Why CROCKETT & JONES?

私がクロケット&ジョーンズを
選ぶワケ

本格英国靴の世界において、いま最も支持を得ているブランドのひとつ<クロケット&ジョーンズ>。紳士靴の聖地と呼ばれる英国ノーサンプトンにファクトリーを構え、伝統的な仕立てを守る一方、時代性を巧みに捉え、常にアップデートを重ねる稀有な存在です。今回、そんな<クロケット&ジョーンズ>とゆかりの深い3名にインタビューを行い、その魅力について語ってもらいました。

文:小曽根 広光  写真:若林 武志 / 椙本 裕子

Interview

中村 達也
ビームス
クリエイティブディレクター

質実剛健さと柔軟さのバランスでは
ここの右に出る者はありません

遡ること1980年代後半。名だたる英国ビスポークシューズメーカーの既製ラインを生産している、良質なファクトリーがあるという噂を耳にし、当時注目していたスクエアトウシューズを別注で作ってもらったのが<クロケット&ジョーンズ>との出会いでした。以来途切れることなく買い付けを続けていますから、BEAMSが取り扱ってきた英国靴の中でNo.1のロングセラーブランドということになります。ここまで長く人気を保ってきた要因は、しっかりとした靴作りと時代性表現とのバランス、そして様々なリクエストに対応する柔軟さにあると思います。例えば別注モデルを作るにしても、伝統的な英国靴メーカーの多くが木型や細かなデザインの変更を受け付けない中、<クロケット&ジョーンズ>は異例といえるほど柔軟に対応してくれるのです。近年のベストセラー《キャベンディッシュ3》も、前身《キャベンディッシュ2》にBEAMSがリクエストをかけ、土踏まずから踵にかけてのフィットを日本人向けに改良して生まれたモデル。こうした細かいモディファイにしっかり対応できるからこそ、時代性を巧みに表現した新作を次々と輩出できるのです。

実は<クロケット&ジョーンズ>には、長きにわたって様々な一流ブランドのOEM生産を手がけてきた歴史があります。ノーサンプトンの本社に行くと、それらを含めた膨大なアーカイブコレクションがストックされていて、靴の博物館が開けるほど。そんな経験を通して培われた幅広い表現力、そしてリクエストへの対応力が、今の<クロケット&ジョーンズ>隆盛の素地になっていると思いますね。英国の老舗らしい、誠実で質実剛健な靴作りと、時代のニーズへの対応力。このバランスにかけては、<クロケット&ジョーンズ>の右に出る者はいないでしょうね。

今のお気に入りは“アメリカ風”の顔つき

CROCKETT & JONES/
HARVARD アンラインドローファー

今日履いているのは、定番ローファー《ハーバード》をライニングなしで仕立てたもの。素材はホーウィン社製のコードバンです。程よく丸みを持たせたラウンドトウラスト「314」
を採用し、英国靴ですがアメリカンなテイストを盛り込んだモデル。こういうミックスのセンスが非常に優れていますね。精密なステッチなど丁寧な仕立ても英国ブランドならではです。今日はデニム生地で仕立てた<デ ペトリロ>のジャケットにデニムシャツ、<ジョン コンフォート>のタイ、<PT01>のベージュパンツと、イタリア・アメリカ・イギリスのテイストをミックスしてコーディネートしました。こういう様々な国のテイストをミックスさせたスタイルに最近は注目しています。

スーツには
エレガントなパンチドキャップを
CROCKETT & JONES/
WELBECK パンチドキャップ

<クロケット&ジョーンズ>の中でもハイグレードな部材や仕立てにこだわった「ハンドグレードライン」の一足で、モデルは《ウェルベック》。こちらはおもにスーツスタイルで合わせています。もともとはもう少し明るい色のスエードだったのですが、あえて濃いめのスプレーでケアして、少し濃いブラウンにしています。

