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ビームスが思う理想の男性像

"MR_BEAMS"とは、ファッションをきちんと理解しながらも、
自分の価値観で服を選べる
"スタイルをもった人"のこと。
と同時に、決して独りよがりではなく、
周りのみんなからも「ステキですね」と思われる、
そのスタイルに"ポジティブなマインドがこもった人"のこと。

今回立ち上げたオウンドメディア#MR_BEAMSには、
私たちビームスが考える理想の大人の男性像と、
そんな理想の彼が着ているであろうステキな服、
そしてMR_BEAMSになるために必要な
洋服にまつわるポジティブな情報がギュッと詰め込まれています。

本メディアを通じて、服の魅力に触れていただいた皆様に、
ステキで明るい未来が訪れますように……。

O.S.T(V.A)

a fashion odyssey | 鶴田啓の視点

O.S.T(V.A)

 

BEAMS RECORDSが手掛けるラジオ番組があるのをご存じだろうか?2020年10月から12月末までの期間限定で、毎週月曜日~金曜日の昼下がり(12:00~12:58)にInterFM897の番組「 Brunch Mixtape」の選曲をBEAMS RECORDSが担当しており、ビームスの様々な店舗・部署で働く音楽好きのスタッフがセレクトした約57分のプレイリストをオンエアするというものだ。僕も試しに聴いてみたが、曜日毎にセレクターが変わるので振り幅の広いバラエティに富んだ内容として、かなり楽しめた。選曲という作業はセレクターの脳内というか内臓というか、選び手本人を形作るすべてが如実に音となって表れるので、もしお時間があれば、そのあたりも想像しながら番組を聴いてみて頂きたい。その「Brunch Mixtape」で2020年12月毎週水曜日(全5回)の選曲を僭越ながら鶴田が担当する事になった。BEAMS RECORDSのショップマネージャー兼バイヤーの廣瀬から先日依頼があり「まぁ、やってみますね」と軽く返事をしたものの…。彼女とは昔からよく音楽やファッションの話をしていたので、僕が音楽好きだというイメージもあったのだろう。たしかに僕は10代の後半から音楽が好きで、ライブハウスへ頻繁に足を運んだし、自宅にはCDを2000枚以上所有していた。当時の先輩(現・International Gallery BEAMS バイヤー関根)や同僚とバンドの真似事をやり、仕事後に明け方までスタジオに籠って練習したこともあった(恥)。3ギター、1ベース、ノードラムという謎のプログレッシブ編成で、鶴田はベースを担当していた。今思うと苦めの含み笑いを浮かべてしまうような20代の青い思い出である。

ともかく、僕は音楽を聴くのは好きだが人に聴いてもらうための選曲はほとんどやったことが無い。DJをやりたいと思った事もない。選曲の依頼を引き受けてからというもの、寝る間や通勤時間を惜しんで毎日Spotifyと格闘している。計5時間以上のプレイリストを作成するのでそれなりに時間がかかる作業だ。ましてや公共の電波に乗るとなれば熟考してしまう。そんな選曲生活を送りながら、ふと思った。

1990年代に一世を風靡した「Free Soul」シリーズはプロデューサーの橋本徹氏による「メロウかつグルーヴィーなソウルミュージックの再発見、再定義」として渋谷系の若者たちを巻き込みながら大きなムーブメントとなった。昔どこかで聴いた覚えがあるような、懐かしいけれど埋もれていたような2~30年前の音楽も、編集や提案次第では新しい世代の感覚を揺さぶるものになりえるという好例だ。特定のコンセプトや基準で選曲・編集された「コンピレーションアルバム」という概念を日本に根付かせる口火を「Free Soul」が切ったのは間違いない。

