Good Sleep! Vol.2
睡眠の質を変えて、キープ・オン・ビューティ!
Featuring
白濱龍太郎
(医学博士/産業医/慶應義塾大学特任准教授/RESM新横浜・院長)
筑波大学卒業、東京医科歯科大学大学院統合呼吸器学修了(医学博士)。同大学、睡眠制御学快眠センターなどでの臨床経験を生かし、総合病院などで睡眠センターの設立、運営をおこなう。2013年、「RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニック」を設立。社会医学系指導医、睡眠学会専門医、認定産業医の資格を有し、教育、啓発活動にも取り組む。著書に『熟睡法ベスト101』(アスコム)、『人生が劇的に変わる睡眠法』(プレジデント社)などがある。

快眠女子になるべく画策中のbb部員のふたり。白濱先生に聞きたいこと、盛りだくさん!
そもそも「睡眠」ってなんですか?
睡眠とは、わかりやすくいえば「充電」作業です。スマホも充電しなければ正常に作動しなかったり、電源が切れたりしてしまうように、私たち人間も睡眠なしでは活動できません。また一説では、生き物が一生の間に打つ脈の回数は決まっているといわれています。たとえば、脈拍数の早いハツカネズミなどの小型生物は短命で、ゆっくり脈を打つ象などの大型生物は長生きですよね。基本的に睡眠中は脈拍数が落ち、日中活動中の脈は速くなります。そのため、ずっと速い脈をキープしていたとすると、我々は本来与えられているはずの寿命を生き抜くことすらできなくなってしまうのです。
01 Recovery
生きていく上で睡眠は必要不可欠
睡眠中の体内では、実にさまざまなことがおこなわれています。たとえば、細胞の修復。傷などを回復させるだけでなく、肌のターンオーバーもこれにあたります。また注目すべきは、免疫力の向上。昔から、「睡眠をきちんととっていると風邪をひきにくい」というのが通説ですが、これは理にかなっている。実際、意図的にウイルスを体内に入れるという実験でも、十分睡眠をとっていたグループは発症しにくかったというエビデンスがあります。そのほか、成長・発達、記憶の整理・定着なども含めて、睡眠はなくてはならない時間なのです。
02 Relax
まずは睡眠のメカニズムを知ることが大事
睡眠には、「交感神経」と「副交感神経」が大きく関わっています。基本的に私たちは、アクティブに活動している時は交感神経が、リラックスしている時は副交感神経が優位になる。前者はアクセル、後者はブレーキをイメージしてもらえると、わかりやすいと思います。
しかし実は生き物は、アクセルは操作できても、ブレーキを意図的に踏むことができないんです。たとえば、緊急事態が起きた時に走って逃げることはできますが、急に「はい、今すぐリラックスして!」と言われても、くつろげないですよね。むしろ緊張してしまうことが多い。これが、睡眠に関する悩みを抱える方の多さにつながっているといえるでしょう。
白濱先生の解説に「ほ〜!」っと納得する、bb部員の飛田。
03 Good Sleep
快眠の定義は人それぞれ
「20分以内に入眠できているか」「眠りの前半に、深い睡眠がとれているか」などの教科書的なお話をすることはできますが、実際は個人差がとても大きい。ひとつ指標にするならば、「自分が本来もっているポテンシャルを、起きている間にきちんと発揮できているか」です。2週間ほど自分の生活パターンを記録して、日中のパフォーマンスへの影響を俯瞰してみるのがおすすめ。そのうえで、快眠を阻害していると思われる要因を取り除けばいいんです。
しかし何よりも重要なのは、自分の人生において譲れないことは何か、優先順位をつけること。寝る前のスマホを完全に禁止したことによって、逆にストレスがたまって睡眠に悪影響が出ることも考えられます。自分にとっての幸せとは何か、向き合ってみることが快眠への第一歩です。
RESM新横浜では「睡眠検査付き宿泊プラン」も用意されており、より詳しく自身の睡眠について調べることができる。

