〈TACOMA FUJI RECORDS〉『THE ART OF CSSS (Citrus Seasoned Soy Sauce) / 橙藝術』

アラスカ州アンカレッジのチャイナタウンに位置する中古レコード専門店の店主、シンガーソングライター・フィル・ベイリーの別名はシンガーソングライター・CSSS(CARIBOU SHOWS SACRED SEA)。90年代中盤から、自作のミックステープのテーマに合わせ曲を制作し始め、自身のレコードショップでライブを行いながらミックステープと中古レコードの抱き合わせ販売を行っていた。彼の音楽性の特徴としてあげられるのは環境活動家としての側面からなる独特のものだ。電子音のようなイルカの鳴き声、狼の遠吠えや漆黒の闇が広がる吹雪などアラスカの大地を想起させる音像が収められている。そしてもう1つの大きな特徴としてあげられるのは日本のシティポップの強い影響だろう。80年代までアンカレッジに数多く滞在していた日本人駐在員やその家族と親交があり、彼等の帰国時に残していった膨大な数の70年代~80年代の邦楽ロック、シティポップのアナログを聴いて育ったことに起因するとフィルは語る。決まった日本語のフレーズを不規則にコピー&ペーストすることで実現した独特の言い回しは時にドリーミーで賛美歌のように多幸感に溢れ、時には予測不可能な呪術的に怪しげなフレーズとなる。
気の向いた時にはスタッフと共に全編日本語で歌唱するシティポップのカバーバンドをやることもあり、その時のバンド名は「THE ART OF CSSS(Citrus Seasoned Soy Sauce)」を名乗る。プロモーションで来日した際、告知もせず横浜と下北沢でシークレットライブを行ったことがあり、オーディエンスは偶然居合わせた数名の酔っ払いとスタッフのみだった。後に動画サイトで公開されたこの時のライブではマーチャンダイズも販売され、MCも含め全編日本語で行われた本格的なものだった。プライベートで訪日することでも知られ、80年代までアンカレッジに滞在していた日本人駐在員とその家族とは今でも親交がある。日本滞在時にはホテルではなく友人宅に寄宿することを公言していて、横浜線の車内や菊名駅周辺で「フィル・ベイリーが居酒屋にいた」等頻繁に目撃される理由もそのあたりにあるようだ。
このTシャツは来日時CARIBOU SHOWS SACRED SEAの別名義、「CITRUS SEASONED SOY SAUCE」として横浜と下北沢でライブを行った際に販売したTシャツを復刻したもの。バンド名の由来は「食事が美味しくなるし、日本の友人を思い出す」とフィルが語る、彼の大好物の英語表記からなる。
※このストーリーはフィクションです。

今回のコレクションは、2022年5月より始動する『味ぽんART PROJECT』の一つとして誕生しました。『味ぽんART PROJECT』とは、1964年の発売から半世紀以上毎日の食卓のしあわせを見守ってきたミツカン『味ぽん』を、“ART FOR EVERY DAY”を掲げる〈BEAMS T〉がプロデュースし、当たり前すぎて見失いがちな“半径1mのしあわせ”にアートの力で光を当てるプロジェクトです。