モロさんとボク vol.1

2019.09.16

こんにちは、安武です。



今日は、プレス諸岡の話...


...

明日から新体制が組まれる。

BEAMSでは9月と3月に人事異動があり、その度に誰かしらが入れ替わり新しいチームで仕事を行う。

今回の9月は新たな部署が様々出来、会社としても変革の時。

7年半、僕の直属の上司であった諸岡さん(以下モロさん)が、このタイミングでプレスから異動になった。


(先日の合同壮行会の写真)


モロさんとの出会いは15年前。僕は文化服装学院1年生で19歳だった。

札幌から上京してきて新宿の文化服装学院に入学。

5月病ならぬ、入学式直後の4月には既にヤラレていた。

親元から離れての生活、東京の混沌。

何より札幌の高校生の中でオシャレランキング上位と思っていた自分にとっては、東京でも自分はオシャレな方だろうと過信していた。

その過信は4月で砕かれ、5月や6月は何をやっても自信が持てず、いつのまにか1学期は過ぎていく。

この年代の悪い所は、"アンチ"の方がカッコ良く見えてしまうこと。

ファッションの学校に行っているのに、音楽に詳しいヤツがカッコ良かったり、旅に出るヤツがカッコ良かったり。逆に頑張ってブランドもので頑張って着飾ってるヤツがカッコ悪く見えたりして。

自分もその波に飲まれて、ファッションから遠ざかろうかと思っていた所、一つの記事を目にした。

雑誌「装苑」の巻末のニュースページで、1/9ページくらいの小さな枠に、

"イギリスの本格的なテーラードスーツから、ヴィヴィアン ウエストウッドのヴィンテージ、軍物放出品を取り扱う「Vermeerist BEAMS(フェルメリスト ビームス)」が原宿にオープン!"

との記載が。



何気なく目にしたその記事が頭に残っていて、いつかの休みに行ってみる事にした。



「いらっしゃいませ」



店内を入ると、今まで知っていたビームスと明らかに品揃えが違う。

デッドストックの軍パンやイギリス製のチェックシャツ、イタリア製のペラペラのスーツやイギリス製のパイピングジャケット。店内に並ぶそのようなアイテムを男性スタッフは着ていて、女性スタッフは髪を頭の上で2つにリボンで結び、真っ赤なリップ、ボリュームのあるスカートに足元はクラシックなウイングチップ。

真ん中のショーケースには、授業で見たことがあるヴィヴィアンのワンピースが生で掛かっている。



その当時の僕はマリンルックに何故かハマっていて、何かにつけてマリンアイテムを古着屋で探していた。

なんと、この店にもあった。

ウールのセーラーシャツ。コンディションがめちゃくちゃ良い。

店員さんに色々話しを聞くと、



「タグに書かれてるココの番号が作られた年代を示しているんだよ。」



とか、



「下にシャツを着ると面白い着こなしになるよ。」



と、色々教えてくれた。

この時、熱心に教えてくれた店員さん...




それがモロさんだった。




.....




フェルメリストと出会い、そのアイテムセレクトや接客スタイルに憧れて、改めてファッション業界で働こうと決心したのは2年生の春。


僕たちの世代は就職氷河期なんて言われていて、セレクトショップの新卒採用はバーニーズニューヨークとビームスくらいだった。

そこでビームス1本に絞って就職活動することに。




「今度、新卒採用でビームスを受ける事にしたんです。」




セーラーシャツを購入して以来、何度か足を運んでいたフェルメリストで、モロさんに相談した。

(学生でお金が無かったので、何度か足を運んでいたけど、購入はしていなかった。だけど、毎回親身になって洋服の相談をしてもらっていた。)




「それなら面接にこのシャツ着ていきなよ。」




台襟と襟が一体になった小振りな丸襟のクレリックシャツ。見頃は緑と紺と黄色のチェック(後にドレスゴードンと知る)。袖口は折り返されている。




「ターンナップカフって言うんだよ。」




正直、学生で3万円を超えるシャツはかなり高い。

たしか1週間考えて、再来店して購入したと思う。




そのシャツを、フィッシュマウスラペルのブラックスーツのインナーに仕込み、足元はレペットのジジ。という、今考えたらイギリスなのかフランスなのか、よくわからないスタイルで面接に臨んだら、面接官から




「そのシャツ、フェルメリストで買ったでしょ?良く行くの?」




と毎度のように突っ込まれ、それが自分にとっては緊張感をほぐしてくれる要因になり、そして伝えたいことをしっかりと伝える事が出来た。




結果は合格。




...vol.2へ続く


(ちなみにこの写真は僕が初めてタイアップの撮影立会いをした時のもの。この時真ん中のモロさんが着ているのが、僕が入社面接で着ていたものと同じJOHN PEARSEのシャツ)