本日はTIM STAMPSシェイプ、 5'6" FXをご紹介させていただきます。

まずはシェイパーであるTIMさんのご紹介から。
カリフォルニア州シールビーチ出身のシェイパー。1989年頃からシェイプをスタート。現在はカリフォルニア州ウェストミンスターに工場を構えて自身のサーフボードをシェイプをする傍ら、生まれ故郷でもある、シールビーチの"Harbour Surfboards"のメインシェイパーも務める。自身がスポンサードしているハイパフォーマンスボードからクラシックなロングボードまで、多種多様なあらゆるデザインのサーフボードを削る事ができる唯一無二のシェイパーとして、アメリカ国内をメインに人気を集めている熟練のシェイパーです。

そういえば昔(Pilgrim Surf+Supplyがオープンして間もない2015年頃)TIMさんがシェイプの為に日本の千葉夷隅(いすみ)に来日していたタイミングで、直接会いに行ったことがありました。ちょうどTIMさんは日本で入ったオーダーサーフボードをシェイプしている真っ最中でしたが、挨拶してすぐさま「Picture is ok!(好きに写真撮っていいよ)」と気さくにお話してくれたり、記念に一緒に写真を撮ってくれたり、とっても優しくて良い方だったことを鮮明に覚えています。正直当時はTIMさんがどんなシェイパーかは詳しく存じ上げていなかったのですが、時間の経過とともに色々調べていくうちに、なんともスゴイお方だったということが判明し(失礼)、今では当時の事をとても貴重な体験だったなぁとしみじみ思ったりしています。コロナ以前は年に数回日本に訪れていて、こちらのシェイプルームで日々日本で入ったオーダーボードをシェイプしていたみたいです。

前置きはこれくらいにして、そんなTIMさんがハンドシェイプするFXを簡単にご説明させていただこうと思います。
形は5'6"のやや短めショートボードといった第一印象ですが、5FINシステム(フィンボックスが5つ付いている事)の為、状況に応じてトライフィン(3本のフィン)かクアッド(4本のフィン)か選べる仕様に。またノーズ部分は一般的なトライフィンよりも程良く丸みがある為、「アグレッシブに波を攻めたい」というよりかは、どちらかと言えば「波を楽しむ為のボード」の部類に入ります。

このボードは一見スラスターに近いデザインではありますが、ロッカーは然程強くは入っていない仕様に。ロッカーが強く入っていると掘れたパワフルな波に効力を発揮してくれますが、逆に小波などの比較的フラットな波に対してはテイクオフが遅くなってしまうというデメリットがあります。その為このFXモデルで言えば、どちらかと言えば小波向きのボードという事になります。ただ一概に小波でしか効力を発揮しないボードという訳ではありません。そこはある程度のデカ波でも、サーファーの技量次第にはなりますが、問題無く機能するボードである事も追記しておきます。一般の平均的なサーファーであれば、モモ腰くらいから頭くらいの波(グリグリに巻いた波以外)であれば対応出来ますので、日本ならば台風直撃で炸裂した波以外の、大抵の場所でサーフィンが楽しめるというボードである事は間違いありません。

そしてTIM STAMPSのディケールがこちら。このディケールに関して言えば、今までに見た事がある方はほとんどいないと思います。それもそのはず実はこのディケール、Pilgrim Surf+Supplyだけのスペシャルロゴだからなのです。これはPilgrim Surf+SupplyオーナーのクリスとTIMさんは昔から仲良しだった事から、スペシャルなディケールでの販売が許されているのです。通常のディケールはTIMさんのホームページにありますので、このディケールを見れば分かる方もいらっしゃるかと思います。個人的にはこちらのPilgrimスペシャルのディケールの方が好みではありますが、、、

ラミネートは真っ白では無いスモークがかった生成りのような、ややクリームっぽいホワイトなので文字が見えにくいのですが、サイズは5'6" x 20 1/2" x 2 7/16"と記載されています。サイズ感が肌に染み付いている方は既にお分かりいただけたと思いますが、幅と厚みが一般的なスラスターよりも大きく作られているのがこの数字から読み取る事が出来ます。レングス(長さ)は短いけど、幅と厚みは一般的なフィッシュサーフボードに近く、「短いながらもしっかりとした浮力を味わえるボード」という事になります。

そしてテール部分。一般的なスカッシュよりも幅を出しています。前回そして前々回のBLOGでも書かせていただきましたが、簡単に言うと「テール幅が広ければテイクオフがし易い」という事です。では前述した「グリグリに巻いた大きい波には向いていない」という点について説明させていただくと、そこはロッカーの形状に起因している事が大きく、このFXモデルは「そこまで強くロッカーを入れていない」為、グリグリの大きい波に突っ込むと、浮力が強い幅広のテールが波のトップから持ち上げられてしまい、テイクオフの際にノーズから板が波のボトムに刺さってしまう(パーリングと言います)のです。波を見る目に長けている中上級者はその感覚に慣れているのと、確かなパドル力を持ち合わせているので、刺さらずにメイク出来てしまう方も多くいらっしゃるかとは思います。

続いてフィンのセッティングについてお話させていただきます。元々TIMさんはこのFXモデルの原型は「クアッドフィッシュ」と謳っている通り、スタンダードなフィンセッティングはクアッドだと言えます。しかしトライフィンでももちろんサーフィンを十分に出来ますので、言い換えれば「クアッドとトライフィンが楽しめる一石二鳥ボード」という事になります。ではそのフィンのセッティングについて、どちらが正解なのか?という疑問に対しては、正直どちらが正解とは言い切れない部分が大きいです。クアッドならば、小刻みに板を動かしながらスピードをつけていき、リズム良く滑走するのに優れていますが、バーチカル(縦)な動きに対してのレスポンスはあまり良くありません。その一方でトライフィンならば、クアッドでは出来ないバーチカルな動き、所謂「リッピング」が可能になります。その特性を踏まえた上で、ツインフィンやクアッドに見られるルース感を楽しむサーフィンがお好きな方は「クアッド」。どちらかと言えばリッピングが出来てスラスターに近い感覚で乗りたい方は「トライフィン」という風に考えると分かり易いかと思います。真ん中にフィンがあるかないかだけで、これだけ違うサーフィンが出来てしまうのですから、やっぱりサーフィンは奥深いですね。コンケーブについては、ノーズからゆるくシングルコンケーブを入れて、テールに近づくに連れてダブルコンケーブへと変化するシステム。これは一般的なスラスターにも採用されている事が多いコンケーブで、シングルのみよりもシングル→ダブルへ変化させる事で、サーフボードの操作性をアップさせてくれる重要な役割を担ってくれているのです。気になる方はぜひ店頭までお問合せください。
SIZE:5'6" x 20 1/2" x 2 7/16"
No.:36-75-0044-302
PRICE:¥175,000- +TAX ¥122,500+TAX(30%OFF)
それでは続きはまた次回