文・青木マッチョ
お疲れ様です。
かけおちの青木マッチョです。大それた名前ですみません。本来であれば「青木デカめ」あたりが相応しいのではないでしょうか。
そんな「青木デカめ」ですが、前回は高校時代のラグビー部(#3)について書かせていただきました。中学、高校と自分の穏やかな性格とは裏腹に厳しめの部活に入ってしまい、終わる頃には「絶対もう運動したくない」と決意し、次の進路を決めていくのですが、自分は高校卒業後すぐに消防士になります(めちゃめちゃ運動するだろ)。
消防士になった頃には、自分はすでに6年間ジムに通っており、ラグビーもやっていたので体も大きく、「期待の高卒ルーキー」みたいな扱いを受けていました(そんな期待されてなかったらすみません)。職場では体が大きいことよりも、手の大きさが箱ティッシュと同じだったことがかなりウケていて、自分が配属された消防署以外の署でも「箱ティッシュと同じ手の大きさのやつが入ってきた」と話題になっていたみたいです(なんか「ティッシュ」って呼ばれてた)。
消防士になると、まず「消防学校」という施設に行きます。
そこは、勤めている都道府県の1年目の消防士たち全員(愛知県は名古屋市を除く)が一箇所に集められて、半年間、教官たちと一人前の消防士を目指して訓練や座学を行う場所です。
実際に火災を想定した訓練や、規律訓練と言って「気をつけ」や「休め」「敬礼」など、消防士特有のキビキビした動きを習ったり。体力錬成という筋トレをしたり走ったりと、体力をつける訓練をしました。知識も必要なので教科書を開いて座学を行ったり、そのテストがあったり。まだまだありますが、消防学校では本当にいろいろなことを学ばせていただきました。
消防学校で起きたことをすべて書こうと思いましたが、長くなりそうな気がしたので割愛させていただきます。自分が言えるのは、「漫画や本の世界で見たどんな寮生活よりも厳しくキツかった」ということだけです。体育会系で「事実は小説より奇なり」を実感するとは思っていませんでした。
その消防学校で杉久保教官という方と出会い、ゴールドジムに入会することになったのですが(コラム第1回参照)、自分が筋トレにしっかりと向き合いながら消防士という職を全うするのは、なかなか難しいものがあったんです。
まず、消防士は24時間勤務で、うちの職場では朝8:30から次の日の朝8:30までが勤務時間になります。勤務中は出動、訓練、そして事務作業と、なかなか筋トレをする時間も取れず、さらには食事もみんなで同じものをとるので、筋肉に特化した高タンパクな食事はなかなかとれません(焼きそばとラーメンばかり食べてた)。
自分の中では「毎日筋トレをしたい」という思いがあったので、休みの日だけ筋トレをしてるようではトレーニング量が足りません。そこで、24時間勤務を終えてその足でジムに行き、午前中に筋トレ。そして時間をあけて夜にまたジムで筋トレをしていました。1日に2回筋トレをすることを、トレーニング用語では「ダブルスプリット」と言います。
ダブルスプリットを行えば、回数的には勤務時間でできなかった分も補えているのですが、なかなか効果が現れず…。その理由としては、1回目の筋トレで全てを出し切っているので、夜の2回目の筋トレの時には疲れが残っており、なかなか良いトレーニングができていなかったからかなと思います。
そんな自分が次にとった方法が、朝の出勤前にジムに行くというものでした。
勤務に就く前にはいろいろと準備もあるので、実際は7:30には出勤していました。出勤に間に合うには筋トレを終えるのが7:00頃。筋トレは1時間半かかるので、筋トレを始めるのが5:30。自分の家から職場までは車で30分ほどかかるので、家を出るのは5:00。家を出る1時間前には起きていたいので、勤務の日は4:00起きです(4:00起き!?)。
別にその筋トレ自体は仕事でもないし、誰かに「やれ」と指示されたわけじゃないんですよ。それなのに、運動嫌いな自分が4:00に起きて仕事前に筋トレをしているというのは、やはりトレーニングというものに何か魔力があるのではないでしょうか。
