Gabor Szabo

Shinnosuke Okada 2021.03.16

お店のレコードからGabor Szabo(ガボール・ザボ)というジャズギタリストをご紹介します。


Gabor Szaboはハンガリー出身なのですが、彼が20歳の頃にハンガリー動乱という大きな蜂起が国内で起こったため、渡米する事となります。

そしてボストンのバークリー音楽院で音楽を学び、チコ・ハミルトンという名ジャズドラマー率いるバンドで腕を磨きます。


バンドを脱退してからはImpulse! Recordsと契約し、ユニークなリーダー・アルバムをリリースしていきます。

60年代から80年代前半頃にジャズミュージシャンとして活躍しました。


彼の音楽は強く自身のバックボーンを反映させていると感じます。

彼の哀愁と浮遊感の漂うギターフレーズ、中東や東欧を思わせる独特なサウンドは彼の出自を映し出しているように思えます。

アメリカにおけるジャズはかなり土着の物としての要素が強く、Gabor Szaboのようなオリエンタルな要素をミックスさせた音楽は当時非常に珍しかったのではないでしょうか。

Gabor Szaboのギター以外のバンドメンバーたちの演奏は従来のジャズらしいフレーズ、サウンドなのですが彼のギターだけ強烈な個性を放っています。


そのため、彼はフュージョンの第一人者として現代でも高い評価をうけています。

私のイチオシはアルバム『Gypsy '66』のタイトル曲である「Gypsy '66」です。

この曲は彼の一番の特徴でもあるフュージョン感にあふれたギター演奏を盛り込んだものとなっています。




彼はいままでにブログでご紹介したアーティストたちとも関係がありました。

CTI Recordsの回で軽くご紹介したGeorge BensonはGabor Szaboの書き下ろした曲である「Breezin'」をカヴァーしてリリースしています。



以前ご紹介したJoe Bataanもですが、アメリカという国には様々なバックボーンを持つ人々が人種や国境を越えてやってきています。

それ故、他の地域や国では起こりえなかった化学反応が起き、新たな音楽の潮流を生み出したのでしょう。


アーティストの生い立ちについて知ることは、音楽を聴く際に新たな視点を与えてくれます。

生い立ちも気にしてみるとより楽しく音楽を聴けるかもしれません。