SUSTAINABILITY

LGBTQ+を知って、みんなで考える。

2025.09.24

photo=Mina Soma
Text=Akiko Yamamoto
Edit=Jeep Creative Department

多様な感性を理解する。

LGBTQ+

B ALLY COMMUNITY

勉強会、第二弾!

サステナビリティ推進部と社内の有志メンバーによるB ALLY COMMUNITY主宰の、LGBTQ+に関する勉強会を行いました。

「LGBTQ+、知っていますか?」「LGBTQ+、知っていますか?」

B ALLY COMMUNITYとは、Know Your Neighborsをコンセプトに、誰もがジェンダーにとらわれることなく自由な自己表現を楽しめる環境をめざす社内コミュニティ。2024年に1度目の勉強会を行ったところ反響が大きく、2025年7月に2度目を開催。昨年に引き続きLGBTQ+メディアの代表を

務める太田尚樹さんを講師に迎え、さらに新しく(TT)pressの丹澤弘行さんにご登壇いただきました。テーマは「多様性」。初回はLGBTQ+を“知る”ことがねらいでしたが、今回は一歩進んで“知って、受けとり”、理解を深める勉強会となりました。

Feature

  • 太田尚樹
    大阪生まれ。編集者、ライター。主に動画コンテンツを制作、発信するLGBTQ+オウンドメディア「やる気あり美」代表。文芸誌での連載や脚本制作など、幅広い執筆活動に従事するかたわら、企業や自治体、学校などで講演を行う。著書に『グレーとライフ』(イースト・プレス)ほか。
  • 丹澤弘之
    インディペンデントな出版ユニット「(TT)press」のメンバー。会社員をしながら、アジアのLGBTQ+アーティストやジェンダーをテーマにした書籍やzineを多く扱う、東中野の独立書店「platform3」を運営。アジアのカルチャーやアートに詳しい。

LGBTQ+に関する基礎知識を学ぶ。LGBTQ+に関する基礎知識を学ぶ。

第一部は、太田さんと丹澤さんの自己紹介からスタート第一部は、太田さんと丹澤さんの自己紹介からスタート

第一部は、太田さんと丹澤さんの自己紹介、そしてLGBTQ+に関する基礎知識を学ぶ勉強会からスタート。太田さんが講演活動を始めた8年前は、LGBTQ+という言葉自体が知られていなかったといいますが、現在は言葉を知っていることを前提に、話を展開できるそう。とはいえ、理解度が進んでいるかというと別の話で、「同性婚を認めると少子化が進む」といった誤解はまだまだ多く、公平ではない現状と、当事者がプライペートを話しづらい社会の雰囲気があるのは確かです。
「身近に当事者がいない」という声も聞かれますが、太田さんいわく、「いない」のではなく、さまざまな理由でカミングアウトしていないため「いないように見えている」だけなのかもしれません。もちろん、カミングアウトをしない理由はいろいろ。「困っていない、そっとしておいてほしい」から“言わない”という当事者の選択もありますが、日本では同性婚を認めるための法整備は進んでおらず、社会の中で不利益や差別を受ける可能性もあり、“言えない”人が多いと考えられます。
あるデータでは、「LGBTQ+を容認するべき」と考える日本人の割合は、台湾や韓国に比べて高いものの、「カミングアウトを歓迎する」割合は低いことがわかっています。これは、日本で男色文化が古代から存在しており、 “秘め事”のように捉えられてきた歴史が関係しているのかもしれません。

2回目の登壇となる太田さん。軽妙なトークに自然と引き込まれていきます。

丹澤さんはアート文脈でのLGBTQ+カルチャーについてお話ししてくれました。

海外のLGBTQ+カルチャー、そしてアートシーンのこと。海外のLGBTQ+カルチャー、そしてアートシーンのこと。

たとえば韓国では、伝統的な家族観を重んじる儒教の影響もありLGBTQ+の理解に対して消極的な印象がありましたが、K-POPアーティストのカミングアウトなどによって若い世代を中心に意識変化がみられるようになっています。2023年にはソウルで開催されたクィアパレードに3万5000人が参加しましたが、同日、すぐ近くで反対デモも実施され、韓国の現状が浮き彫りになりました。
一方、台湾はアジアで初めて2019年に同性婚の合法化を実現。カミングアウトや同性婚を祝福する雰囲気が当たり前のフェーズになってきました。そこには、民主化の過程で多くの人権に対する概念を吸収してきた社会的背景が大きく関係していると思われます。
丹澤さんは、アジアのアートシーンを切り口に、台湾や韓国、タイなどのzineや映像作品を通して、LGBTQ+についての表現を紹介。アートに触れて作品を楽しむことが、結果としてLGBTQ+当事者の気持ちを慮るきっかけになる。そんな「知り方」があることも、教えてくれました。

やっぱりまずは、きちんと知る、ということが大切です!

