〈ビームス ボーイ〉って何だろう?〈ビームス ボーイ〉のスタイルって何だろう?
メンズウェアの様々なルールや、そこから派生した私たち独自のこだわり。
流行りに左右されることなく、いやときには流行りに乗りながら、服を楽しむには、
自分のために知っておくべきルールというのがたくさんあるのです。
そして、それを知って破ることこそ〈ビームス ボーイ〉です。
“ナンバリング”とは、元々はスポーツやミリタリー用の服に見られるもので、
その“ナンバー”が記された洋服(ユニフォーム)は、
働くための、そして戦うための“記号”にすぎなかったもの。
そんな洋服(ユニフォーム)と生涯を共にした人々の生き様に想いを巡らせてしまう。
くたくたに着古されたその“記号”こそ、その人の生きた証なのだから。
ナンバリングTシャツにロングスリーブのTシャツをレイヤード。足元が〈レッドウィング〉のブーツだとデニムパンツを穿きたくなりますが、ここはマドラスチェックのパッチワークスカートを。1990年代のアメカジをBOYらしくアレンジ。
ヴィンテージライクなナンバリングTシャツは、ブレザーのインナーにしてみるとひと味違う大人の魅力が発見できます。ボトムスはミリタリーのフィールドパンツでマニッシュに。古着が大好きな私たちらしいコーディネートです。
イレギュラーな古着に弱いなかなか完璧な古着を見つけるのは難しいなかで、〈ビームス ボーイ〉のナンバリングTシャツは、そんなヴィンテージのTシャツが持つ物語を感じさせるような仕上がり。大事にしているのは古着のイレギュラーな魅力。経年変化やプレントのズレ、プリントのカラーが前後で異なるのは、欠点ではなくむしろ長所。もしも新品だとしたらB品として扱われるようなポイントも、違いを個性として楽しむ私たちにとっては大好物。バイヤーが見つけた古着のスウェットにあったイレギュラーなB品をイメージしたプリントTは、シンプルながら〈ビームス ボーイ〉ならではの個性が表れたものです。
〈ウェアハウス〉に別注したナンバリングTシャツは2型。ヴィンテージと呼ばれるTシャツが作れられていた手法はそのままに、ユニークなナンバリングプリントで〈ビームス ボーイ〉らしく味付けしました。特徴はプリントの位置や色のイレギュラー感。きゅっとしたネックの詰まり具合もU.S.A.メイドの古着っぽくてたまりません。
1,2. あえてナンバリングの位置がTシャツのサイズの割に高めにプリントされている。実際の古着では、大量生産に伴う版ズレなどのイレギュラーなディテールがレア物として支持されている。
2. プリントの色が前後で異なるのは、正解なのか不正解なのか?実際にバイヤーが持っていた古着のスウェットを元に別注。想像を掻き立てるイレギュラー感も楽しい。
ウッディ・アレンの名作『アニー・ホール』。
チノパンにB.D.シャツを着こなしたダイアン・キートンのマニッシュなスタイルこそ
〈ビームス ボーイ〉のスタイル見本。そんな彼女を見ながらも、
実はニューヨーカーのアイビースタイルのアイコン、ウッディ・アレンが一番気になる。
俗にいう女子的ボーイッシュというより、もはやボーイ。それが〈ビームス ボーイ〉です。
チノパンはセルヴィッチ仕様になっていないので折らずに穿きます。ロング丈のナンバリングTシャツをラフにタックインして、ベルトをアクセントに。サンダルにソックスを合わせることもよくありますが、チノパンには素足です。
クレイジーパターンのオープンカラーシャツ、古着のカバーオールによくある落書きをプリントしたTシャツを合わせた1950年代風のコーディネート。ハイウエストで穿いたときに、ソックスが見えるくらいのバランスもオススメです。
チノパンは折らない『アニー・ホール』を観てチノパンの魅力に気付いた私たち。マニッシュなのに女性的な着こなしのダイアン・キートンの知的で芯のあるその姿に強い憧れを抱きました。そして監督であるウッディ・アレンの姿にも。小柄な彼が穿くチノパンは、ゆったりとしたシルエットが様になっていて、ダイアンとは異なる魅力がありました。縫製は割り縫いだったり、簡素な雰囲気が、かえってかっこいいアメリカ軍のチノパンはアイビーリーグスタイルといったら欠かせないボトムスです。流行りであろうがなかろうが、私たちにとっての定番ボトムス。デニムパンツのようにセルヴィッジ仕様になっていないチノパンは、穿くときは基本、自分の丈で折らないように。
まずは“カーキ”の定義から。“カーキ”はヒンドゥー語で土埃・土色という意味で、白い軍服をカレー粉、コーヒー、桑の実を混ぜた汁を使って染め上げた時に生まれたインドの土地にそっくりな色のこと。こちらは1945年にアメリカ軍で採用されていたミリタリーチノ、M-45カーキトラウザーズ(通称45カーキ)をベースにしたモデルです。“カーキ”と言ったらやっぱりこの色!
