出会えた好きを大切に。

    COLUMN & ESSAY

    She is
    調査隊コラム
    つめをぬるひとが爪一筋で独立するまでの、愛に導かれた行動力

    「調査隊コラム:好きなものの愛し方は人の数だけ。」vol.1

    TSUMEWONURUHITO
    インタビュー・テキスト:松井友里撮影:小林真梨子編集:野村由芽

    Mar 18.2020

    大好きな海外アーティストの来日のタイミングで、ジャケットを爪に描いて見せたら「その爪、アメージングだね!」

    そんなつめをぬるひとさんは、Spotifyで自身がつくったプレイリストを公開しているほど、熱心に音楽を愛していることで知られています。「熱量がやばいんです……!」とご自身が語る音楽とは、どのように向き合ってこられたのでしょうか。

    つめをぬるひと:高校時代はよく邦画を観ていたので、そのサントラを聴いていて。昼休みに好きな曲をかけたいという理由で放送部に入って、当時好きだったRIP SLYMEを流していました。大学では、練習スタジオから音漏れしていたThe Strokesがかっこよかったのがきっかけで、軽音サークルに入って。シンセサイザーを買ってからは、シンセが入る音楽を聴く機会も増えて、CSSやクラクソンズなどをよく聴いていました。

     

    大学卒業後も、音楽への熱量は変わらず、仕事の休みを見つけてはライブハウスやフェスに足を運び、それが現在の「#描いてみたつめ」の活動にもつながっていると話します。

    つめをぬるひと:2014年のサマソニ(SUMMER SONIC)に、Metronomyという大好きなアーティストが来たんです。サイン会もあったので、本人に見せてみようと思って、『The English Riviera』というアルバムのジャケットを描いて行ったら、喜んでくれて。「その爪、アメージングだね!」というメッセージをサインと一緒に書いてくれて、すごく嬉しかったんです。それがきっかけで、爪にCDジャケットを描いてみることを続けようと思うようになりました。

     

    Metronomy『The English Riviera』の爪

     

     

    「反応がなくても続けていきます。それはきっと好きなものだけを描いているから」

    「音楽」という大好きな対象があったことは、表現の幅を広げただけでなく、爪の活動においても、機会を広げてくれたと言います。そのきっかけになったのが、DOMMUNEの配信内容を爪に描く「DOMMUNE爪」です。

    つめをぬるひと:2016年くらいから、配信内容を爪に描くようになりました。爪のことを始める前からDOMMUNEを見ていたし、爪を描くときにも流していて。『FREEDOMMUNE0』にも行ったことがあります。

    DOMMUNEに「やっていいですか」とかも聞かず、勝手に始めたんですよ(笑)。なので、どう思われているかはわからないですけど、「DOMMUNE爪」に関するツイートをリツイートもしてくださるので、怒ってはいないんじゃないかな、と思います。爪の活動を始めた頃は、雑貨の販売イベントに参加することが多かったんですけど、「DOMMUNE爪」をやるうちに、音楽イベントに出店させていただく機会もちょっとずつ増えてきました。

     

    DOMMUNE爪

     

    描いた爪についてSNSでの発信を続けているつめをぬるひとさんですが、何かを発信するときには、人からの反応も少なからず気になってしまうもの。ここでもつめをぬるひとさんは、自分の「好き」な気持ちをもっとも大事にしているようです。

    つめをぬるひと:すごく頑張って描いた、思い入れのあるCDジャケットの爪より、ささっと短時間で描いた爪の方が反応がいい、みたいなことって結構あるんです。でも、最初からそんな感じだったので、慣れてくるんですよね。自分自身が興味を持てなくなったらやめますけど、CDジャケットを描くのは好きだから、反応がなくても続けていきます。それはきっと好きなものだけを描いているからで。もしも、「流行っているアーティストだから」という理由で題材を選んで描いていたら、反応がなかったときにやめていたと思います。

    SNSの使い方で言うと、作品と日常のアカウントを分けている人も結構いるじゃないですか。私もそうしようと思ったことが何度もあるんですけど、作品も日常も合わせて「つめをぬるひと」なのかなと思うので、一つのアカウントだけでやっていくということは意識しているかもしれません。

     

    「好きな対象に詰め寄るのではなく、ぽんと放置しておいて、興味のあるときだけ手を伸ばす。『好き』との距離感って、そんな感じでいいような気がする」

     

    「好き」を大切にしながら、自分にとって、無理のない方法や環境を、そのときどきで見つけていくこと。リモートワークを経て、自宅で働くことが「合っている」と感じたことが、独立する一つのきっかけになったように、自分が持てる選択肢の中から、自然体でいられたり、心地よいと思える方向を選んでいくことが、つめをぬるひとさんにとっての、「好き」と付き合っていくコツでもあるようです。

    つめをぬるひと:なんなら「選ぼう」ともしていないかもしれません。好きな対象に詰め寄るのではなく、ぽんと放置しておいて、興味のあるときだけ手を伸ばすような感覚が、自分にとっては心地いいんです。「好き」との距離感って、そんな感じでいいような気がします。

     

    そんなつめをぬるひとさんは、これからも爪の可能性を広げていくような活動をしていきたい、と話します。

    つめをぬるひと:男性のネイルって、「黒」のイメージがあるかもしれませんが、私はそうじゃなくてもいいと思っていて。最近、『SPUR』でEXITのりんたろー。さんがネイルの企画をやっていましたし、石野卓球さんが爪を蛍光グリーンにしていたのもかっこよかったですが、性別を問わないネイルが、もっとたくさんあったらいいなと思うんです。ネイルって、もういいかげん必ずしも美容の枠に入れなくてもいいんじゃないかなと私は思います。もちろん美容の世界で、プロとして守ってくださっている方がいるからこそ、考えられることなんですけど、そうじゃない場所でネイルをしている人が一人くらいいても、いいんじゃないかと考えています。

     

    つめをぬるひとさんが読者から集まった「好き」を形にするためのお悩みに答える/読者が「好き」なものから、つめをぬるひとさんが選んで爪に描いたモチーフは……?

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    PROFILE

    TSUMEWONURUHITOつめをぬるひと

    爪作家。CDジャケットやイベントフライヤーのデザインを爪に描きそのイベントに出没する「出没記録」、「身につけるためであり 身につけるためでない 気張らない爪」というコンセプトで爪にも部屋にも飾れるつけ爪の制作、爪を「体の部位で唯一、手軽に描写・書き換えの出来る表現媒体」と定義し、 身体性のあるファンアートとして、DOMMUNEの配信内容を描く「今日のDOMMUME爪」。これら活動を並行しながら年に数回、人に爪を塗る「塗る企画」を TONOFON FESTIVAL2017等の音楽フェスやその他イベントにて実施。

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