緊急事態宣言で幕を開けた2021年。
都市部を中心に日々の感染者数は増減を繰り返しており、一部の地域では緊急事態宣言も解除され始めましたが、まだまだ予断を許さない状況が続いています。
さて、昨年から「ニューノーマル」という言葉をたびたび耳ににするようになりました。
社会的な大事件が起こると、いままでは当たり前だった「ノーマル=普通」すらも、その姿かたちを変えていきます。
盛者必衰。
諸行無常。
などと言うと、もの悲しい響きに聞こえますが。
驕(おご)らなくとも、一所(ひとところ)に留まれない「久しからず感」は、ありとあらゆる事象とっての性(さが)なのでしょう。
万物流転。
こちらの方がしっくりきますね。
Tsurutaです。
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インターナショナルギャラリー ビームスにも「ニュー」なものが「ニューカ」しました。その「ニューカマー」が、こちら。
今から約5年前に当レーベルで、いち早く提案していた「レギュラーカラー」のドレスシャツ。
当時はカッタウェイやワイドスプレッドがドレスシャツコーナーの主軸でしたが、インターナショナルギャラリー ビームスのオリジナルスーツと合わせて「レギュラーカラーの新型シャツを企画したい」とTsurutaがディレクターに提案をしたのがきっかけでした。
いまでは国産/輸入問わず、様々なブランドからレギュラーカラーのシャツがリリースされるようになりました。
世の中が「レギュラーカラー」に慣れてくると、次は自然と「ロングポイント」を目指してみたくなります。つまり襟先が長いレギュラーカラー。
どれぐらいの長さを「ロング」と感じるかは人それぞれ、時代それぞれでしょうが。今回は既存のレギュラーカラーよりも0.6㎝だけ襟先を伸ばしてみました。
「え?0.6?たったそれだけ?」と思うことなかれ。
ドレスシャツの世界では0.5cmが大事(おおごと)なのです。
百聞は一見に如かず。実際に見比べてみましょう。
こちらが既存のモデル、レギュラーカラーシャツ。
※2020年春夏のアイテムです。現在は販売しておりません。
そしてここから(↓)が2021年の新型。


ハイ。けっこう変わりますよね。
はっきりと別物。
インターナショナルギャラリー ビームスの「ニューレギュラーカラーシャツ」です。
新型「ニューレギュラーカラー」は襟先を伸ばしただけでなく、コバステッチの幅を変えたり、芯地を硬くしたり、フライフロントから前立て有の打ち抜きボタンに変えてみたり、カフスを3ボタンから2ボタンに減らしてみたり…。
0.6cm伸ばしただけでは大きな変化は感じられませんが、ちょっとした変化を5か所も加えれば全体として「はっきりと変わる」ものです。
もはやコロナとの闘いにも同じことが言えるでしょう。
1人だけでは世界は変わりませんが、1000人集まれば「はっきりと変わる」。
そして「変える」ために「変わる」。
ひとりひとりの行動が未来を変えるのだとしたら、自分がいま、変わる。
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2021年春夏は継続人気の「レギュラーカラー」と、攻めの「ニューレギュラーカラー」でレギュラーカラーの二本立てです。
レギュラーカラー2型。
ニューレギュラーカラー(先ほどの白無地を含めて)4型。
他には人気の「ラウンドカラー」と「タブカラー」も健在。
生地バリエーションは着る楽しさ満点の品揃え。
ラウンドカラーで4型。
タブカラーで3型。
え?ロングポイントのシャツを作りたいと思った理由?
それは当然ジャケットのラペルやショルダーライン、パンツのシルエットが関係してきます。互いに作用し合うのです。
ラペルはワイドに、ショルダーラインは力強く、パンツの裾幅は広く。
それはロングポイントカラーと相性が良いと思われるバランスであり、それはいま僕が個人的に思う美しさの整合性でもあります。
しかし、指をくわえて待っていても空から美しさが降って下りてくるわけではありません。
だから、まず僕は伸ばすのです。
シャツの襟先を。0.6㎝だけ。
このシャツが「いいね」と市民権を得ることが出来れば
ジャケットやパンツのバランスは自然と変わりゆくでしょう。
合わせてコーディネートするのだから。
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ニューノーマル。
新しい常識をただ待ちながら暮らすのはご免です。
まず変わる、そして変える。
襟先の0.6㎝がパンツの裾幅を1.0㎝変えることが出来れば、ジャケットの着丈は1.5㎝長くなるかもしれない。
シャツとジャケットが不可分の関係にあるように。
僕と世界もまた不可分である。
ニューレギュラーカラーを企画する僕の視線の0.6㎝その先に宿る力が、ジャケットのショルダーラインやパンツの裾を経由して、シューズを変化させ、人類がコロナと共生する未来を呼び寄せるかもしれない。
(そんな馬鹿な?)
でも、そんなこと、ありえないんでしょうか。
絶対に無関係だと言い切れるのでしょうか。
本当に???
風が吹けば、桶屋が儲かる。
万事、塞翁が馬。
はじめから分断をイメージして生きるよりも、希望のビジョンに繋がる最初の一歩をまずは踏み出したい。自分の力で。
願いは叶わない。
しかし、望めば(臨めば)届く。
(かなり)大袈裟に聞こえると思いますが、僕の2021年の所信表明はちょうどそんなところです。
Tsuruta