昼も夜も忙しく過ごしている人が、もっとも自分らしくいられる時間。限られた時間だからこそ、好きなことや大切なことに向き合えるし、普段出会えない人と交流が生まれたり、ライフスタイルが豊かになります。そんな「朝活」を自然と楽しんでいる人たちをフォーカスしたB:MING by BEAMSの新連載がスタートしました。 第四回は、集英社UOMO編集部の稲葉翔さん。ファッションや時計を担当するかたわら、今やサウナ好きが高じて自身の連載企画を持つまでに! 今回は雑誌の企画で訪れたサウナの本場、フィンランド取材に密着しました。

Photo_Go Tanabe
Edit&Text_Masayuki Ozawa

ジムでは、サウナに入るために運動している気がします。

Q:稲葉さんのサウナ好きは、いつからですか?

「もう10年以上も前になります。その時は女性誌の『non・no』という部署に所属していました。周りが女性ばかりでしたので、数少ない男性社員やデザイナー同士の結束が強かったというか。仕事が忙しくて行き詰まったり、校了明けですっきりしたいときに、風呂好きの先輩社員の影響で、みんなで会社近くの「スパ ラクーア」に通っていたんです。僕も含めて、あまりお酒は得意でない人たちの集まりだったこともあり、飲みよりも風呂というルーティーンがいつのまにか出来上がっていました。ただ最初から猟奇的なサウナ愛があった訳ではなく、いわゆるなお風呂好きでした。ある時、「スパ ラクーア」で当時ではまだ珍しかった”熱波”のイベントに参加したんです。熱波師によって熱せられたサウナストーンにアロマ水をかけて蒸気を発生させ、タオルをぶんぶん振り回して対流を起こす。厳密にいえばそのスタイルを”アウフグース”と呼ぶのですが、その猛烈な熱さに衝撃を受けただけでなく、その後の水風呂で体を冷やす気持ち良さに初めて気づいたんです。そこからは、もう、仕事の息抜きはもっぱら熱波です。」


Q:そこから行動範囲はどんどん広がっていくのですね。


「基本的に僕のホームグランドは「スパ ラクーア」ですが、新宿のテルマー湯や、綱島の湯けむりの庄など、オープンの情報を得たらみんなで遠征に出かけていました。すると、僕も家の近くにある町銭湯にも興味を持ち始めて、開拓していった感覚です。また、通っていたジムのサウナにも頻繁に入るようになりました。水風呂との温冷交互浴には、筋肉痛予防の効果があるそうです。それまでは、運動した後にさくっとシャワーを浴びる程度でしたが、1時間くらいゆっくりと入ります。むしろサウナに入るために運動しているかもしれません。でも、目的はウェルネスですし、それを実感することも多いです。「〜〜〜に行ったことがある」とか「週に〜回」通っているとか、そういったサウナ自慢にはそれほど興味はありません(笑) いろんなところでリラックスして、健康を実感したい。それが一番ですね。」

のんびりと汗をかくためではなく
1日のエンジンをかける場所


Q :朝サウナのどこにメリットを感じていますか?

「公衆浴場は午後からのオープンが一般的ですが、それこそ「スパ ラクーア」などの大型施設や出張先のホテルなら、朝からサウナを楽しめます。僕は目覚めがよくないので、朝シャワーに近いかもしれません。100度のサウナに入れても100度の熱湯に入れないように、サウナって湯船に浸かるよりも心肺への負担が少ないと言われています。さらに僕は冷え性で割と朝、足が冷えているので、高い温度で芯から温まることができるのは嬉しいです。そして、僕は仕事のことを考える時間にしています。サウナの中で原稿の骨組みを構成したり、プランを頭の中で作成し、家や会社に戻ってガーッと書くみたいな。決してぼーっと時間が過ぎる場所ではなく、その日を過ごすためのエンジンをかけるきっかけになっています。」

バスタオル ¥4,900+taxフェイスタオル ¥1,500+tax

Q :それが今では自身の雑誌で連載をもち、大特集を担当するまでに!


