ビームスの服、名品との親和性 Masterpiece with BEAMS 2024〜’25年秋冬編
長い時間をかけて、角が削られ磨かれていくことでようやく現在の形へと辿り着く名品と呼ばれる品々があります。
それはファッションを楽しむ上での原点でもあり頂点とも言うべき存在。時を経ても色褪せない魅力を放ち続ける名品たちとビームスの服との親和性を検証します。
今回のスタイリングを組んだ三人のトークにもご注目を!
Profile
-
スタイリスト
四方 章敬
スタイリスト
四方 章敬
メンズドレス業界で随一の人気を誇る実力派スタイリスト。豊富な服飾の知識と独自の美的感覚から生み出される洗練されたスタイリングで、世代を問わず絶大な支持を得ている。
-
ビームス プレス
芹沢 良輔
ビームス プレス
芹沢 良輔
ショップスタッフ→〈ビームスF〉バイヤーというキャリアを経て、現在はプレスとして多忙な日々を送る。平成生まれながら昭和気質なマインドで『MR_BEAMS』の指揮を取る。
-
ビームス プレス
知念 俊太郎
ビームス プレス
知念 俊太郎
「ビームス ハウス 六本木」、「ビームス ハウス 丸の内」で販売の経験を積んだ後、今号の制作より晴れてプレス部門に転属。学生時代は熱波師。「元気に明るく」がモットー。
AQUASCUTUM
70以上の工程を経て完成する名作トレンチコート
ラテン語で水を表す「AQUA」と盾を表す「SCUTUM」を組み合わせた言葉をブランド名に冠する〈アクアスキュータム〉。なかでもトレンチコートの金字塔に位置付けられる『キングスウェイ』は、ハンフリー・ボガードにも愛された名品中の名品。
問い合わせ先:アクアスキュータム MAIL:aquascutum-press@oggi-inter.co.jp
-
Coat Aquascutum
知念:個 人的には、トレンチコートってすでにいろんな着こなしが提案されている気がするんですが……
四方:そうそう、だから何が新鮮なのかっていうのを、まず考えたんだよね。
芹沢:チェックジャケットに肉厚のシャツを着てタイドアップしつつジーンズを合わせたところに羽織ると、なんだかすごく新鮮に見えますね。
四方:そうなんだよね。結果的にエディ・スリマンっぽいっていうか、モードっぽいアプローチになった気がする。
CHAMPION
はき込むほどに味わいが増すスウェットパンツ
〈チャンピオン〉を代表する『リバースウィーブ®』製のスウェットパンツ。杢のライトグレーはどんなアイテムにも合わせやすく、耐久性が高いのも魅力。本作には環境に配慮して生産されたサステナブルなアメリカ綿が使用されます。
問い合わせ先:ヘインズブランズ ジャパン カスタマーセンター TEL:0120-456-042
-
Pants ¥19800(inc.tax) CHAMPION
芹沢:これはもうアレですね、定番の。
四方:そう、スポーツとドレスのミックススタイル。20代の子とかも、割と古着とかを上手に着ながらやってるね。
知念:僕もギリギリ20代ですが、シャツの合わせがすごく新鮮ですね。
芹沢:あえてアウターとしても着られるものを選ぶことで新鮮さをプラスしてみたって感じですよね。
四方:ニ ットの肩掛けも今っぽい。トラッドなブレザーも出自はスポーツだし、スウェットパンツと馴染むよね。
LEE
袖を通すたびに愛着が増すワークウェアの永世定番
1921年鉄道工員向けのワークウェアとして販売されたロコモーティブ(鉄道)ジャケットの通称として親しまれる〈リー〉の『ロコジャケット』。着込むほどに味わいが増していくダンガリー生地や質実剛健なトリプルステッチが、男心をくすぐります。
問い合わせ先:エドウイン・カスタマーサービス TEL:0120-008-503
-
Blouson ¥17000(inc.tax) LEE
芹沢:この着こなしは、もうデニム・オン・デニム一択でしょうね。
四方:マジ?カバーオールがオーセンティックだから野暮ったくならない?
知念:一回見てみましょうか。
四方:意外……、というかアリだね。
知念:ですね、すごくカッコいい。
芹沢:デニムをセットアップ感覚でとらえつつ、ブルーからホワイトのトーンにまとめて大人らしい雰囲気にしてみました。ルームシューズで上品さをプラスしたのもポイントです。
INVERALAN
熟練のニッターによるアラン編みが特徴
1975年にスコットランドで創業した〈インバーアラン〉。熟練ニッターによる高品質で時代を超えて愛されるアラン編みが醸す手編みの雰囲気は、機械編みとは一線を画す存在感を放ちます。温かみあふれるフロントのウッドボタンもアクセント。
芹沢:久々に触りましたけど、めちゃくちゃ重いし、質感もすごいですね。
四方:そうだよね、いや~懐かしい。
知念:大人っぽく着こなすには、ドレス要素を上手にプラスしていかないと。
四方:だからスラックスはもちろん、白地に黄色のストライプを使うことでニットのカジュアル感と遊びを合わせてみたんだよね。あとホワイトバックスもポイントかな。こういう野暮ったいものをいかにお洒落に着こなすかって、ファッションの醍醐味だよね。
FIDELITY
「アメリカのピーコートと言えば」な代名詞的存在
過去にはアメリカ海軍に納品していた〈フィデリティ〉のピーコート。こちらは、オーセンティックな10B型で、ウールナイロンのメルトン生地は、耐久性に優れ着込んでいくほどに体に馴染んでいきます。独特の濃紺の名称は『ヤンキーネイビー』。
問い合わせ先:アイメックス TEL:03-5291-7534
-
Coat ¥70000(inc.tax) FIDELITY
四方:定番のピーコートは、レイヤードスタイルに落とし込んでみました。
芹沢:新鮮でもあり、懐かしさも感じさせるスタイリングですね。
四方:お、気付いた? さすが芹さん。タートルにシャツを合わせる感じは、2010年代にイタリアのクラシコ好きのあいだで流行ったんだよね。
知念:全然知りませんでした。
四方:当時はイタリア色全開だったけど、今季はアメリカ的にモダンにアップデートさせたってワケ。
FILSON
2万回以上の折り曲げにも耐える驚異の耐久性
1897年の創業当時から愛され続ける『マッキノーウール クルーザー ジャケット』。肉厚のヴァージンウールを使用しつつ、合計9個ものポケットを備えるなど、質実剛健を絵に描いたような一着。今なおMade in USAを貫く姿勢にも好感。
問い合わせ先:フィルソントウキョウストア TEL:03-6416-0768
-
Blouson ¥90000(inc.tax) FILSON
四方:ビームスでも2~3年前にバッファローチェックってやってたよね?
