
Keep The Gut Healthy | Vol.1
巷で噂の「腸活」、チャレンジします!
Advisor

内藤裕二
(京都府立医科大学大学院医学研究科 生体免疫栄養学講座教授)
1983年、京都府立医科大学卒業。米国ルイジアナ州立大学医学部分子細胞生理学教室客員教授、京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学准教授、同大学附属病院内視鏡・超音波診療部部長などを経て、2021年より現職。日本消化器免疫学会理事、日本抗加齢医学会理事、2025年大阪・関西万博大阪パビリオンアドバイザー。酪酸産生菌と健康長寿の関係などの研究をはじめ、長年腸内細菌を研究し続けている本領域の第一人者。

bb部員の腸活事情、教えて!
近頃あちこちのメディアで噂の「腸活」。キレイで健康な身体づくりに効くメソッドに目がないbb部員も、遅ればせながら「腸活」をクローズアップ。早速部員にアンケートを取ってみたものの腸活を正しく理解している人はほとんどなし。そこで部員を代表して、丸と丹下が実際に数ヶ月腸活にチャレンジすることに。
「言葉は知っていましたが、女性向きってイメージだったからキチンと理解してなかったです(丸)」「私もあまり詳しく知らないですが、食物繊維や発酵食品が腸に良いってイメージはあったから、調子が良くない時は食事に取り入れるようにはしてたかも(丹下)」というバリバリの腸活ビギナーの2人が、腸内細菌の第一人者内藤先生に、腸活の基本から具体的なやり方まで、あれこれ聞いちゃいます。そもそも腸活ってどんなメソッドで、そのメリットって何ですか?


腸活ってそもそもどういうことですか?(丸)
内藤先生「腸活とは、主に食事や運動によって腸内環境をより良い状態にするための活動です。腸内には善玉菌と悪玉菌、その中間である日和見菌が存在していて、腸内の悪玉菌を減らし善玉菌を増やすことで腸内環境のバランスが整い、腸内環境をより良い状態にするこができます。また、腸活にはさまざまなメリットがあり、免疫力や睡眠の質の向上、老化防止、肥満予防などの効果が期待できます」

人種によって腸内環境は変わるのでしょうか?(丹下)
内藤先生「世界で比べてみると、狩猟民族が一番多くの菌を持っているのではないかと言われています。その数は750種類ほど。対して都心で暮らす別民族の菌は200種類など、暮らす場所や遺伝子によって、多様さは異なります。日本人は、ヨーグルトや牛乳に含まれる乳糖を分解するのが苦手な体質の人が多く、結果腸内にビフィズス菌が増えるという嬉しい効果もあります。遺伝子の違いもありますが、やはり環境要因が腸には大きな影響を与えます」

内藤先生のわかりやすい説明で、基本的な腸活を少しずつ理解していく2人に、自分の腸内環境について気になることを聞いてみた。
「どれだけ食べても太れないので、そのような体質と腸内環境が関係あるのかとか、食べたものがしっかり吸収されているのか心配ですね。さらに快便すぎるので(笑)(丸)」
「腸内環境に波があるなと感じることも多いんです。一時期ひどい便秘に悩まされて、薬も飲んでいました。今は解消されていますがいつも不安な気持ちが続いています。もう同じ経験はしたくない!(丹下)」
まずはどんなことを意識したらいいですか?(丸)
腸活というのは具体的なひとつのメソッドを指すわけではなく、複合的な意識を持つことが大切です。食事、運動、睡眠の質を高めることが基本ですが、なかでも食事はすぐに意識しやすい生活プロセスのひとつです。腸内環境を整えるために特に必要なのは、乳酸菌やビフィズス菌、酪酸菌といった体に有用な働きをもたらす有用菌を直接摂取することです。