「じつはUOMOに異動してから7年間、サウナのテーマを企画会議に提出し続けてきましたがまるで採用されず……。「なんでサウナを熱く語ってんの?」的な雰囲気も感じていましたね。なかなか魅力を理解してもらえなかったけど、最近になって同僚や仕事で会うクリエイターたちもサウナ好きが多くなった空気を察してか、数年前に小さなサウナ特集を任されたんです。それを現編集長が前の部署にいた時に読んでくれていたようで「そんなに好きなら自分で連載すれば?」とチャンスをくれました。自分の興味分野を見てくれる人が増えたことは、素直にうれしく思います。」


Q:そしてフィンランド出張にまで発展したんですね。改めて、サウナの本場に訪れて、感じた魅力はありますか?


「”サウナに貴賎なし”に尽きると思います。日本は今、ちょっと異常なブームに盛り上がっていますよね。僕自身もかつてそうでしたが、日本はサウナをご褒美的なイベント、と特別視しているところもあります。しかし、日本の家庭に湯船があるように、フィンランドの家にはサウナ室がある。生活への密着を実感しました。公衆サウナに取材へ訪れても、出勤前の人も普通にたくさんいました。根付いているとは、つまり文化です。僕はロンドンの街中にぽつんとあったハイバリー・スタジアム(※サッカープレミアリーグ、アーセナルの旧ホームグラウンド名)を初めて訪れた時を思い出しました。試合開始直前になってぞろぞろと地元の客が集まり始めたかと思えば、いつの間にか満員になって試合を応援し、終わったらさっと帰る。日常の中に観戦がある、アーセナルファンのサッカー愛に近いものを感じました。」

サンダル ¥6,800+tax<ウーフォス>


Q :稲葉さんにとって「朝」とは、どんな時間ですか?


「1日のご褒美に夜のサウナが待っていることで、頑張れることもあるのですが、早起きして自主的に何かすることで、その後の1日を能動的に過ごせると思います。ちなみに朝サウナを続けるために必要なことは、夜サウナを続けること(笑)以前読んだ『スタンフォード式 最高の睡眠学』によると、入眠してからの90分を良質にすることが大切と書いてありました。つまり、自分をリラックスした状態で寝るのが一番ということです。サウナって自律神経が整うので、副交感神経優位の状態で眠りにつける。つまり起床とは、入眠から始まっているんです。編集という仕事は、毎日のスケジュールが変則的で、なかなか平日整えることが難しい。だからせめて週末は、サウナに入って寝ることで、朝すっきりとサウナに入れ、いろいろなことを考えたり、狂った体内時計をリセットし、美味しい朝ご飯を食べる。すると何事にも前向きに取り組むことができるんです。」

稲葉 翔
SHO INABA


1981年生まれ。2004年に集英社に入社。『non・no』や『Marisol』といった女性誌を経験し、2012年より『UOMO』編集部に所属。 熱波師の検定を受講するなどサウナを本格的に追求し、先日は通い詰めた「スパ ラクーア」にてUOMOのサウナイベントを実現。また出張などのルポは自分で撮影するほどの写真好きでフィルム、デジタル問わず所有している。愛機はライカの「M9」とソニーの「α7 II」。サッカーやプロレスなどのスポーツ観戦もライフワーク。

稲葉 翔
SHO INABA


1981年生まれ。2004年に集英社に入社。『non・no』や『Marisol』といった女性誌を経験し、2012年より『UOMO』編集部に所属。 熱波師の検定を受講するなどサウナを本格的に追求し、先日は通い詰めた「スパ ラクーア」にてUOMOのサウナイベントを実現。また出張などのルポは自分で撮影するほどの写真好きでフィルム、デジタル問わず所有している。愛機はライカの「M9」とソニーの「α7 II」。サッカーやプロレスなどのスポーツ観戦もライフワーク。

お気に入り