時間の入った絵画。彼のアニメーションをそう捉えてもいいかもしれない。描かれた蝋燭。
蝋燭の光が鑞を溶かし消えて行く様のアニメーションを一枚一枚同じペンで描いて行くと、ペンのインクがかすれ、しまいに色がでなくなる。蝋燭が消える現象、インクが物理的になくなっていく様子、その過程すべてが入った絵画。
あるいは描かれた蜻蛉を線の輪郭により我々は認識できるが、その過程の一本の線をみて認識できるか、あるいは輪郭を構成する一本が時間差ででてきたらどうだろう?
絵画が一本一本の線の、色の、積み重ねによりできていること、そしてその最後の結果として、集大成としてできていること、そのことを改めて認識する。
いや絵画だけでなくテレビの画面だって、あるいは印刷された雑誌だって、あるいは現実そのものも、RGB のあるいはCMYK の、色の積み重ねによってその形を、質感を、我々は認識しているかもしれないのだ。
近作で彼は、C(シアン)M(マゼンダ)Y(イエロー)K(ブラック)の、R(レッド)G(グリーン)B(ブルー)の、ペンでドットを描いたアニメーションを制作している。色のドットが動くその映像をみながら、それらが像を結び語りかける様を想像する。
Text: Yuu Itoh
Photo: Keizo Kioku

2階から地下1階まで、店内の至るところに配置されたiPodとiPod touch。ある壁面、ショーケースの中、レジカウンターや、鏡の面など......人々はふとしたタイミングに、その何十台ものiPodとiPod touchの中に収められた映像作品が、動いているアニメーションだと気づきました。そしてじっと見守り、儚く消えてゆく映像に反応することでアートという時間を共有した人は、更に別の映像を探し店内を回遊するのでした。
- Photo : Ryosuke Kikuchi
Styling: Ayaka Endo
田幡浩一 KOUICHI TABATA
- 1979年
- 栃木県生まれ
- 2004年
- 東京芸術大学美術学部先端芸術表現科卒業
- 2006年
- 東京芸術大学大学院美術研究科油画専攻修了
主な個展
- 2007年
- 「no lemon, no melon」ギャラリー小柳(東京)
「Projection window -Kouichi Tabata Selected Works」Centre for Contemporary Photography(オーストラリア)
主なグループ展
- 2005年
- 「J'en reve」カルティエ現代美術財団(パリ)
「Group Show」ギャラリー小柳(東京) - 2006年
- 「Trial Balloons」Museo de Arte Contemporaneo de Castilla y Leon(スペイン)
「Collecter's Choice」Daelim Contemporary Art Museum(ソウル) - 2007年
- 「Video Art Night: More than nature」Japan Society(ニューヨーク)
- 2008年
- 「Group Show」ギャラリー小柳(東京)
「vivid material」東京芸術大学
「THE ECHO -The exhibition of Japanese Next Generation-」ZAIM(横浜)
パブリックコレクション
原美術館(東京)、東京都現代美術館(東京)