「お洒落は足元から」 と言われるように、靴はあなたの第一印象を大きく左右する重要なアイテム。いくらスーツやジャケットに気を使っていても、靴が汚れていてはだらしない印象を与えてしまいます。そこで今回は、基本中の基本である、カーフレザーのケア方法をご紹介。

〈ビームス F〉のサービスマスター大岡靖治が、初心者でも簡単にできる革靴のお手入れを、ステップごとに解説します。お客さまから信頼を集め、リペアの相談からシューケアまで一任される、大岡ならではのこだわりポイントにも注目です。

下準備

下準備

シューツリーで革靴の型崩れを防ぐ

「靴を正しい姿勢に戻す意味で、シューツリー は普段から使用してもらいたいアイテムです。シューケアを行う際にも、シワが伸び汚れが落ちやすくなるので、シューツリーを入れた状態からスタートしてください」

STEP 1 汚れを落とす

STEP 1 汚れを落とす

  • 美しい仕上がりの秘訣はブラッシング

    「均一に全体をブラッシングしていきます。コバ(ソールの側面)の部分も汚れが溜りやすいので忘れずに。ホコリを取るだけでもある程度のツヤが戻ってきます。私は豚毛のブラシ を愛用していますが、きめの細かい馬毛のブラシ もおすすめです」

  • クロス(布)を準備

    「指先の部分を使って磨いていきます。私の場合、指2本にクロスをかけて絞るようにし、余った部分を2周させて固定します。クロス自体は市販のものもありますが、基本的には水分を吸いすぎないもの、着古したシャツやTシャツでも代用できます」

  • リムーバーで汚れを落とす

    リムーバー(汚れ落とし) は付け過ぎないように、少量ずつ。洗車機のように円を描きながら、汚れを取り除いていきます。ある程度クロスに汚れが着いたら、場所をずらしましょう」

  • 力を入れずに均一に

    「汚れに応じて繰り返し、靴に付いている古いクリームと汚れをしっかりと落とします。よく"化粧をしっかり落とすことで、化粧ノリがよくなる"と言われように、クリームを塗る前に必要な作業です」

STEP 2 クリームを塗る

STEP 2 クリームを塗る

  • 革靴にはクリームで栄養補給を!

    「革に栄養を与え、光沢を出す効果のあるクリーム を塗ります。靴の色に合わせたものを用意してもらうのがベストですが、まずは基本的にすべての色に使える無色を用意しましょう」

  • 光沢を出すためには水を使う

    「水分量の多いクリーム(乳化性のクリームなど)を使用する場合は不要ですが、光沢を出すためには水を少量使うのがおすすめです。私の場合は、指を水につけ、クリームを塗りたい箇所に数滴垂らします」

  • クリームで磨く

    「垂らした水にクリームを混ぜながら、先ほどと同様に円を描きながら磨いていきます。クリームは一度だけではなく、何回も薄く塗り重ねることで光沢が増します」

  • 仕上げにブラッシング

    「全体に塗り終わり、革に光沢が出たら、クリームを均一にするために全体をブラッシング。ここまでが基本的なシューケアですが、さらに柔らかい布で磨くと余分なクリームが取れて、服に色が付くのを防げます」

STEP 3 鏡面仕上げ

STEP 3 鏡面仕上げ

  • ワックスでワンランク上の輝きに

    「さらにツヤを出すにはワックス を使用します。クリームを塗ってから30分くらいは時間を置いてください。買ったときの色合いを維持したい場合は、色付きの物がいいでしょう。ただ最初に塗るときは目立たない場所で、色の載りを確認しながら行ってください」

  • 水とワックスを混ぜながら磨く

    「少量のワックスを水で伸ばしながら磨いていきます。ワックスはクリームよりも伸びにくいので、水の量と付ける頻度は多めが良いでしょう」

  • 基本的には芯のはいっている箇所

    「ワックスを塗る際に注意するポイントは、曲がる箇所まで塗ってしまうとヒビ割れの原因になること。基本的につま先など、芯の入っている箇所に使用しましょう。この工程も、少量を何度も繰り返すことでよりツヤが出ます」

完成

完成

ツヤはもちろん、撥水効果も

「ワックスはあくまでお好みですが、使用することでつま先にツヤが出るのと、雨が降ったときの撥水効果が得られます。私の場合、シューケアはコーヒーを飲みながらや、天気の良い日に椅子を出して外で行ったりと気分転換にもなっています」

シューケアのQ&A


シューケアのQ&A


シューケアの頻度は?

1ヶ月に1回程度を目安に、しっかりとしたシューケアを行いましょう。出かける前にブラッシングでホコリと汚れを落とすだけでもOK。ブラッシングをしても「ツヤが出てこない」と感じたら、ケアをする合図です。

新しい靴のケア方法は?

基本的にケアは不要ですが、革が硬い場合は、M.MOWBRAY SAPHIR など、革を柔らかくする成分の入ったデリケートクリームを塗りましょう。柔らかくすることで、足馴染みが良くなることがあります。

靴を長持ちさせるには?

1日履いたら数日休ませましょう。シューツリー を使用するのもおすすめです。

雨で濡れたときの対処法は?

濡れたまま放置すると革が硬くなり、ヒビ割れの原因にもなります。インソールまで濡れてしまった場合は、表面を拭いてから、刻んだ新聞紙などを半日ほど詰めて中の水分を取りましょう。梅雨時期などは、雨に強いラバーソールの靴を揃えると重宝します。

靴を磨きなさい。そして自分を磨きなさい

「靴に関しては様々な格言がありますが、これはベルルッティの言葉ですね。私には格言と呼べるような代物はないですが、コーディネートの組み立ては靴から行うことが多いですし、しっかり磨いた靴を履いて出社するとその日の気分が違います。また、ヨーロッパの有名なシューズブランドなどでは、オーダーはもちろん、その後のリペアまでできて一流と言われています。私もその心意気に感化され、信頼関係が築けたお客さまのシューケアを担当させていただいてます。"お洒落は足元から"とよく言われますが、ブランドや値段ではなく、手に入れたものを大切に扱い付き合っていくということも大切だと常に感じています」

ビームスF サービスマスター 大岡 靖治
今回ご紹介したシューケア関連以外にも"STYLEでありFASHIONではない目線と時代の空気感"をテーマにしたブログを独自の視点で公開中。



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