そして(アメリカンスタイルやクラシックスタイルなど)ある程度のジャンル縛りを設定した上で歴史を掘り返し、再発見に値する古典的なアイテムを新しい視点からコーディネートしていくBEAMS fやBEAMS+の世界観は、ある意味で「Free Soul」のコンピレーション感覚に近いと思う。「クラシックとは何か?」「1950年代までのアメリカとは何か?」を追求し続けることは「ソウルミュージックとは何か?」について再考する事と、ほとんど同義であろう。そして、歴史に埋もれてしまった良質な音楽や洋服はまだまだ世の中に存在するのだろうが、選んだ楽曲は良くてもミックスが悪ければ古く聴こえるし、楽曲のチョイス自体を間違えればいくら曲順(コーディネート)を入れ替えてみたところで「これだ!」というカタルシスはやってこない。古き良きものを、今の時代に合った切り口で選曲し、ミックスを加えるところに音楽プロデューサーやファッションディレクターの腕の見せ所がある。

一方で、プライスのハイ/ローや国籍、時代の新旧を問わず、それぞれのブランドやアイテムの根底に流れる物語性を意識しながらも、あくまで自由に選曲/ミックスするのがInternational Gallery BEAMSの世界観だ。世界中から集めたハイファッションアイテムがプレイリストの中心ではあるが、創業100年を超える老舗のレザーシューズ(HEINRICH DINKELACKER)やフランス製注文シャツ屋の既製品(THUILLIER)、オーストリア製のローデンコート(RIER)、場合によっては古着も迷わず選曲する。つまり、ジャンルの外枠(hip-hop、JAZZ、ROCK/POPなど)が存在しない。一言でまとめると「モード」ということになるが、むしろ現代をテーマにした一本の映画があるとして、その物語のO.S.T(オリジナルサウンドトラック)という感覚が近いと思う。ジャンルや年代はバラバラでも、物語のワンシーンが強くイメージできる楽曲であれば、たとえそれがRAF SIMONSでもグレン・グールドによるバッハでもビートルズでもJIL SANDERでも古着のジャージでも美空ひばりでもPARABOOTでも、つまりクラシックでもアバンギャルドでも、選曲する。そこから更にショップでミックスを加え、デザイナーのシーズンテーマ(オリジナルアルバム)とは違うサウンドトラックで新たな物語を創出する感覚と言えばよいか。

リリースから長い年月を経て市民権を得たクラシックでポピュラーな音楽は、選び方次第でいつの時代も新鮮に楽しむことができるが、今回の文脈で言うとコーディネートに(例えば)Aldenを取り入れる感覚と、プレイリストに(例えば)ビル・エヴァンスを選曲する感覚は近い、という意味。BEAMS fの場合はクラシックスタイルのコンピレーションにタッセルスリッポンを、BEAMS +は1950年代アメリカンスタイルのBGMとしてペニーローファーを、International Gallery BEAMSはパリを舞台にした映画のサウンドトラックの一曲としてV-Tipを選ぶかもしれない。例えば、その映画はアメリカからパリへやってきた殺し屋が地下鉄のキヨスクで働く少女と恋に落ちてしまう話。クライマックスのシーンではビル・エヴァンスの「Young And Foolish」が美しく流れるが、その直後、メトロ内の銃撃シーンではジェイムズ・チャンス&ザ・コントーションズの「Designed to Kill」が痙攣ビートを鳴らしているかもしれない。物語次第ではV-Tipとレオパード柄のコートがマッチしてしまうのだ。モダンジャズや老舗靴メーカーの懐の深さがあればこそ、ではあるが(BEAMSの中だけでも)どのプレイリストに載るかでAldenがまったく異なる聴こえ方になってしまうのが選曲/ミックスの面白いところである。

昼下がりになんとなくラジオを聴いていたら耳に飛び込んできた、あの曲。知っていたはずなのにまったく違う印象に思えて、新鮮だった。誰でも一度や二度は思い当たるような経験だ。検索から欲しい物にスピーディーに辿り着けるオンラインショップが発展するのは勿論素晴らしいことだと思う。しかしそれとは別で、偶然性で音楽を再発見してもらうようなラジオのような役割がリアル店舗には今後ますます求められるのではないか。音楽のダウンロードが一般化して久しいが、100年以上の歴史を持つラジオというメディアが今も根強く老若男女に人気を博しているのである。BEAMSは「セレクトショップ」という言葉が生まれる以前から存在した、元祖「選び屋集団」なのだからスタッフ一同、選曲・ミックスの腕に更なる磨きをかけて、今後の時代に挑みたいものである。

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