次に欲しいのは、リバイバル人気のシングルモンク

以前に流行したダブルモンクよりもシンプルな見た目のシングルモンク《マルヴァーン》は今、すごく欲しいモデルですね。目新しく見えるかもしれませんが、実は伝統的な英国スタイルのデザインで、1980年代後半〜’90年代前半のブリティッシュブームおよびフレンチトラッドブームのときには定番として皆が履いていました。タッセルローファーのように様々なコーディネートに合わせられる汎用性も魅力ですね。今なら、グレンプレイドのスーツに黒のポロシャツなど、少しフレンチを意識したスタイルで履いてみたいです。

中村 達也ビームス クリエイティブディレクター

<ビームスF>、<ブリッラ ペル イル グスト>を統括するドレス部門のクリエイティブディレクター。大学生時代からBEAMSでアルバイトを始め、卒業後そのまま入社。以来、<ビームスF>のショップマネージャー、バイヤーとドレス一筋で「時代性のあるクラシック」を追求。ピッティ ウォモでの最新トレンドをまとめた「中村ノート」は毎シーズン、ファッション業界人に注目されている。

金森 陽
MEN’S EX編集長

“いい革靴って、こんなに楽だったのか”
それを実感させてくれたブランドです

<クロケット&ジョーンズ>は、20代のときに私が初めて入手した本格英国靴。当時、『ビギン』の若手編集部員として企画を担当したのがきっかけでした。それまではスニーカーばかり履いていたので、なんとなく革靴って窮屈なイメージがあったんです。“いい革靴は足に馴染んで、履くほどに柔らかくなる”という話はもちろん聞いていましたが、それを身をもって実感させてくれた出会いでした。以来スーツスタイルはもちろん、カジュアルでもちょっと背伸びしたいときには、足元に<クロケット&ジョーンズ>というのが私の定番になりましたね。仕事でも、英国ノーサンプトンにあるファクトリーを取材して膨大なアーカイブコレクションに驚いたり、『MEN’S EX』編集部に異動してからは<クロケット&ジョーンズ>の定番モデルを旬にコーディネートする企画を組んだりと、折に触れてここの魅力に触れてきました。

そのうえで感じる<クロケット&ジョーンズ>の凄さは、ファッションに対する理解力。《キャベンディッシュ》が火をつけたタッセルローファーブーム、Uチップ人気を加速させた《モールトン》など、近年だけでも様々な足元トレンドの牽引役となってきました。それはやはり、ファション全体の流れをしっかり把握していて、旬な服装にピタリとハマる靴を提案できるからでしょうね。展示会を訪れても、ずっと変わらず展開されているベーシックモデルがしっかりある一方で、毎シーズン欲しくなる新作がある。そして、確かな歴史とクオリティに裏打ちされたオーラがある。そんなことをいつも感じていたら、気付くとかなりの足数を所有していました(笑)。クオリティ、風格、旬度、あらゆる面で“どこに出ても気後れしない靴”。それが<クロケット&ジョーンズ>ならではの魅力だと思っています。

5年以上愛用して
万能さを実感したタッセル

CROCKETT & JONES/CAVENDISH 2 タッセルローファー

2012年ごろに入手した《キャベンディッシュ2》は今でも頻繁に愛用中。当時はタッセルローファーが流行りだしたタイミングだったこともあり、初めてのタッセルとして購入を決めました。これが大正解で、様々な服装とマッチする汎用性にすっかり魅せられてしまいました。当初は《モヒート》のワイドなリネンパンツなどカジュアルスタイルで履くことが多かったのですが、『MEN’S EX』編集長になってからはスーツと合わせる機会が増えました。今日はこの春『MEN’S EX』でも提案しているブラウンスーツとコーディネート。正統に少し遊びを加えたブラウンスーツだからこそ、足元も紐靴ではなくタッセルにしました。

ロングセラーの
定番モデルも多数所持
左:CROCKETT JONES/
BOSTON コインローファー
中:CROCKETT JONES/
CHERTSEY チャッカブーツ
右:CROCKETT JONES/
AUDLEY ストレートチップ

中央の《チャートシー》は私が初めて入手し、本格靴の履き心地を実感した思い出の一足。オールソール修理も経験し、長年かけて履き込んできました。右はストレートチップの大定番《オードリー》。2012年〜13年にかけて、編集部員として『MEN’S EX』に在籍していたのですが、当時スーツスタイルの足元は決まってこれでした。もちろん今も活躍しています。左は米国的な丸みを持たせたコインローファー《ボストン》。モデルは定番ですが、こちらは光沢のあるキャバリーカーフ使用で少しレアな一足です。