今回の勉強会には、設楽社長も参加し、メンバーたちの熱量のある討論になんども頷きながら耳を傾けていました。

B ALLYメンバーと台湾出身スタッフによる討論会は、アートシーンを切り口にしたテーマについてのディスカッションや台湾でのLGBTQ+の捉えられ方など、1回目よりもさらに踏み込んだテーマについて話し合いました。

Message from BOSS

  • 設楽社長も、40年前からALLYです!!
    「僕は、ALLYという言葉がなかった40年前からALLYです。親しい友人にも当事者が非常に多くいまして、いろいろなことを学んできました。とくにファッションというジャンルをやっていると、LGBTQ+に限らずマイノリティやアンダーグラウンドから生まれるものは相当にあり、それらを吸収してカルチャーを構築してきました。社内でもパートナー制度をつくりましたが、世の中をハッピーにするすべての人や、いろいろなジャンルの人をハッピーにしていきたいので、これからもこのような活動を継続していけたらいいなと思っています」

身近な人のこと、ちゃんと知ろう!身近な人のこと、ちゃんと知ろう!

第二部は、6人ほどのグループに分かれて座談会。第二部は、6人ほどのグループに分かれて座談会。

第二部は、6人ほどのグループに分かれて座談会。まずはさまざまなテーマが書かれたカードの中から1枚を選び、グループディスカッションを行いました。ルールは、思いやりをもった、オープンで台頭な発言を心がけること。そして、相手の考えを否定、批判しないこと。ジェンダー、多様性というと壮大なテーマに聞こえてしまいますが、接客の現場に落とし込んでいくと、より自分ごととして考えることができ、それぞれのグループで活発な意見交換が行われていました。
二つ目のお題は、アニメ映画について。古くから知られるプリンセス映画の実写化にあたって、主人公を黒人俳優が演じたことで、賛否両論を巻き起こしました。この問題について話し合いがなされると、「もともとのアニメを見て原作に思い入れがある人は特に違和感を覚えるのでは?」「白人ではないプリンセス像ができたことで、喜ぶ子どもたちが増える。私もプリンセスになれるかも?と思わせる力がある」といった活発な意見交換がなされました。こういったテーマに正解があるわけではありませんが、自分の意見を発言することや、人の意見を知って考えるだけで大きな意味があると、太田さんは言います。

B ALLYカードを使ってランダムに決めたテーマで話し合うメンバーたち。多様な考え方を認め合いながら、楽しくも真剣な討論が繰り広げられました。

さまざなまカルチャーの視点からLGBTQ+についてお話しされる丹澤さん。

はじめて聞いたことがたくさん!

Impression

LGBTQ+をより深く理解するということ。

  • 今後はたくさんの人たちと意見交換できるような場もつくりたい!
    B ALLY COMMUNITY は、「Know Your Neighbors(隣人を知ろう)」をスローガンに掲げ、 一人ひとりが本当の意味で“私らしく”いられる、心地よい環境づくりを目指して始まった活動です。 ビームスは今年のプライドマンスに合わせ、台湾出身のフォトグラファーManbo Keyさんの展覧会に協賛。 台湾にも店舗を構えるという親和性を活かし、アジアにおけるLGBTQ+を取り巻く状況やアートシーンを深掘りすることをテーマに、お二人にご登壇いただきました。 アートやファッションなど身近な切り口をご用意いただいたことで、初参加の人も二度目の人もそれぞれに理解を深められたと思います。現時点では、B ALLYメンバーからの情報収集&発信が中心となっていますが、今後は、みなさんの意見や想いを交換できるような場もつくっていけたら嬉しいですね。(デザイン課 竹村)
  • 一緒に働く仲間との接し方を学びました。
    私は、アーティストで「やる気あり美」のメンバーでもある井上涼さんがつくった『確信』というアニメーションコンテンツを見てファンになって、いろいろなコンテンツを見て太田さんを知っていたので、今回、勉強会に太田さんがいらっしゃると聞いて、絶対参加しようと決めていました。友人には当事者がいますが、会社では出会ったことがありません。今日の太田さんや丹澤さんの話を伺って、もしかしたらカミングアウトをしていない人がいるかもしれないなと思いました。もしかしたらLGBTQ+の当事者だけでなく、生きづらさを感じているのに言えない人が身近にいるかもしれない。そんなふうに考えられるきっかけをもらえたし、一緒に働く仲間の抱えている気持ちを知ったとき、どう接したらいいかヒントになった勉強会でした。それから、私は店舗スタッフなので、本社や別の店舗のスタッフなどと話ができて社内に知り合いが増えたのも嬉しかったです。(ビームス 横浜東口 スタッフ 川井)
  • みんなが当たり前に暮らせるように。
    私は台湾出身で、ビームスの台湾の店舗で働いていた経験もあります。台湾では、2019年に同性婚が合法化されましたが、その前の2017年にプライドパレードが行われたときには、ビームスは会社として応援の姿勢を見せてくれたため、スタッフは揃いの服を着てイベントに参加しました。その時は、この会社で働けることを誇りに思いましたし、日本国内でこのような勉強会ができることも素晴らしいことだと感じています。今日のお話を聞いて、LGBTQ+だけでなくさまざまなマイノリティに対する偏見をなくし、すべての人が当たり前に暮らせる日本にしていけたらいいなと改めて実感しました。(グローバルビジネス部 林)

最後は懇親会でコミュニケーション!最後は懇親会でコミュニケーション!