食物繊維が豊富なキクイモを使ったきんぴらは、内藤先生おすすめの腸活メニュー。まずは取り入れやすい食事から!
まずは毎日絶対に欠かせない食事を意識してみることが大切という言葉に深く頷く2人。そこで、2人の食生活事情を聞いてみた。
「僕は意識したことがないですね。好きなものを好きなタイミングで食べてばかり…。脂質などもあまり気にしていなく、自炊することも少ないです(丸)」
「普段からできるだけ自炊することを心がけていて、職場にはお弁当を持参することが多いです。ただ仕事上不規則な生活なので、夜遅くに食事をしたり、朝食を食べないことも(丹下)」
そんな2人に対し「僕は朝晩、異なる種類のヨーグルトを食べていますよ。例えばビフィズス菌といえどもその種類は80種類近く。世の中にはたくさんヨーグルトと名前がついた商品がありますが、厳密な基準で言うと『ヨーグルト』ではないものも多いです。これからは消費者も勉強して、自分に合う食品を選ぶ時代。菌のエサになるものを摂取し、有用菌を増やすことも大切ですね。ちなみに、今多くの人に足りない栄養素は間違いなく食物繊維だと思いますね」と内藤先生。お味噌や醤油など、塩分過多になりがちな日本の食生活では、意識的に塩分を減らす努力も必要だそう。腸内環境に悪影響を及ぼす砂糖はほぼ不要との話もあるほどだという。

「コンビニ食材でもたまには健康を意識します(丸)」

「自炊する時は、野菜を摂取できる和食中心の献立を意識しています(丹下)」


内藤先生が監修を務める『最高の食べ方がわかる! 老けない腸の強化書』には、腸内環境を整えるためのさまざまなアドバイスが満載。

いよいよ腸内を調査!
内藤先生から腸活の基本を教えてもらった2人。そこで気になるのが、自分たちの腸内環境。自身の食生活を振り返り「悪い予感しかしない」と言う丸と、「腸活を意識せずとも食生活はそれなりに気を遣ってきた」という丹下が、先生の指示のもと、腸内フローラの検査サービス「Flora Scan®(フローラスキャン)」を体験しました! 日本人1803名を対象とした研究データから日本人特有の腸内フローラタイプを解析することができ、腸内細菌の種類だけでなく疾患との関連性まで検査することのできる「Flora Scan®」。その結果をもとに、研究に携わるプリメディカの担当者に解説していただきながら、それぞれの改善点を探ります。


PICK UP

Flora Scan®
京都府立医科大学、摂南大学、プリメディカの三者共同研究によって得られた国内有数規模の日本人腸内フローラデータベースを用いた検査サービス。 日本人に特化したデータベースを用いることにより、自身の腸内フローラと疾患との関連性まで検査することが可能。
https://flora-scan.com
コンビニめし上等、
丸の場合
プリメディカ「丸さんは健康的と言われるバランス食タイプ(Type B)でした。しかし普段の食生活をうかがっていると外食が多いそうなので、若さでカバーできている可能性もあります。若い男性の場合、ある程度無茶な食事をしても健康なタイプになる方もいらっしゃいます。菌の多様性に関してはやや少なめですね。特定の食事スタイルがある訳ではないと思いますが、食品のバラエティ数がもしかすると少ないかもしれません。若いうちはまったく問題ないかもしれませんが、30代、40代と年齢を重ねても同じ食生活だとバランスを崩す可能性もあるかもしれませんね」
丸「いい意味で予想外の結果でびっくりしました! それでも普段の食生活の影響が如実に表れていますね…」
プリメディカ「あとは、腸管の炎症を抑えるフィーカリバクテリウム菌の占有率がかなり高いです。全体平均の約4倍程度あるので、その結果、他の菌が平均かそれより低い値になっています。後で紹介する丹下さんよりも多様性がないので、無理のない範囲で、食材の品数を増やしてみてください」
丸「ちなみに、菌の多様性はなぜ必要なのでしょうか?」
プリメディカ「腸内細菌は互いに助け合って共生しているものなので、いろんな種類の菌がいる方が、さまざまなことに対応できるんです。例えば社内の多様性を考えてみるとわかりやすいかもしれません。いろんな特性を持った人々が集まっている方が、いろんな仕事をできますよね。まさに腸内でも同じようなことが起きているんです」

結果は5つのタイプの中で健康な方が2番目に多いバランス食タイプであったが、若さが影響している可能性もあるとのこと。


全体平均に比べて、酪酸産生菌・フィーカリバクテリウム属の割合が異常に高いことで、相対的に他の菌の割合が少なくなり、菌の多様性がない結果に。
検査結果を受けてどう思った?
丸「今まで品数を考えたことがなかったので、まさにそうだろうなという結果でした。タバコも吸うし、平日は自炊することはほぼなし。それでも健康的なタイプだったのは、やはり年齢が大きいのかも」
プリメディカ「いきなり生活スタイルを変えるのは難しいと思いますが、このままの食生活だと年齢を重ねた時に腸内環境のバランスが崩れてしまうので、まずは市販の食品を活用しながら、バラエティに富んだ食事をしてみてください」
丸「今まで腸に関して向き合ったことがなかったので、この企画を通して身体がどう変化するのか楽しみ! 自炊は苦手なので、できるだけ市販のアイテムで善玉菌を増やせるように頑張ります」

