ランニングはスポーツの枠を超え、走ることで自分らしさに気づいたり、スタイルを共有する手段になりつつあります。3回にわたって、新しいコミュニティを創造するランナーたちに話を聞いてきた連載企画。ラストは、自身が主宰する『plantasia studio』を通して、人が走り出す“きっかけ”をつくり続けているモデルでランナーのオライナさん。音楽やアートに触れるような感覚でランニングカルチャーを育てていきたいと語る彼女に話を聞きました。
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オライナ
Oraina
ファッションやスポーツブランドの広告などでモデルとして活動する傍ら、ランニングコミュニティ『plantasia studio』を主宰。ランニングを軸に、アートや音楽、ファッションを結びつけるイベントや活動を企画・運営している。国内外のさまざまなレースにも挑戦している。
ランニングから、
自然に体を動かす場を。
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― 走り始めたきっかけはなんでしたか
友人に誘われて、ランニングアプリで記録を続けるうちに少しずつ走ることが習慣になっていきました。転機になったのは、〈On(オン)〉が2024年の東京マラソンの後に、日本橋兜町の「On Energy Hub(オン エナジー ハブ)」で開催したパーティに参加したこと。走り終えた人たちのエネルギーに触れて、ランニングの見え方が大きく変わっていきました。「42kmも走った後なのに、こんなにキラキラしているんだ」って。
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― レースへの参加経験は?
2024年に北海道のフルマラソンに出場したとき、走り切った後の達成感が忘れられなくて、「次は東京マラソンに出てみたい!」と、ゴールしたその日に応募しましたが、抽選で外れてしまいました。でも、ご縁があってアメリカ・ロサンゼルスからラスベガスまで走るリレー式のウルトラマラソン『TSP(The Speed Project)』に出られることになりました。私にとってレースは、誰かと競うよりも自分自身と向き合う時間。行ったことのない街やコースを走れること、その先々で新しい景色や体験に出会えることも、参加するモチベーションになっています。
複数人でチームをつくり、550〜660kmをつなぐオフロードレース『The Speed Project』で55kmを走り切った。ゴールのラスベガスでは、レース後にプールパーティが開かれた。
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― 主宰しているコミュニティ『plantasia studio』は、どのような思想で活動をしていますか
ランニングパートナーのJOJOと一緒に運営しています。速さやタイムを競うための場所ではなく、自分たちが愛するスポーツ、文化、自然を結びつけるプロジェクトを、単なるイベントとしてではなく、人々と体験をより深くコネクトできるムーブメントとして、今後も創造し続けていきたいと考えています。
例えば、活動中の様子をフィルムカメラで撮影したり、SNSに投稿する際に好きな音楽を重ねたり、プロダクトもスーベニア感覚で手に取ってもらえるものにしたくて、コットンでTシャツを制作したり。音楽や芸術、そして運動が自分たちの成長に大きな影響を与えてくれるからこそ、スポーツと文化が自然と交わる形を目指しています。
まだまだアイディアややりたいことはたくさんありますし、参加してくれる人にとって、走り出す理由のひとつになれたら嬉しいです。
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― 海外のコミュニティについて、感じていることはありますか
一人旅で海外に行くことも多いので、現地のコミュニティに参加するのも楽しみのひとつです。そこで感じてきたのは“自由さ”と“ローカルさ”。ヒューストンのランニングセレクトショップ「Fleet Feet Houston」では、コミュニティランが毎週開催されていて、バギーを押しながら走っているお母さんやおじいさんの姿も見られました。みんなでスタートするけれど、走る距離やゴールもバラバラ。何もかもが自由でした。また、お店が発信地になっていることで、自然と地元の人たちが集まりやすい。そのローカルなつながりも、実際に参加することで体感できる魅力だと感じました。
アムステルダムの『Patta Running Team』。仲良くなったメンバーと、ランニング後にアイス屋へ。
ベルリンを拠点に活動するランニングコミュニティ『LOAD BERLIN』に参加。
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― 今後、ランニングとどのように付き合っていきたいですか
コミュニティについては、出会った人たちがその後の人生をどう歩んでいくのか、というテーマに対して、探りながら取り組んでいきたいと考えています。私たちのコミュニティに参加したことがきっかけでランニングに繋がったのであれば、ポジティブな気持ちで続けていってほしいですし、「レースに出てみようかな」と思ってもらえたら嬉しい。そのために、これからもレースやイベントを企画しながら、走り出す人たちの“スタートの場所”であり続けたいです。
個人的にインスタレーションにも興味があって、最近、出品者を明かさないフリーマーケットを開催したんです。フライヤーには参加者の名前を記載するけれど、会場では誰の物かわからなくして、商品説明や接客はすべて私が担当しました。SNSの影響もあって「誰の物だから買う」という思考が強くなっていると感じていたんですが、その場では“物”を通じた会話や出会いが自然と生まれて、気づいたら手に取っていた、みたいな偶然も含めて、そこに面白さがあると感じたんです。
フリーマーケットで体験した偶然でいてどこか必然でもある“きっかけ”をランニングにも取り入れていきたくて、気づいたら体を動かしていたり、自然と人と人とがつながる環境をつくれたらいいなと思っています。そこからまた新しい面白さが広がっていく気がしていて、今はそれにワクワクしています。
Photo:Nobuko Baba(SIGNO)
Edit & Text:MANUSKRIPT