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UPDATE :20.10.01
いけだてつや
さんが
おすすめする
ちょっとひと休み……高校野球がテーマの
マンガと映画
『バトルスタディーズ』なきぼくろ[著]/講談社
既刊24巻
生きる術はすべてPL野球部で学んだ。PL学園野球部の9番ライトとして甲子園に出場経験を持つ著者が描く超リアル高校野球マンガ!「PL学園の野球部っていろいろ伝説があって、それを実際に経験した著書が描くエピソードはめちゃくちゃリアルで面白いです」
『おおきく振りかぶって』ひぐちアサ[著]/講談社
既刊33巻
監督は女性、選手は全員1年生。県立高校の新設野球部に集まった10人の選手たちが一丸となって甲子園優勝を目指す!「最新のスポーツ科学を下敷きにしていたり、これまでにない新しい視点で高校野球の面白さが描かれています。会話や心理描写もとてもリアルです」
『アルプススタンドのはしの方』監督:城定秀夫
出演:小野莉奈、平井亜門、西本まりん、中村守里ほか
公開中
夏の甲子園1回戦に出場している母校の応援のためにやってきた冴えない4人の生徒たちを描いた青春映画。「観客席のはじっこがいつしか世界でいちばんアツい場所になっていく、その展開が素晴らしく面白い。こんな高校野球の描き方もあるんですね。エモいです」
『アゲイン 28年目の甲子園』監督:大森寿美男
出演:中井貴一、 波瑠、 和久井映見、柳葉敏郎ほか
Blu-ray & DVD 発売中
元高校球児が再び甲子園を目指す実在の大会「マスターズ甲子園」を舞台に描いた大人の青春感動作。「遠い過去の苦い青春の思い出を乗り越えようと新たな一歩を踏み出す主人公たちの姿にグッときます。高校球児にとって甲子園はいつだって特別な場所なんですよね」

あの高校のブラバンが
聴きたかった。

高校野球はまったく知らないのにブラスバンドだけを聴きにくるというマニアがいるくらい、甲子園といえばブラバンも名物で、今年も生で聴きたかったですね。ブラバンで有名なのは拓大紅陵(千葉)で、ここは毎年新曲を作るんですよ。その曲がどれもかっこいいから、千葉県内の高校の6割くらいが使っているんじゃないかな。

もはやその学校の代名詞にもなっている曲もあって、花咲徳栄(埼玉)は必ず「オーメンズ・オブ・ラブ」っていう曲から入るし、日大三高(東京)のオリジナル「Come On!!」は個人的にも大好きです。「Come On!!」はドラムがすごいかっこいい曲なんですけど、都大会で使う神宮球場ってドラム禁止なんですよ。だから、甲子園に行って初めてドラムが鳴らせる。そういう意味でも、盛り上がる曲なんですよね。

あとは、何と言っても、智辯和歌山(和歌山)の「ジョックロック」。甲子園でいちばん有名な曲じゃないでしょうか。「ジョックロック」が流れるとなぜがビッグイニングになるから、“魔曲”と言われているんですけど、ほんとにこの曲は盛り上がる。甲子園で生で聴いたときはシビれました。

ブラバン絡みでいくと、明徳義塾(高知)に、明徳アニキって呼ばれている人がいて、この人は生徒でもないし、OBでもないらしいんですけど、もともとバンドのトランペッターだったみたいで、ハイトーンのものすごい音を吹くんですよ。明徳が出場するたびにこのアニキも話題になるので、今年も聴けるかなって楽しみにしてたんですけどね。ブラバンのおかげで勝った試合は絶対あると思っていて、それぐらいブラバンがあるとないのとでは大違いだと思います。ブラバンが強いところは、だいたい野球も強いですね。

ユニフォームのサイズと
スパイクの色と柔軟剤の香り。

高校野球はユニフォームを見るのも面白いんですよね。昔の映像を観ると、例えばイチローの高校時代は寝間着みたいにダルっと着ているんですけど、最近はワンサイズ、ツーサイズ下のものをピタピタに着るのがトレンド。ユニフォームの素材がよくなって伸縮性がよくなったというのに加えて、今の子たちはウェイトトレーニングをやっているから、もうムッキムキで、いいカラダを見せたいんだと思います(笑)。

