個人のソフト力を主に社外のクライアントワークに生かす「ビームス創造研究所」のクリエイティブディレクター兼<BEAMS RECORDS>ディレクター。 「ビームス創造研究所」では、執筆、編集、選曲、他企業のイベントや展示の企画運営、ブランディング、PRのお手伝いなどを行っています。 雑誌『ミセス』(文化出版局)、『CREA』(文藝春秋)、トーキョーカルチャート by ビームス発行の文芸誌『In The City』、「ぐるなび」のキュレーションサービスサイト「ippin」などでコラム、エッセイを連載中。

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  • 2018.07.05
    文・音・造
    介入が光をもたらす––––ゴードン・マッタ=クラーク展(前篇)
     「今日の芸術は新しい道具なのだ。––––すなわち、意識を改変し、感性の新しい様式を組み立てるための道具なのだ。そのうえ、芸術を実践する手段は根本的に拡がっている。実を言えば、芸術家自身も、この新しい機能(それは明確に表わされるよりも漠然と感じられる場合が多い)に応じて、自意識にかられた美学者となり、たえずおのれの手段や素材や方法に挑戦せざるをえなくなった。『非芸術』の世界––––たとえ
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  • 2018.05.29
    文・音・造
    キャンプ趣味
    昔から、1930年代から40年代にかけて流行したスウィング・ジャズ(ビッグバンド・ジャズ)を聴くと、実際のところはそれとはまったく無縁なエキゾティシズム、オリエンタリズムのイメージが湧き上がってくる。こうした感覚は、一体何に起因するのだろうかと改めて考えてみたら、『上海バンスキング』にたどり着いた。『上海バンスキング』は、昭和初期の上海を舞台にした斎藤憐の戯曲で、第24回岸田國士戯曲賞を受賞した
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  • 2018.03.16
    文・音・造
    映画の中のビスポーク
     「NHKの新日曜美術館で女性アナウンサーのかたわらで、自信なさそうな不安顔で助手役を務める男の俳優が、どうやら三島役らしいのだが、この映画を見ないでも駄目だということが想像できるのは、三島の着用するおそらく英国製の上等な純毛の生地で作られた軍服(ミリタリー・ルックとミニが流行した時代のフランス人デザイナー、クーレージュを思い出させる、どことなく女性的というか中性的なスタイル)には醜い皺
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  • 2018.02.20
    文・音・造
    反転、のち、新しい世界––––『RAW~少女のめざめ~』
    先ごろ公開になった映画『RAW~少女のめざめ~』は、ジュリア・デュクルノー監督の長篇デビュー作で、第69回カンヌ国際映画祭の国際批評家連盟賞を受賞している作品だ。  ベジタリアンのジュスティーヌ(ギャランス・マリリエ)は、両親が卒業し、姉・アレックス(エラ・ルンプフ)が在学中の全寮制獣医科大学に晴れて入学することとなった。新しい環境への希望や学習意欲の高まり(彼女はとても頭がいいのだ)にじっく
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  • 2017.09.25
    文・音・造
    滞英日記
    8月30日(水)晴れのち雨  前の晩から一睡もせず、朝5時頃にタクシーを拾って品川駅へ。品川から羽田空港国際線ターミナルまでの所要時間が思いのほか短くて済み、空港で時間を持て余してしまった。まぁいつもギリギリなのでこのくらい余裕がある方がまだましである。久しぶりのロンドン、というか海外自体が久々だ。機内では二回の食事以外は眠って過ごした。完徹だと飛行機だろうがどこだろうがよく寝られる。同日午後、
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  • 2017.08.14
    文・音・造
    『天使の入江』に寄せて––––追悼・ジャンヌ・モロー
    ジャンヌ・モローの訃報が飛び込んできた日、『天使の入江』の資料とサンプルDVDが手元に届いた。正確にいうと、資料とサンプルDVDが先に届き、そののちに訃報を知った、というのが時系列に沿った流れである。実はこの資料、本来なら5月下旬に受け取るはずのものだったのだが、ちょっとした手違いで2ヶ月以上遅れての到着となった。現在、シアターイメージフォーラムにて「ドゥミとヴァルダ、幸福についての5つの物語」
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  • 2017.08.01
    文・音・造
    しぐさの情報量
     「いつの頃からか、夏の暑い日ざかりでも、出かける時には必ず、片手に上着を持ってゆくという習慣がついてしまった。用心のためである。いつどこで、恐るべき冷房の寒冷地獄に見舞われるか、分ったものではないからである」と澁澤龍彦は書いているが(『太陽王と月の王』所収「冷房とエレベーター」)、これには深く首肯せざるを得ない。わたしなどは「持ってゆく」どころか上着を着ていないとどうにも不安でならない
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  • 2017.06.19
    文・音・造
    滑り込み雑記
    会期終了が迫っている展覧会のいくつかに滑り込んできた。ひとつは練馬区立美術館の「19世紀パリ時間旅行––失われた街を求めて––」(6/4にて終了)。これは練馬区独立70周年を記念して企画された展覧会で、フランス文学者・鹿島茂の『芸術新潮』での連載「失われたパリの復元」をもとに、19世紀パリの全体像を解き明かしたものだ。ナポレオン3世在位時、すなわち第二帝政期(1852-70)に、セーヌ県知事のオ
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