昼も夜も忙しく過ごしている人が、もっとも自分らしくいられる時間。限られた時間だから好きなことや大切なことに向き合えるし、普段出会えない人と交流が生まれたり。そんな豊かなライフスタイルを自然と楽しんでいる人たちをフォーカスした連載「朝活」。 第六回は、渋谷や白金台で3店舗を手がけるフレンチシェフ・原太一さん。ビストロなのに8時からオープン。そんな新しいスタイルが生まれた背景について、宇田川町の隠れ家的存在の『Rojiura』で話を伺いました。

Photo_Ayumi Yamamoto
Edit & Text_Masayuki Ozawa

長く続けることで、ビストロのモーニングを文化に

Q:『Rojiura』では、朝8:00から営業をスタートしています。ビストロにしては珍しいスタイルですね。

「2011年にオープンしましたが、朝の営業をスタートしたのは数年経ってから。2015年くらいだったと思います。はじめは富ヶ谷にある系列店の『PATH』で始めてみて、その後すぐに『Rojiura』でも取り入れるようになりました。もともとは夜のビストロを確立させてから、と思っていたんです。飲食業って、毎日夜遅くまで働くことが当たり前なところがあって。もちろん自分もそうでしたが、30代になると朝の重要性を考えるようになりました」


Q:朝を意識したきっかけを教えてください


「もともと朝は好きなんです。朝ごはんとか好きですし。子供の頃、休みの日に親父が朝7時くらいに起きてきて、家の近所のパン屋さんでなんか買ってきて、と1000円を渡すんですよ。それが幼少期の自分にとってめちゃめちゃ幸せな時間で。思い返せばその時から僕のモーニング好きが始まっていたのかもしれません。大人になってからは、海外の朝がすごく好きになりました。結構早く目が覚めちゃうタイプで、みんながまだ寝ている時に一人で散歩がてら、カフェでコーヒーを飲みながらパンを食べる時間が至福で。東京でもできたら良いな、とずっと思っていました。実際、参宮橋にある「LIFE son」にパドラーズコーヒーが併設されていたんですが、そこでコーヒー飲みながら隣のタルイ・ベーカリーで樽井さんが焼いたパンを買って食べることを、週1ペースで実践していた頃もありました」


Q:食べる以外に、朝できて良いなと思うことはありますか?


「待ち合わせですね。朝、人と時間を決めて会うって、あまりないじゃないですか。一緒にご飯食べて、そこから仕事にいくとか。自分のお店で朝を始める前は、それこそスタッフと「明日行く?」みたいなこともよくやっていました。ちなみに僕、あまり家で料理しないんです。朝作るとしても、フレンチトーストとかヨーグルトくらいで。基本的に外食が好きですね。」


感覚が研ぎ澄まされる朝は、シンプルで本質を追求したい

Q:朝メニューで心がけていることはありますか?

「スープやサラダでも丁寧で、本当にナチュラルで美味しいものがいいと思っています。シンプルで本質のあるものを作りたいですね。昔のレストランって盛り付けが華やかで、とりあえず飾っときゃいい、みたいな風潮もありました。でも「それって本当に必要なこと?」と思い始めて、ミニマムにすると逆にかっこよく見えることが増えたんです。例えば『Rojiura』には朝メニューにかぼちゃのスープがありますが、上にナッツをちょっとだけ乗っけてオリーブオイルをかける、引き算的な盛り付けの方が絵になるんですよ。あと、朝って何も食べていないから、味覚が鋭くなって素材の良さを純粋に楽しめると思います」


Q:朝営業を始めて、自分の中に変化はありますか?


「お客さんがたくさん来てくれる光景を見ていると、自分がいいと思っていたことが間違いじゃなかったって実感できるのがうれしくて、朝起きることが嫌じゃなくなったかな。今はInstagramの影響で話題になってくれたバターサンド目当てに来てくれる若い人がすごく多いんです。朝ごはんを食べに行く、ではなく朝のメニューしかないから仕方なく、という理由であれば、考えにギャップを感じる時もあるのですが、それでも一緒にスープオーダーして飲んでもらって『朝ごはんって美味しい』と感じてもらえたら。やっぱり『Rojiura』も『PATH』も夜はビストロじゃないですか。最近はカジュアルなスタイルも増えましたが、まだまだフレンチって敷居が高いと思うんです。でも朝のいい時間を過ごして、夜も来てみようかな、とか、背伸びして彼女の誕生日に予約してみようかなとか。フレンチの入り口になれたら最高ですね」


Q:これからの朝の生活をどうしていきたいですか?


「あまり理想は高く持ちすぎず、長く続けることが一番だと思っています。朝は毎日来るものだし、一過性の”朝ごはん”ブームにはなって欲しくはない。僕は日常の連続の先にカルチャーがあると思っています。決してそれが流行らなくなったとしても、続けることで朝が好きな人がお店に集まって楽しんでくれたら、それが文化になると思うので。『Rojiura』と『PATH』が、その老舗みたいな存在になって欲しいです」

カットソー ¥6,400+tax<ビーミング by ビームス>

原 太一
TAICHI HARA


1981年生まれ。東京都出身。大学生の頃にカフェカルチャーに興味を持ち、卒業後、本格的なフレンチレストランで修行。2011年に渋谷・宇田川町にビストロ「Rojiura」を開店。フレンチを日常の中で親しんで欲しい気持ちがメニューやスタイルに表れ、瞬く間に話題のお店に。2015年にフランスの光星店でシェフを務めた朋友、後藤裕一氏とともに渋谷・富ヶ谷に『PATH』をスタート。2019年3月には白金台に多国籍料理と自然派ワインとカクテルが楽しめる『LIKE』をオープン。
Instagram:@taichihara



1981年生まれ。東京都出身。大学生の頃にカフェカルチャーに興味を持ち、卒業後、本格的なフレンチレストランで修行。2011年に渋谷・宇田川町にビストロ「Rojiura」を開店。フレンチを日常の中で親しんで欲しい気持ちがメニューやスタイルに表れ、瞬く間に話題のお店に。2015年にフランスの光星店でシェフを務めた朋友、後藤裕一氏とともに渋谷・富ヶ谷に『PATH』をスタート。2019年3月には白金台に多国籍料理と自然派ワインとカクテルが楽しめる『LIKE』をオープン。
Instagram:@taichihara

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