そして、最大のトレンドといえば、白スパイクですね。今年から白色のスパイクが解禁になったんですよ。交流試合で最初に履いたのは、たぶん明徳だったかな。大阪桐蔭も早かったですね。今は温暖化でどんどん気温が上がっているから、黒スパイクだと暑いんですよ。白と黒とでは温度が10℃ぐらい違うという結果もあるみたいで、白スパイクを履いちゃうともう黒には戻れないという声をよく聞きます。熱中症対策が狙いですけど、白はおしゃれにも見えるし、今後は主流になると思います。

球児が使うバッグも、昔はみんな肩掛けでしたけど、たしか遊学館(石川)が最初にリュックを取り入れて、今ではほとんどリュックですよね。そのパターンで一度、東海大相模がホイールの付いたキャリーバッグを導入したことがあるんですけど、地面が砂だから、転がらないっていうのがありました(笑)。今は髪の毛を伸ばしていいところも増えましたけど、ちょっと前に聞いた話だと、練習でひたすら泥まみれになっておしゃれなんてできないから、せめて柔軟剤の香りで楽しむみたいです。ダウニーにしたり、スナッグルにしたり、練習着の香りを変えるのがたまの楽しみらしいです(笑)。

高校野球に生かされている。

あと、忘れてはいけないのが、校歌。甲子園で聴く校歌がまたいいんですよね。僕は明豊(大分)の校歌が好きで、南こうせつさんが作曲しているんですよ。だからか、校歌というよりはJポップって感じで、しかも最初に作ったバージョンは歌が終わってからのエンディングが長かったんです。校歌斉唱が終わったら選手は応援スタンドに走っていくんですけど、歌い終わってもエンディングが続いているから、曲が終わるまでじっと待っている時間があって。それを見た南こうせつさんがまずいと思ったのか、急いでアレンジし直して、次の校歌斉唱のときには短くなっていました。曲自体はすごくいいので、今年も聴きたかったです。

新しい感じの校歌はけっこうあって、至学館(愛知)は「カシオペアが近くに見えた」という歌詞があったり、健大高崎(群馬)は「be together」という言葉が入っています。こういうのはJポップ校歌って呼んでいるんですけど、時代の流れを感じますよね。それで言うと、PL学園(大阪)の校歌はいまだにグッときます。2016年に野球部が休部になってしまい、もう甲子園で聴くことができないんですけど、元高校球児たちが再び甲子園を目指す「マスターズ甲子園」という大会が毎年あって、そこに去年PL学園が出場したんです。僕はボールボーイとして毎年参加しているので、そのときに生で聴くことができて、久しぶり聴いたらやっぱりシビれました。「あぁ、PLだ」って。

毎年必ず甲子園には行っているので、いつもだったら今年の夏も観に行っていたはずだったんですよね。。。大会が始まると熱心なファンは甲子園の周りに徹夜して並ぶんです。僕も野宿して席を取ったりするんですけど、だいたい50代から80代のご年配の方が多くて、その方たちに「野宿はしんどくないですか?」って聞いたら、「高校野球に生かされている」「応援することが自分たちの力になっている」と言うんですよ。

ただ、高校野球って春夏秋で冬はやらないから、生き甲斐がなくなっちゃって、冬の時期に亡くなる人が多いんですって。そうならないために、冬は箱根駅伝を見て、応援するみたいです。僕も含め、高校野球を楽しみにしている人は多いですし、ほんとに面白いので、再び球場で試合を観られる日が早く来ることを願っています。

Photos:Takahiro Idenoshita
Illustration:Natsuki Camino
Composition & Text:Masayuki Sawada
撮影協力:高校野球酒場 球児園

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Photos:Takahiro Idenoshita
Illustration:Natsuki Camino
Composition & Text:Masayuki Sawada
撮影協力:高校野球酒場 球児園