ネイティブアメリカンの手でデザインされ、
ひと振りひと振りハンマーで叩かれ、削り、磨かれたジュエリーたち。
ボーイッシュなスタイリングに馴染む、
力強いけどゴツすぎないデザインのシルバージュエリーは、
使うほどに味が出てどんなコーディネートにも不思議なくらい自然にそっと溶け込んでくれます。
シンプルなコーディネートでも、ネイティブアメリカンジュエリーを合わせるだけでぐっとBOYらしくなります。むしろジュエリーを主役に着こなすのもあり。ウエスタンシャツじゃなくB.D.シャツを選ぶのもBOYならでは。
カジュアルなコーディネートには、ネイティブアメリカンジュエリーを大胆に沢山つけても面白いです。コンチョベルトをネックレスとして使ってみたり、発想は柔軟に。気に入って長く愛用できるものを少しずつ集めましょう。
ジュエリーといえば
ネイティブアメリカンのシルバーアクセネイティブアメリカンジュエリー。スピリチュアルな部分の継承が、このジュエリーの魅力に大きく影響しています。様々な部族、アーティストによって異なる技法やモチーフ。ターコイズひとつとってもいろいろな種類があります。ジュエリーを見れば、どこの部族、どこのアーティストが作っているかがわかり、そこには彼らが大切に守ってきた意味があります。それを身につければ、私たちも守られているような、私たちのアイデンティティが確認できるような、大げさだけど、そのような存在のジュエリー。そしてハンドメイドの一点ものならではの魅力は、人と被ることを良しとしない〈ビームス ボーイ〉にはぴったりのアクセサリーだと思います。
〈ビームス ボーイ〉流のネイティブアメリカンジュエリーの身につけ方は自由です。アーティストや部族を揃えて身につけるのもかっこいいですが、そこに注力する必要はありません。現地の女性たちは、複数のアーティストや部族のものをミックスしたり、ネイティブアメリカンジュエリーではないアクセサリーを組み合わせて楽しんでいました。私たちも彼女たちに習って、まずは自由に楽しむことを推奨します。ネイティブアメリカンジュエリーは一生を超え、次世代に受け継げるものなので、値段が高くても安くても気に入ったジュエリーを買って長く愛用しましょう。大切なことは、長く愛用して自分の身体の一部になるように馴染ませていくことです。
第二次世界大戦中、アメリカ海軍がアンダーウェアとして確立させ、
その後普段着として進化したTシャツ。
1950年代にジェームス・ディーンが着ていたシルエットや雰囲気を残した、
これぞ“王道Tシャツ”というべき白Tとその詰まった襟グリが好き。
1枚でも、重ね着でも使いやすい。まっさらな白Tは〈ビームス ボーイ〉にとっても基本中の基本。
私たちがTシャツを選ぶ重要なポイントのひとつがネックの詰まり具合です。ヘビーウェイトのTシャツでおなじみの〈キャンバー〉に別注したTシャツは、もちろんその基準を満たすものです。袖をまくったときもいい表情で映えます。
BOYのスタイルでは、デコルテは見せるものではありません。よってTシャツのネックの開き具合によっては重ね着をします。きちんと計算したレイヤードは、手の込んだ着こなしにも見えます。デコルテを見せるのは大切な人にだけ。
白Tはついつい集めてしまう白Tとはいえ、様々な白を持っていたい。まっさらな白やオフホワイト、ナチュラルな生成り、毎日のように着る白Tはしっかり使い分けたい。ブランドによって違う生地の厚さ、襟のリブ、シルエットにもこだわりたい。だから白Tは何枚あっても足りないのです。そんな白Tを着こなすための共通ルールは、ネックの見せ方にこだわること。そのためにはあえて2枚重ねで着ることもあります。インナーのネックの見え方も計算した重ね着は、チープなパックTでも手の込んだコーディネートに見せてくれます。そんな白Tとの付き合い方を教えてくれたのが、古き良き時代のアメリカが詰まっていると憧れの先輩に聞いた映画『スタンドバイミー』。決してお金持ちじゃない、リアルな男の子の着こなしが見られるところも、アメリカをより近くに感じられる、私たちのバイブルです。
ついつい同じものを蒐集してしまいがちな私たちですが、白いTシャツもそのひとつ。新品はもちろん、古着も買ってしまいます。下の写真は〈ビームス ボーイ〉ディレクターの私物ですが、こちらはすべて古着。ほとんどがアメリカブランドのものですが、ブランド、年代によって異なる生地感や縫製の違いがたまらなく魅力的。いつの日か、〈ビームス ボーイ〉が別注した〈ヘインズ〉や〈キャンバー〉の白Tも誰かのコレクションになっていたら嬉しいです。