今、気になっているのはビスポーク的なバタフライローファー

今季の新作では、往年の英国ビスポーク靴を思わせるバタフライローファーが刺さりました。アーカイブから復刻したモデルだそうですが、甲のデザインが凄くユニークですよね。私はネイビースーツ好きで、いつもはそこにネクタイで旬の気分や遊び心を加えているのですが、こちらは足元でそんなコンサバ+αを表現できそうです。スーツとシャツタイは色数を絞ってストイックに、足元はこれでひとヒネリ、そんなイメージで履きたいですね。

金森 陽『MEN’S EX』編集長

2001年、世界文化社に入社し、『ビギン』編集部に配属。ファッション担当として様々なブランドの本社&ファクトリーを訪れ、モノ作りの現場を取材。2012年に『MEN’S EX』編集部へ異動し、同誌の副編集長も経験。2013年には編集長として『ビギン』に戻り、創刊30周年号で「47都道府県ご当地サコッシュ」を企画制作するなど、雑誌にとらわれないコンテンツ作りを推進。2017年より現職。多様化する働き方に対応したビジネススタイルを始め、衣食住遊を横断した大人のライフスタイルを提案。

四方 章敬
スタイリスト

ベーシックな服に遊びを足したいとき、
<クロケット&ジョーンズ>は最高のスパイスです

アシスタント時代から<クロケット&ジョーンズ>の評判はよく聞いていて、漠然とクオリティのいい靴なんだなという認識はありました。当時はなかなか手が出なかったですが、独立する少し前にようやく手に入れて、初めて本格靴というものを体験できたときは嬉しかったですね。それから思い出深いのは、独立直後に『ビギン』で<クロケット&ジョーンズ>企画のスタイリングを担当したこと。担当編集やスタイリストの師匠にも色々とダメ出しされつつ、定番モデルをいかに旬にコーディネートするか真剣に考えました。でもそこでわかったのは、<クロケット&ジョーンズ>は本当にどんな服にも合うということ。例えばスーツに紐靴ではなく、あえてローファーやUチップを合わせてヒネってみたいときも、<クロケット&ジョーンズ>なら意外なほどすんなりとマッチしてしまう。“やりすぎ”に見えることが決してないんです。最近は“ミックススタイル”がトレンドで、従来は型破りとされていた合わせをいかにスパイスとして効かせられるかが、“旬”を表現するうえで非常に重要になっています。個人的にも、ベーシックな服装にちょっと意外性のある靴を合わせて“ミックス”を表現するスタイリングが好きなのですが、セオリーどおりでないだけにバランスを取るのが難しい。そんなとき、どんなスタイルでもハズさない<クロケット&ジョーンズ>が凄く重宝するんです。

今は『LEON』、『MEN’S EX』、『THE RAKE JAPAN』、『MEN’S CLUB』、『Men’s Precious』などの雑誌でスタイリングを担当していますが、雑誌のキャラはそれぞれ違えど、<クロケット&ジョーンズ>は本当によくスタイリングに使用しています。“困ったら<クロケット&ジョーンズ>”が僕のお決まりになっていますね(笑)

色違いで3足愛用する《ボストン》

CROCKETT & JONES/
BOSTON コインローファー

僕が<クロケット&ジョーンズ>の中で最も好きなモデルのひとつが《ボストン》。色違いで3足揃えて、どれも5年以上は愛用しています。ウールでもコットンでも、ワイドでもスリムでも、本当にパンツを問わずマッチするので、朝、足元に迷ったときは大体これですね。

スーツ×タッセルに
衝撃を受けて購入
CROCKETT & JONES/
CAVENDISH 2 タッセルローファー

5年ほど前に購入したタッセルローファー。きっかけはBEAMSが“タイドアップしたスーツにタッセル”という合わせを提案していたことでした。それまではスーツ=紐靴と思い込んでいたので、ドレスを熟知した人たちがそういうヒネリを実践しているということが凄く新鮮に感じたんです。この《キャベンディッシュ》は《ボストン》と比べてラストがスリムなので、スーツにもよく合うんですよね。今日はあえてカジュアルスタイルでコーディネートしてみました。オーバーサイズのミドルゲージカーディガンにカットソー、ゆったりとしたウールパンツというリラックスしたシルエットの服に、細身の《キャベンディッシュ》を合わせてコントラストをつけているのがポイントです。