その生活がめちゃくちゃ大変で、「なんで俺がこんな目に遭わないといけないんだ!」と、自己責任すぎる被害妄想ばかりしていたのですが、今出させてもらっている『ラヴィット!』でも同じようなことをしてるんですよ。
朝4:00とか4:30に起きてテレビ局に入り、朝からアイドルの方が隣で歌ってる横で限界まで懸垂したり、気を抜いたら倒れてしまいそうな傾斜のある坂道を150m走ったりしてるわけですからね(ありがたいけど無茶苦茶なことしてるな)。
でも、それに似た経験を消防士の頃していてよかったです。
やはり何事も後々役に立つんだなぁと思うと、キツイことほど早いうちにやっておいた方がいい気がします。だいぶ特殊ではありますけど、30歳になっていきなり「早起きして朝から筋肉使う」って、結構厳しいですから。
消防士の頃はしんどいだけでしたが、キツイことを行う際に「これも後々何かの役に立つ」と思いながら行うだけでも、だいぶ心は楽になると思います。消防学校で反省文を何回書いても無言で破られた経験も、どこかで役に立つはずです。
消防士時代は、その筋トレとはまた別で、「引揚救助」という訓練も2年目から5年目までの4年間やっていました。
引揚救助とは、「救助技術訓練」という、救助活動に必要な体力・精神力・技術を養い、救助隊員の技能向上と士気の高揚を図るための訓練の種目のひとつで、基本的にはタイムを競うものです。分かりやすく言うとハシゴを速く登る種目だったり、ロープを速く渡る種目だったり。他にもいろいろあるので、興味ある方は調べてみてください。
引揚救助は5人の隊員で行う種目で、高さ7mの塔の上から、地面にいる要救助者を的確に速く搭上まで救出するというものです。よく分からないと思うのですが、YouTubeで「引揚救助」と検索すると出てくるので、見てもらえると嬉しいです。
そして「全国救助技術大会」というものがあり、地区予選を勝ち進んで全国大会を目指します。消防士の甲子園とも言われています。
自分が行っていた引揚救助ですが、所属していた市では特に力を入れている種目で、訓練が凄かったんです。
動画を見てもらうと分かりますが、約1分半ずっと動きっぱなしの種目なんです。それを訓練で延々と繰り返すんです。そして何かミスが起きたらダッシュする(なんとここで中学の陸上部の経験が活きましたね)。
訓練時間は、勤務が始まる8:30〜12:00、昼食をとって13:00〜17:00、夕食をとって18:00〜21:00、訓練が終わったらそこからビデオミーティングして就寝、5:00に起きて7:00まで訓練。8:30に勤務が終わってそこからまた10:00まで訓練。そして次の日の7:30にまた出勤、という流れでした。
それも、通常業務を行いながらです。出動があればもちろん出動しますし、若手は事務作業もあります。ただ訓練をするだけではなく、どうすればタイムが縮まるのかをみんなで考えながらずっと訓練するんです。
自分の役割としては、塔の下にいる3人を7m上までロープで引っ張り上げることだったので、どうやって引っ張ったら速くなるのかを常に考えていました。筋トレで培った力の入れ方と、ロープを引っ張る力の入れ方はまるで違いますし、ロープもそんなに太くないので握りづらいです。特に手の大きい自分はそこで苦戦しました。
なので、訓練をしていない期間もロープを登って握る力をつけたり、手袋はいろんなものを試したりしていました(手の大きさを測ったところ、自分の手に1番合う手袋のサイズが7XLらしくて詰んだ)。
ロープの引き方も特に決まっていないので、フォームを常に研究していました。時には、全国大会で優勝した神奈川の消防士の方をInstagramで見つけ出してDMを送り、どんな訓練をしていたのか、どんな引き方をしていたのか聞いたりもしました。YouTubeでいろんなチームの引き方を見て研究したり、体重が重い方が有利なので、割と無理して体重を増やしたり。寝る前に練乳を飲んだり、バターを一箱全部食べたりしていました(やったことある人は分かってくれると思いますが、バターって意外と口の中で溶けないですよね)。