院内には白濱先生の著書も含めて、睡眠にまつわる本がずらっと並べられている。
快眠法っていろいろあるけど、実際どうなんですか?
前編の記事で、5つの快眠方法を実際に試してみたBB部員。その効果について、白濱先生の率直なご意見を聞いてみました。
眠れない夜に、「お灸」はきく?
東洋医学的な考え方でいうと、たしかに「眠りに効くツボ」というものが存在します。僕はその分野の専門家ではないので、すべてのツボを把握しているわけではありません。でも、ツボにアプローチした際に何が起こるかという、調査結果については注目しています。それらを見ると、お灸などを使って特定のツボに刺激を与えた際に、睡眠に有効に働いたというエビデンスは存在する。個人差はあるかもしれませんが、試してみる価値はあると思います。
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巷で話題の「ブレインスリープ ピロー」って、どうなの?
一日の活動を終えた私たちの体は、長時間稼働していたパソコンと同じ状態。体温が高い状態になっています。“ログオフ”してゆっくりと眠るためには、体温を下げることが必要不可欠。まずは手足などの末端や、体の表面の温度である「体表温」が下がり、そのあと内臓などの「深部体温」が下がっていくに従い、自然な眠気を催す仕組みになっています。脳の温度は深部体温なので、ここを冷やす「ブレインスリープ ピロー」にも効果は期待できます。
ブレインスリープ ピロー。睡眠に関わるプロダクトを多数開発する、BRAIN SLEEPが手がけた枕。他社の枕と比較すると頭部の温度が低く保たれ、深い眠りに導く。
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「メラトニンサプリ」で、寝付きはよくなるの?
メラトニンは、睡眠に必要なホルモンのひとつ。本来は体内で分泌されるものですが、これを外から取り入れてしまおうというのが、メラトニンサプリです。睡眠サプリにはさまざまな種類がありますが、中でもメラトニンは治療薬として医師が使用することもある成分で、効き方にはかなり個人差があります。市販のものは、もちろん認可された商品なので危険性はありませんが、使用にあたっては専門医に相談してもらえると安心ですね。
Now Foods メラトニン ベジカプセル。メラトニンを有用成分とする、安眠をサポートするためのサプリ。摂取することで、自然な眠りへと導きます。
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「頭浸浴」で、睡眠の質は高まる?
首周りに僧帽筋(そうぼうきん)という大きな筋肉があるのですが、最近は前かがみでスマホを見ることによって、この部分の血行が悪くなっている方がとても多い。そうすると、先ほどお話した深部体温を調整する機能も落ちてしまうんです。なので、頭から首までお湯の中に浸けて温める頭浸浴(とうしんよく)は、血行の回復という意味では効果があるのではないでしょうか。発泡性の入浴剤などを併用すると、さらに改善が期待できると思います。
頭浸浴とは、頭のてっぺんまでお風呂に浸かること。肩までではなく、頭までお湯に浸かるようにすると頭皮にも良いといわれている。
「香り」は、深い眠りに導いてくれる?
香りを活用することは、すごくいいと思います。僕も以前、ピロースプレーやディフューザーを開発したことがあるほどです。香りや音楽など、五感からアプローチすることによって心拍数を下げて、副交感神経を優位にする条件をつくり出してみてください。人間の脳はいい意味でも悪い意味でもだまされやすいので、プラシーボ効果でもいいと思います。「この香りをかぐと、よく眠れる」というお守りを、ひとつ持っているのは非常に有効です。
deep sleep pillow spray。天然の香料とエッセンシャルオイルを使用。リラックス作用のあるアロマ、ラベンダーオイルが主成分。
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白濱先生が監修した敷布団「デュアルハイブリッド カタラク」を楽しむbb部員。仰向けではなく、横向き姿勢寝向けの布団なんだとか!
率直な疑問ぶつけてみた。
睡眠専門医である、白濱先生から直接お話をお聞きできる貴重な機会…!
BB部員のふたりから睡眠についての質問をしました!
夢を見るのは、よくない?
「夢を見る=眠りが浅い」と心配する方がいますが、まったく問題ありません。睡眠には深い眠りの「ノンレム睡眠」と、脳の一部が活動する「レム睡眠」がありますが、レム睡眠時には夢を見るのが当たり前。私たちはたいてい、一晩に3回から5回は夢を見ているんです。もし極端な悪夢を繰り返し見るような場合は、起きている間のストレスが原因の可能性も。また部屋が明るいと良質な睡眠の妨げになるので、照明を見直してみるのもひとつです。
ショートスリーパーって、本当にいるの?
睡眠が3、4時間で十分だというショートスリーパーの方は、たしかにいます。ただ、これは生まれもった遺伝子的な特徴。世間では“自称ショートスリーパー”なる人をよく見かけますが、目指そうと思って目指せるものではありません。また、ショートスリーパーとロングスリーパーを比較した研究では、ショートスリーパーのほうが寿命が短かったというエビデンスもある。ある意味、太く短く生きるのが、ショートスリーパーの特徴かもしれません。
お酒は睡眠によくない?
リラックス効果があるので、副交感神経を刺激して眠気を誘う効果はあります。でも、アルコールを代謝する過程で生まれる代謝産物の中には、逆に交感神経を刺激するものも。ある程度の時間がたった明け方、ふいに覚醒することがあるのはこのためです。お酒には利尿効果もあるので、さらに夜中に目を覚ましやすい。適量が一番ですが、日常的に飲酒している方が本気で睡眠の質を改善しようとするなら、2週間程度断酒しないと効果は見込めません。
Impressions
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聞きたいことが尽きません!
これまで漠然としていた「快眠」の定義を学べてよかったです。ただ、それを知ったうえで、自分がどう取捨選択していくかが大事なんだと改めて感じました。いろいろ試行錯誤していきたいけど、お酒はやめられません(笑)。
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実は睡眠に悩みはない私。
私は、普段から割とぐっすり眠れているタイプ。今日先生から快眠について教えていただいて、「やっぱりできてたんだ!」という、答え合わせになりました。夢を見ることは悪くないっていうのも、知ることができてよかったです。

Good Sleep Vol.1では、ビームススタッフ(以下、bb部員)が巷でウワサの快眠法やグッズをあれこれ体験! Vol.2の今回は、「RESM新横浜」で院長を務める白濱龍太郎先生にbb部員が体験した快眠グッズや睡眠にまつわる疑問について、詳しくお聞きしました!