食生活への意識高め、
丹下の場合
プリメディカ「丹下さんは丸さんと同じくタイプBでした。健康的な人に多いタイプです。総合評価としても良い傾向にあると思います。菌の構成を見ていくとプレボテラという菌が0パーセントでした。これは食物繊維などをバランスよく摂っている人に多い菌。でも丹下さんは食物繊維を意識した食事をしていらっしゃるので、この菌が定着しにくいタイプなのかなという結果になります。ただ0パーセントだから悪いという訳ではないのでご安心を。菌の多様性もあり、食生活に偏りがなさそうです。便通も特に問題なさそうですね」
丹下「普段から自炊を心がけていたものの、不規則な生活ではあったので、結果に関して心配していました。まずは良い結果でホッとひと安心です」
プリメディカ「腸内フローラも偏った食事をされる方の菌叢ではないように見えます。緑黄色野菜も毎日摂られているということで、もし食生活の改善とすれば食物繊維のバラエティを増やすことかと思います。発酵食品の味噌汁は良く飲まれるそうですが、納豆やキムチは食べていないそうなので、そういった食材も摂ると良いですね」
丹下「ひとつ気になっているのは食事の時間が毎日バラバラなこと。それって腸に影響がありますか?」
プリメディカ「不規則ながらもそこにリズムがあるのなら、大きく影響することはないかと思います」
丹下「食事はもちろんですが、例えば湯船に浸かることなど、食事以外で大事なこともあるんでしょうか?」
プリメディカ「運動と腸内細菌は関係があると言われています。激しい運動は腸内環境にあまり良くないと言われていますので、ストレッチなどを取り入れるのがおすすめです」

丸と同じBタイプであるが、菌の多様性も平均的で全体としては良い結果に。


要注意菌も少なく、有用菌の割合も平均的でバランスの良い印象。他と比べてやや平均以下である酪酸産生菌は、食物繊維を摂ることで平均値に近づけられそう。
検査結果を受けてどう思った?
丹下「今回の検査に向けて、何か特別なことをした訳ではないですが、良い結果で安心しました」
プリメディカ「健康的なタイプBで、菌の多様性も問題なし。これから腸活を始めるなら、お弁当を作る際に食物繊維をもっと意識されると良さそうですね。例えばコンビニ弁当でも、プラス1品することで腸活に繋がりますよ」
丹下「身体の内側から健康になれることが楽しみ! 生活が制限されないか少し不安もありますが、継続できる腸活習慣を身につけます」

Teacher's Advice
朝食の重要さと運動・睡眠の大切さ。
「一度摂取した有用菌が身体にずっと定着することはありません。そのため、毎日継続することがとても重要になります。腸内細菌は3歳でベースが決まるとも言われていますが、大人になってからも改善は可能。2週間でも大幅に変わるはずです」。内藤先生曰く、食事、運動、睡眠が腸活の三本柱。体内時計に合わせた健やかな暮らしをすることが、必須なのだ。「例えば、夕食で食物繊維をたくさん摂取する必要はないし、運動不足だからと無理に走るのも…。夜は寝るもの。そして早起きして、身体を動かし、しっかりと朝食を食べる。当たり前のようで、忙しく働く人には難しいかもしれませんが、これが重要。腸にたまった便を出すシグナルは胃から出るんです。だから朝食を食べないと排便刺激が入らない。今は単なる便秘だと感じている人も10年後にはさまざまな病気リスクが高くなります」。腸は第2の脳と言われるほど神経系と深い関わりを持っているそう。良質な睡眠や幸せホルモンの分泌にも欠かせない存在だ。
Photographer: Yumi Furuya, Text: Akemi Kan, Creative Direction: Mo-Green Co.,Ltd.
近頃あちこちで噂の「腸活」。もちろん興味津々だけど、詳しい情報はほとんど知らないbb部員たち。そこで今回は丸と丹下が部員を代表して、腸内細菌の研究における第一人者、内藤裕二先生に腸活の詳しい話をうかがってきました! 2人が約2ヶ月に渡って腸活にチャレンジする長期企画、いよいよスタートします!