こういった努力を重ねますが、最終的に結果は東海地区予選敗退。引っ張る速さは1番でしたが、それだけじゃ勝てないのが救助技術です。
というか本当にもう、このコラムを書いていて思うのですが、恐ろしいほどずっと努力が実ってないです(書きながら泣きそうになる)。こんなに努力が実らないし、性格的にも争い事は苦手だし、運動も元々やってない、好きじゃない、得意じゃないのに、なぜかずっと努力がめちゃくちゃ必要な運動を続けています。
スポーツに対して努力してきているのに成功体験がなく、30歳まで歳をとってしまった感覚。この先成功することはあるのだろうか。もうここまでくると本当に成功イメージが湧かなくなってきます。
けれど、努力しないともっともっと悪い結果になるのは目に見えている(地獄?)。これじゃ、「努力マン」が「ラッキーマン」に負ける漫画『とっても!ラッキーマン』と同じじゃないですか(事実は小説より奇なりじゃないのかよ)。
もう自分でもよく分からないですが、そういう運命なのか、割と他力的に(最終的に選んでるのは自分ですが)行動していっています。でもそれは、自分の意志の弱さだとか、優柔不断なところがあるからだとか、人に流されやすいから、断る勇気がないし辞める勇気もないからなので、別に自分のせいだから納得もいっています。結局性格です。
ここまでくると、自分のやっていることってギャンブルだな、と思います(ごめんなさい、調子乗って例えてみましたが、ギャンブルほぼやったことありません)。
でも自分のしている努力って、ギャンブルでいうところの投資に近くて、結果が報われるという「当たり」が出るまで投資し続けて、全然当たらないけど「ここまで投資してきたからもったいない」という理由で投げ出すことができずにいます。もう引き際がわからない状態です。
逆に言うと、何かしらで成功したら、もう努力しなくなるんでしょうか。正直、今のところはそういったキツい努力を楽しいと思ったことはないし、悔しい思いをしているだけです。
ただ、自分の努力の残金が思ったよりあります。
こんなに負けまくってるのに、まだ投資しようとしているんです。残金があるうちは投資し続けようと思っています(いつ残金がなくなるのか考えたことないですけど)。
こういったことが自分の自信のなさにも繋がってくるし、多分ここまでだと、一回成功したぐらいじゃ自信つくとも思えません。元が取れないです。
だから、自分はよくパーソナルトレーニングに来るお客さんや、周りの人に「無理しないでください」と言ってしまいます。自分のような道を辿る可能性があるから。自分みたいにはなってほしくないからです。
もし全てをやり直せるなら、中学から陸上部にも入らないし、筋トレもしないかなと思います。もっと自分の好きなことをやりたいです。
そうは言っても、経験したことはないですが、スポーツで何かしらの成功体験を得た時、普通に好きなことだけをやって生きていたら感じることができないような気持ちよさがあるはずで、というかないと困るので、自分はこのまま投資を続けます。
これを読んでくれている方が1人でも多く、自分の地獄の現状が天国にひっくり返るまでを見届けてくれたら嬉しいです。そしてこれを読んでくれているギャンブラーの方、一緒に努力してみましょう。そんなことを考えさせられる消防士時代だったなと思います。
自分の溶かしてきた赤字がフィーバーしてジャックポットで、ゾロ目で払い戻しになる日まで、青木デカめ改め青木出目をよろしくお願いし麻雀。
すみません、普段やってないもので例えてしまってメチャクチャになってしまいました。
やっぱり慣れないことはするもんじゃないですね、努力します。
クリスタルジム
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