靴ありきでスタイリングしたくなる独特の顔つきに惚れ込みました

今、狙っているのは《ギャビン》。1980年代後半〜’90年代によく見られた『エプロンフロントローファー』と呼ばれるデザインを復刻したものだそうです。サドル(甲に付けられた帯状のパーツ)のないデザインはシンプルながらも個性的で、靴からコーディネートを決めたくなりますね。今なら、ストライプパンツやリラックスしたベージュパンツなどリゾートテイストにまとめて、リラックスした春スタイルにしたいですね。今季トレンドのタバコスエードもエレガントで、夏にはショートパンツにも合いそう。これは欲しい!

四方 章敬スタイリスト

スタイリスト武内雅英氏に師事し、2011年に独立。ドレス、カジュアル、モードの垣根を超えたスタイリングが好評で、様々なラグジュアリー雑誌・広告で活躍中。現在配布中のスタイルブック『MR.BEAMS』では全編のスタイリングを担当。スタイリスト業界指折りの服好きとしても知られ、ビスポークスーツを仕立てにプライベートでナポリまで赴いたほど。独立直後から様々な雑誌で<クロケット&ジョーンズ>企画に携わり、(おそらく)世界一<クロケット&ジョーンズ>のスタイリングを組んできた人。

MORE VARIATION

ブリティッシュトラッドを体現した1足

1930-1940年頃のバタフライシューズと同じ木型を別注により採用したエクスクルーシブアイテム。フィット感を高めるシェイプの効いたウエストに、少しボリュームのあるトウがポイント。

CROCKETT & JONES/別注
BRIMSTONE スエードバタフライローファー ¥74,000 + tax

イギリス生まれのアメリカ顔

不朽の名作ローファーBOSTONを、ウエストからカカトにかけてタイトにしホールド感を向上。さらにサドル部、ウインドーデザインも細かく修正したエクスクルーシブモデル

CROCKETT & JONES/別注
MAINE ローファー ¥76,000 + tax

滑らかな質感が特徴のタバコスエード

足元に品と軽快さを加えるCAVENDISH3。ブランドを代表するベストセラーモデルに、滑らかな質感が特徴のタバコスエードを使用した上品な1足です。

CROCKETT & JONES/
CAVENDISH3 タバコスエード タッセルローファー ¥79,000 + tax

ブランドを代表するベストセラー

代表作のCAVENDISHをモディファイしたニューモデル。丸みを帯びたトウの表情はそのままに、日本人の足型に合わせて、ウエスト、ヒールカップを小さく変更することでフィット感が向上。

CROCKETT & JONES/
CAVENDISH3 カーフ タッセルローファー ¥79,000 + tax

今のドレスクロージングを象徴する"新定番"

不朽の名作、CAVENDISHを、日本人の足型に合わせてアップデートしたモデル。カジュアルからスーツスタイルまで幅広いコーディネートで活躍してくれる逸品。

CROCKETT & JONES/
CAVENDISH3 スエード タッセルローファー ¥69,000 + tax

スタイルを選ばない万能選手

シンプルな顔つきで人気のSEDGEMOORを日本人の足型に合うよう踵廻りをタイトにブラッシュアップ。普遍的なデザインゆえに、様々な着こなしに対応する守備範囲の広さが魅力。

CROCKETT & JONES/
SEDGEMOOR3 プレーントウシューズ ¥80,000 + tax

<BEAMS F>アニバーサリーアイテム

80年代にイギリスの様々なブランドが採用していたエプロンローファーを<BEAMS F>40周年を記念に復刻。アンライニング仕様で足馴染みが良く軽やかな履き心地が魅力的。

CROCKETT & JONES/ 別注
GAVIN カーフ エプロンフロントローファー ¥79,000 + tax