フィジカルだからこそ感じる、言葉のちから。フィジカルだからこそ感じる、言葉のちから。

イベントの最後を飾ったのは、ビームス本社のバースペースでの懇親会。グラス片手に、太田さんや丹澤さんを囲んで語らう時間は、学びを“自分ごと”に落とし込むための、もうひとつの大切な場となりました。参加者同士がリラックスして言葉を交わすなかで、「店舗でこんな経験があって…」「こんな伝え方をしてみたい」といったリアルな現場の声や気づきが自然とシェアされていきます。顔を合わせて話すことでこそ深まる実感や理解。それはまさに、ビームスが大切にしている「人と人との心地よい距離感」そのものでした。LGBTQ+というテーマも、誰かを“理解しなければ”と構えるのではなく、まずは目の前の相手に関心を持つことから始まる。その一歩を、肩書きも部署も越えて、対話を通じて踏み出せたこの時間は、ハッピーライフソリューションコミュニティーズを体現する大切な時間だったように思います。

もっともっといろんなイベントを開催したい!


知りたいこと、たくさん、

Cross Talk

OTA/TANZAWA

企業とLGBTQ+

イベント終了後、おふたりに今回の勉強会を通じて感じたことを伺いました。参加者の姿勢や対話の空気感について、それぞれの視点で語っていただきました

もっと教えて、太田さん、丹澤さん!もっと教えて、太田さん、丹澤さん!

Q.勉強会の感想は?

A.前回はLGBTQ+の基礎知識について最初から最後までやっていたので、今回は去年よりも深いテーマになったと思います。それでも、はじめての方含めてみんな当事者意識を持って参加してくれているなと感じました。お客様と接する企業ということもあって、人を理解しようというエネルギー値のベースが本当に高い。ビームスプライドとでもいうのか、スタッフの皆さんの、自分たちが日本のカルチャーを牽引してきたし、次のカルチャーをつくっていくんだという気概がより強く感じられた2回目でした。(太田さん)

Q.今回、アジア、アートという新しい観点もありました。

A.こういった勉強会は初めてでしたが、アートがLGBTQ+を知るきっかけにもなり得るとわかったことが発見でした。作品としては、ゲイを自認する6人とストレートの友人6人のお互いの友情との関係、カミングアウトなどについて記録した韓国のzineをはじめ、既存のメディアには載らないzineをいくつか紹介させていただきました。お金をかけずにつくったプライベートな作品が中心ですが、記録を残すことが大切だと思っていますし、zineは小さい声を届けるためにもいい媒体です。ときに意見の衝突に疲れてしまっても、本は誰ともしゃべらなくていい。なんらかの理由で勉強会に参加できない人でも、作品を手に取ることで文化や考え方を通じ合わせることができます。(丹澤さん)

Q.企業がこういったテーマに取り組む意義は?

A.僕自身、ゲイであることを受容することでLGBTQ+だけではなく他者との向き合い方の受容レベルが明らかに上がりましたし、自分自身の個人の生きやすさにもつながりました。今、マネジメントのお仕事もしているのですが、やはり人は皆違うものだという前提で、相手の話を受け取りながら「こうしてほしい」と伝えるときに自分の経験が確実に生きていると感じます。対話のスキルが格段に上がるので、そういった社員が増えると企業にとっても必ずプラスに働くと、自信をもって言えます。(太田さん)

僕も会社員ですが、自分の勤めている会社がこういった勉強会をしたり、LGBTQ+アーティストの活動に協賛することは、社内外に会社の姿勢を伝えるメッセージになると思っています。それは、積極的に活動に参加していない社員にも伝わりますし、そういった取り組みを会社がしていること自体が、社員のプライドにつながると思っています。(丹澤さん)


INFORMATION

  • 『グレーとライフ』(イースト・プレス)
    太田さんが雑誌『ソトコト』で連載していた「ゲイの僕にも、星はキレイで肉はウマイ」を加筆・修正、書き下ろしを加えた書籍。マイノリティの生きづらさと向き合いながら、確かな希望を見出す太田さんの心のうちが、美しくやさしい自身の言葉で書かれている29篇のエッセイ。1篇ごとに挿入される余白ページに、読後の余韻が続く。