知念:そうですね。当時はブラックのニットにブラックかチャコールのパンツを合わせていた気が…
芹沢:それを今季は、色は同じチャコールですけど、レイヤードスタイルにすることでモダンなムードにしているってことですよね?
四方:正解! それにしても重いね、この『マッキノー』。まさに質実剛健。
知念:この雰囲気がたまりません!
PATAGONIA
肉厚のパイル・フリースとクラシックな見た目が◎
名作フリースとして名高い『クラシック レトロX ジャケット』。6ミリ厚パイル・フリースの表地と防風性バリヤー&吸湿発散性を備える裏地という、安心の機能性を備えます。レトロなデザインはクラシックなアイテムとも意外や相性良し!
四方:この手の土臭いアイテムは、サラッと洗練された雰囲気で着たいよね。
芹沢:同感です。フレンチな雰囲気に寄せると割といい感じになるような気がしているんですが、どうでしょう?
四方:それ、良さそうね。
知念:おぉ!見慣れたはずのフリースジャケットがブラックウォッチのパンツやホワイトからネイビーのトーンのおかげでキレイにまとまっている!
芹沢:ブラックウォッチのネイビーを拾っているのもポイントですね。
EDDIE BAUER
世界で初めて作られたダウンジャケットがこちら
1936年に初めて作られた世界初のダウンジャケット『スカイライナー ダウンジャケット』。クラシックなボンバー型のデザインに、700フィルパワーの良質なダウンを封入。シェルには、撥水性を兼ね備えたコットンナイロン素材を採用します。
問い合わせ先:水甚 TEL:058-279-3045
-
Blouson ¥35000(inc.tax) EDDIE BAUER
四方:これはもうアレだよね。
芹沢:ですね、アレ的な。
知念:なんですか、アレって?
芹沢:MA-1的な着こなしにするしかないでしょ、パーカを合わせて。しかも、ミリタリーの古着をイタリア人てキレイめのパンツで品よくこなしがちだから、それにオマージュを込めつつ…
四方:彼らの場合はホワイトパンツを選びがちだけど、今回はもう少し今っぽくグレーのスラックスを。パーカもニット素材で上品にまとめてみました。
JOHN SMEDLEY
英国王室御用達銘柄が生み出す名作ニットポロ
美しい光沢としなやかで滑らかな手触りを生む30ゲージのエキストラダインメリノウールによるニットポロ。クラシックな襟型は合わせるアイテムを問いません。普遍的な魅力と醸し出す圧倒的な上質感によって、タイムレスな輝きを放ち続けます。
問い合わせ先:リーミルズ エージェンシー TEL:03-5784-1238
-
Knit ¥50000(inc.tax) JOHN SMEDLEY
知念:ニットポロにポロシャツを合わせるのって、新鮮ですね!
芹沢:ヘビーデューティだと、BDシャツにポロシャツなんだけど、それだとやりすぎちゃうからね。
四方:あれはアメリカ的だけど、こっちはフレンチ的なアプローチ。キレイなスカーフを巻いているイメージかな。
芹沢:結果的には、ティールブルーっぽい色目やアウターのハウンドトゥース柄も相まって、ブリティッシュに落ち着いた感も否めませんけどね(笑)。
TRICKER'S
稀代の銀幕スターからも寵愛されたチャッカブーツ
洒落者としても知られるスティーブ・マックイーンが愛用していたことでも有名な〈トリッカーズ〉の『マッドガード』。一般的なチャッカブーツとはやや異なり、クレープソールの周辺をラバーで包み込むマッドガード製法を採用します。
問い合わせ先:トリッカーズ 青山 TEL:03-6805-1930
-
Shoes ¥77000(inc.tax) TRICKER'S
四方:この靴といえば思い出されるのはスティーブ・マックイーンだよね。
知念:確かに、20代の僕でもマックイーンのイメージはありますね。
芹沢:もしかして、着こなしもマックイーンにちょっと寄せてます?
四方:そうなんだよね。でも“まんま”じゃつまらないから、ダッフルコートを上から羽織ってちょっと今の時代のムードを表現してみたってワケ。
芹沢:まさに昭和からの『大脱走』と。
四方:うまい! 芹さんに座布団一枚。