲得に可能性を感じています」