BEAMS F Brilla per il gusto International Gallery BEAMS Instagram Facebook Twitter Page Top

About Us

ビームスが思う理想の男性像

"MR_BEAMS"とは、ファッションをきちんと理解しながらも、
自分の価値観で服を選べる
"スタイルをもった人"のこと。
と同時に、決して独りよがりではなく、
周りのみんなからも「ステキですね」と思われる、
そのスタイルに"ポジティブなマインドがこもった人"のこと。

今回立ち上げたオウンドメディア#MR_BEAMSには、
私たちビームスが考える理想の大人の男性像と、
そんな理想の彼が着ているであろうステキな服、
そしてMR_BEAMSになるために必要な
洋服にまつわるポジティブな情報がギュッと詰め込まれています。

本メディアを通じて、服の魅力に触れていただいた皆様に、
ステキで明るい未来が訪れますように……。

SOZAI-KAN 今昔物語

a fashion odyssey | 鶴田啓の視点

SOZAI-KAN 今昔物語

 

暑さ寒さも彼岸まで。
昔からあるこの言葉のように、季節の変わり目は3月と9月にやってくる。そもそも日本は古来より豊かな四季に恵まれた風土であった。しかし近年、世界中で起こりつつある気候変動に伴って日本の夏も様変わりしてしまったのはご存知の通り。酷暑やゲリラ豪雨、大規模な水害が頻発する異常ぶりで、もはや亜熱帯並みのこの暑さは「風鈴の音色」や「打ち水」で涼を感じるような昔ながらの風情では太刀打ちできないほどに厳しい。

季節の変わり目に大きく関係してくるのが衣類、つまり装い。勿論、8月は何を着たって暑いし、何も着なくても暑いくらい圧倒的に、暑い。しかし、灼熱の8月に秋物を着るという慣習が昔から洋服屋にはあった。僕がビームス入社した20年前はそうだったし、30年前もきっとそうだったはずだ。8月の半ば頃になると、店頭に秋冬の商品がちらほら並び始め、全社一斉で「衣替え」をするのである。そして、この8月の「衣替え」が何を意味するのかというと「秋冬物を着てお店に立ちなさい」よりもむしろ、「春夏物を着てお店に立たないでください」に近いニュアンスだった。つまり、「ツイードを着てこい」ではなく「ショーツは穿かないで」という「禁止」の意。ショーツを穿いて出勤し、お店でスーツに着替えることはOKだったし、いきなりツイードの上着を着てくる人も当然いなかった。と、ここで問題になるのは「春夏物」「秋冬物」って何?ということ。

素材で言うと「トロピカルウール、シアサッカー、コードレーン、麻」、アイテムで言うと「ショートパンツ、コットンニット、背抜きのジャケット」などは「春夏物」だと20年前に教えられた。一方で「コーデュロイ、ツイード、フランネル、シェットランドウールのニット」などが「秋冬物」の代表格である。JOHN SMEDLEYのニットも「春夏はシーアイランドコットン、秋冬はメリノウール」と厳密に使い分けていた。通年アイテムとされていたのは(デニムやチノクロスは当たり前だとして)獣毛素材では「カシミア、アルパカ」など。FANNI LEMMERMAYERのアルパカカーディガンはHEMISPHERESを経由した永遠のクラシックアイテムだが、古株ビームススタッフの所有率が異常に高いのには「通年アイテムだし、衣替えに便利だから」という側面もあったはずだ。

上の写真はInternational Gallery BEAMSオリジナルで今秋リリースしたパール編みのアルパカニットジャケット(缶バッジ私物)。15年近く前に購入し、いまも愛用しているFANNI LEMMERMAYERのカーディガンに引けを取らないクオリティ。僕もさっそく入手して9月から着ているが、アルパカ特有のサラッとドライなタッチや(繊維の構造上)非常に優れた通気性が快適で、なるほど通年素材ということをハッキリと体感できる。写真では綿麻のボタンダウンシャツに合わせているが、僕はJAMES LOCKのリネンキャップ(黒)やブラックスエードのシューズに合わせてコーディネートしている。古くからの「社内衣替え法」に則るとリネンは秋冬の禁止素材だったはずだが、僕は昔から「秋のリネン」「夏のコーデュロイ」を身に付けるのが大好きだ。それは天の邪鬼な気持ちではなく「単純に合う」と思うからやっているだけで、「さんざん着込んで味が出たグレーフランネルスーツに洗いざらしたオフ白のリネンシャツをラフに着る」のが素敵だと思うし「ざっくりとしたリネンジャケットにコーデュロイのショーツ、スエード靴」なんてのも大好きだ。今では入手困難だが、アザラシ毛の付いたPARABOOTのMICHAEL PHOQUEなんかは梅雨時期にこそ履きたい。「ファー付きだから秋冬物」なのではなく、エスキモーが履いていた靴をモチーフにしているだけあってアザラシの毛足が多少の雨粒ならば余裕ではじいてくれるのだ。

そもそも、ヨーロッパではコーデュロイもツイードもフランネルもリネンも一年を通して古くから着られていた素材だし、互いに質感を引き立て合う組み合わせとしても知られている。「サマーフラノ」や「サマーコール」という呼び名もあるくらいなので、クラシックに憧憬を抱く英国やドイツのブランドは今でも春夏コレクションにそれらの素材を普通にリリースしてくるし、実際に昼夜で寒暖の差が激しく湿度も低いヨーロッパでは5、6月でもコーデュロイやスエードの上着を持ち歩き夜になればサッと羽織る、というのは自然な装いだったりする。ただし、高温多湿な日本の春夏には合わないというのでビームスのバイヤーが買い付ける事はほとんどなかったし、買ってきても全く売れずに冬のセールで喜ばれたりしていた。とは言え、最近では再び春夏シーズンにスエードのブルゾンやウールの半袖ニットを展開するなど、少しずつ緩やかに変化しつつある。洗えるウールのサマーニットなど、技術革新も目覚ましい。ウールの通気性や速乾性は、ある部分ではコットンを凌ぐ春夏素材だったりする。

そうそう、コーデュロイ、ツイード、フランネル、リネンなどスポーティな素材にはスエード靴がよく似合う。最近では随分と少なくなったが、以前はお客様に「スエードの靴は春夏も履けますか?」とよく聞かれていた。僕は「春夏でも秋冬でも勿論履いていただけます。ただ、ドレッシーなアイテムやフォーマルなシーンに合わないだけです」と答えていた。つまり、気候さえ許せばリネンやコーデュロイにもまったく同じことが言えるのだ。勿論、一口に「リネン」や「コーデュロイ」と言っても素材のウェイトや色味、質感によって見え方は大きく異なるので、ミョーに寒々しく(逆に暑苦しく)ならないように注意が必要だ。上の写真のような「ツイードジャケット+リネンシャツ+コーデュロイパンツ」を組み合わせる場合、色調を統一させると素材感が引き立つと思う。靴はやはりブラウンスエードが良い。10月の中旬くらいには実際に着て頂けそうな野趣溢れるコーディネートだが、その時期の売り場にリネンのシャツは並んでいないだろう。

情報や経験値がまだまだ少なくそれゆえに偏っていた時代に洋服屋が決めたルールに今も従い続ける必要はない。30年前と比べて気候も時代も急速に変わりつつある。その変化の中で「空の色を眺め季節の風を感じながら装いを決める」ということは成熟の果てにあるものではなく、人類がそもそも持っていた英知に立ち返ろうとしているだけのように思えるのは僕だけだろうか。

Share

Other Posts

もっと見る

Related Post