赤い大地

Satoshi Tsuruta 2018.08.19

日中はまだまだ暑い日が続いていますが、夜には良い風が吹くようになってきました。それでも暑くて寝つけない夜は音楽でも聴いて気分転換をしています。

こんにちは、Tsurutaです。


夏に聴く音楽と言えばレゲエやブラジル音楽、という方もいらっしゃるでしょう。僕の場合は夏の夜になると聴きたくなるのがJAZZです。1958年のニューポートジャズフェスティバルを記録したドキュメンタリー映画「JAZZ On A Summer's Day」=「真夏の夜のジャズ」のサウンドトラックは定番中の定番でしょうか…。


ショップには2018年秋冬の商品が続々入荷中です。


今回はその中から<NICHOLAS DALEY>の新作を紹介してみたいと思います。彼のアイデンティティと言えばジャマイカ系英国人。サブカルチャーを下敷きにしながらも、英国の伝統的なモノ作りに対して熱いリスペクトを捧げていることがひとつひとつのアイテムからも伝わってきます。過去のコレクションでもパンクやダブ、バイクカルチャー、スコットランド、マドラスといった様々な要素をクロスオーバーさせながら熱いコレクションを展開してきました。

2018秋冬は「RED CLAY」をテーマにツイードとジャズカルチャーにフォーカスしたコレクションを展開。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


インターナショナルギャラリー ビームスでは彼のデビューコレクション(セントマーチン卒業直後の)からバイイングしてきたという深い繋がりも手伝って、Nicholas本人が何度もショップに足を運んでくれています。つい、ひと月ほど前にTsurutaがショップに立っていたときのことです。

エントランスの階段から大きなドレッドヘアーの人物が上がってきました。彼の顔を見た瞬間に思わず「あっ!」と声を上げてしまいました。

「Don Lettsだ!」


2015年には当店のウインドウを飾ったDon。

デビュー直後から<NICHOLAS DALEY>のアイコンでもあり、1980年代UKにおいてパンクとダブを繋ぎ合わせたレジェンドが目の前に…。店内をゆっくりと見渡しているので、こちらから話しかけ、Nicholasの洋服が掛かっている方を指すと「そうそう、これを見に来たんだ」とアイテムを手に取り、チェックしていました。少しだけ会話を交わしましたが、彼の話しぶりはとてもジェントルで、Nicholasのような若いデザイナーが彼を慕っていることも納得できる人間力の持ち主でした。

だいぶ緊張していたので、写真を撮ることなんてすっかり忘れてしまいましたが…。一緒に写っておけばよかった…(笑)。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


<NICHOLAS DALEY>の2018秋冬のルックは以下のような感じ。










スコットランドの農夫やMiles Davisのポートレートからインスパイアされた今回のコレクションには、スコティッシュツイードとジャズマンというすぐには結びつかないふたつのイメージが幾重にも交差しています。


上の写真で見られるオレンジがかったブラウンのコーデュロイは英国の名門「Brisbane Moss」のもの。いわゆるテラコッタ(イタリア語)と呼ばれる焼けた土のようなこの色は、ファッション業界においてここ数年のトレンドカラーです。一方、<NICHOLAS DALEY>の今シーズンのテーマ「RED CLAY」とはすなわち「赤い土」。これはNicholasが長年影響を受けてきたと公言しているFreddie Hubbardが1970年に発表したソウル/ジャズのフュージョンアルバムのタイトル曲でもあります。そもそもジャズ自体がヨーロッパ音楽とアフリカ音楽の融合であること自体、ミックスカルチャーを根底に持つNicholasの心を捕えている一因なのでしょう。Don Lettsがつないだパンクとダブも、それぞれが白人と黒人のものでした。

ミックスカルチャーなんて、今のご時世当たり前でしょ?

たしかに2018年時点ではカルチャーにおいてミックスされていないものを探すこと自体が難しいくらい「すべてが混ざり合って」いるのです。

問題はルーツの話。

ルーツを知りつつも、意識的にエイヤッ!と気合一発、混ぜ合わせることの強靭さ。
ルーツなんか知らないよ、とばかりに目の前にあるものをひたすら貪欲に食い散らかしていく軽やかさ。

どちらが良いのか、優れているのか?なんてことをここで断じるつもりはありませんが。

<NICHOLAS DALEY>は明らかに前者です。



スコットランドの優良ニットメーカー、William Lockieと協業したニットアイテムはBLUE NOTEのレコードスリーブにインスパイアされたカラーパレットで展開されています。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

自らが何者であるかを考え続ける一方で、それを笑いながら壊していく者。
自らが誰であるかに興味を持たず、あっけらかんと壊れ続けていく者。

インターナショナルギャラリー ビームスは前者です。僕らがNicholasと共振する点は、まさにそこにあるのです。

クールネスと情熱が共存する<NICHOLAS DALEY>のコレクションを、是非店頭にてご覧ください。



Tsuruta