CATHRI

PROJECT
CATHRI
PARTNER
福岡県
YEAR
2020-

BEAMS Planetsのディレクターがデザイン監修した<CATHRI(カスリ)>は、伝統工芸品やファッションという従来のカテゴリーをクロスオーバーさせ、これまで久留米絣との接点がなかった方々へ、天然素材と手仕事によるその素晴らしさを発信していくことを目指して誕生しました。商品は横浜と関西空港の「ビームス プラネッツ」と「ビームス 福岡」、また、公益法人久留米地域産業振興センターが運営する「地場産くるめ」でも販売されます。 久留米絣は30以上もの工程と緻密な手仕事によって作り上げられる天然素材で、その技法は重要無形文化財に指定されています。夏は涼しく冬は暖かいという優れた機能性や、扱いやすく長く着続けることができるという魅力も持ち合わせています。今回はファッションアイテムとしてのデザイン性を追求すべく、複数の織元とともに素材づくりからこだわったウエア4型を制作しました。 なお、この取り組みは、福岡県産の伝統工芸品の認知度向上や販路拡大を目的とした福岡県の事業の一環です。

Order

久留米絣という産業の中に脈々と受け継がれてきた、日本人だからこそ可能な複雑なものづくりのプロセスと美しいデザインパターン。現代のニーズに合わせたビームスらしい服づくりの中に、そうした「久留米絣」の魅力を取り入れ、Orderが減少傾向にある久留米絣という産業の価値を広く世界に伝え、未来へと受け継いでいくこと。

Issue

こうした地場産業のビジネスが織物の価値そのものを伝えることではなく、織物を「反」単位で販売することを目的としているので、産業に関わる人々の中に「織物の持つ魅力を視点を変えて発信する」という考え方が存在しなかった。そこでこのプロジェクトでは、誰もが「今着たくなる」モダンなアイテムづくりを通して、「古き良き織物」としてではなく、ファッションのモチーフとしての久留米絣の新たな可能性を、年齢層を問わず、継続的に伝え続けていくことをゴールに設定しました。

Ideas

久留米絣を使ったアイテムを単発で作るのではなく、<CATHRI>というひとつのブランドを立ち上げ、アイテム軸ではなくブランドトータルで世界観を表現、継続的にコミュニケーションしていく方法論を提案。また、感度の高い層にできるだけ広くアプローチするために、ユニセックスかつ、年齢軸でセグメントせずに「10代から100歳まで着られる洋服」をプロデュースしました。

  • 佐藤幸子
  • ディレクター

「どうしてこの場所で作られているのか」「本当に作られるべき場所で作られているか」といったバックストーリーは、私がものづくりに向き合う時に最も大切にしている要素のひとつです。だからどんなモチーフを使うときでも、そのプロダクトや伝統に携わる人ときちんと話をしたいと思っています。実際「CATHRI」のプロジェクトでは、福岡県の方の協力もあり、いくつかの織元のもとを訪れ、職人の方々と直接話をすることができました。れぞれに理にかなったこだわりと魅力があるし、技術や工程はもちろん、ビジネスの考え方も織元によってさまざま。だからこそ、できる限り深い対話を繰り返しながら少しずつコンセプトを磨き上げ、織元の方々にとってもビームスにとってもベストな取り組み方を模索しました。特に印象に残っているのが「もっと自由に久留米絣を使ってみたら」と言ってくださる方がいたこと。通常私たちが日本の伝統文化を扱う時は、どうしても「こうでなきゃいけない」という堅い発想になりがちです。でもその言葉を聞いたことで、久留米絣の魅力をデザインに落とし込むにあたって「着物で使われていたものをそのまま洋服にリモデルする」ことはしないと決心しました。そこで、フランス伝統のゴブラン織をハイブランドが斬新な解釈でコレクションに使う感覚と同じように「このデザインだからこそ、久留米絣を使うことがベストなんだ」という視点でものづくりを進めていったんです。さらに、もうひとつこのプロジェクトの大きな目的が、久留米絣という伝統的な織物の魅力をできる限り多くの人に認知していただくこと。「伝統的な織物だから買っておこうかな」ではなく、普段のライフスタイルの中で実際に「着てみたい」と思えるようなモダンで魅力的な洋服をデザインできれば、この産業そのものがさらなる未来へ続いていくはず。世界のさまざまな織物が、若いクリエイターの斬新な発想とモダンな解釈によって新たな命を吹き込まれていくように、私たちの柔らかい発想で、久留米絣という伝統を未来へ紡いでいきたいという想いもありました。
とはいえ、私たちのものづくりの基本的な考え方は「日々をハッピーにアップデートするようなアイデアがあったら面白いよね」というビームスらしい視点です。いつだって根底にあるのは、年齢や性別に関係なく、ファッションのワクワクを味わって欲しいという想いなんです。だからあまり深く考えず、直感的に「CATHRI」の服を選んでいただいて、その後に「日本には久留米絣って素敵な文化があるんだ!」ということを知っていただけたら一番嬉しいですね。いつか、織元のおばあちゃんたちと「織ってくださった久留米絣が、パリで着られてるんですよ」なんて盛り上がれたら最高ですよね。