バックパックを使えば、沢山の荷物も運べるし、
両手も空くしどこまでも行ける(気がする)。それはハンドバッグでは体現できないこと。
本当は登山やアウトドアのためのデザインだけれど、
その機能を考えながら日常に取り込んでしまうのは楽しいこと。
バックパックを背負う正しい位置は左の写真。右の写真のようなルーズな背負い方は、ヨソでは通用しても〈ビームス ボーイ〉では推奨しません!正しい位置に背負う習慣をつけることで、バックパック本来の機能を楽しむことができます。
バックパックは正しい位置で背負うだらしなく背負わず、正しい位置で背負いましょう。日常でしっかりバックルを留めて背負ってる人は少ないと思いますが、他の人とは違う着こなしも〈ビームス ボーイ〉には大切な付加価値。私たちにとってカバンと言ったら、可愛いショルダーポーチでもキュートなカゴバッグでもなく、がっちり背負えるバックパックなのです。〈ビームス ボーイ〉では、バックパック界のロールスロイス、最高の背負い心地〈グレゴリー〉に、経年変化を表現した素材で別注。古いナイロンが放つ異臭問題を解決した、一見普通だけど全然普通じゃない、デイリーに使えるバックパックに仕上げました。
今回の別注で〈グレゴリー〉にリクエストしたのは“味が出まくったグレゴリー”。中古でいいモデルを見つけても、ナイロン内側の加工が劣化して異臭を放っていたり、ちょうどいい表情なのにリアルには背負えないジレンマがありました。が、私たちはついにこの問題を解決しました。色焼けはプリントで再現し、通常は黒いテープも色褪せたチャコールグレーに。一見普通だけど全然普通じゃない、かなりマニアックなオーダーですが、他では絶対に手に入らない〈ビームス ボーイ〉のスペシャルアイテムです。
HOW TOベトナム戦争から無事に帰還する記念品として、米兵が現地で使用した寝袋や
パラシュートの生地にベトナム由来の刺繍を施して作ったスーベニアジャケット、通称ベトジャン。
ホワイトカラー的な雰囲気のするB.D.シャツのようなアメリカンファッションと、
ブルーカラー的ティーンエイジャーを表現するベトジャン。
どちらも〈ビームス ボーイ〉の大事なアイテムです。
キッズサイズに別注をしたベトジャンは、サイジングにこだわって作られているので、着こなすときも合わせのアイテムとのバランスにこだわりましょう。着丈が短いのでインナーは少し長めにし、パンツはクロップド丈にして足首を出すとまとまります。
サイズバランスにこだわる〈ビームス ボーイ〉はもともと、BEAMSのメンズのお店や古着屋に足繁く通っていた、ウィメンズのメインストリームな洋服を斜めに見ている女性に向けて出来たブランド。なので、自分たちが着られるサイズのヴィンテージを探す上で、キッズの古着を買うのは共感できるマインドでした。そんな私たちには共通して備わっているDNAを形にしたのが、このキッズサイズ別注のベトジャン。製作はスカジャンのオリジナルとして知られる〈テーラー東洋〉。本物の古着でも小さいサイズの方がイカツイ印象にならずに着こなせるのですが、実際のキッズサイズは肩周りがキツく、全体もタイトなので、〈ビームス ボーイ〉モデルは十分なゆとりを持たせてリアルに着回せるものになっています。
“古着屋のレジに飾ってあるキッズサイズのレアヴィンテージ”をテーマにした〈テーラー東洋〉とのコラボレーション。前回の2019年秋冬のMA-1、スカジャンに続く今回は、ベトジャンとカバーオールを別注。ベトジャンは、肩と袖周りにゆとりをもたせ、袖丈を伸ばすことで着用しやすいサイジングに。襟の大きさ、ネック寸、着丈、刺繍の大きさはすべてキッズサイズを採用しています。
1.右胸には虎、左胸には福の刺繍。虎はベトナムで吉を表すもので、福は七福神の福禄寿からきているとか。
2.両袖には龍の刺繍。着やすくアレンジした袖に対し、刺繍はキッズサイズのボディに合わせて少し小さめに。
右胸には虎、左胸には福の刺繍。虎はベトナムで吉を表すもので、福は七福神の福禄寿からきているとか。
両袖には龍の刺繍。着やすくアレンジした袖に対し、刺繍はキッズサイズのボディに合わせて少し小さめに。
誰もが一本は持っているデニムパンツ。
アメリカでワークウェアとして生まれ、以来最もデイリーに穿けるアイテムとして親しまれてきました。
自分に丁度いいサイズを穿き込み、味がでたデニムパンツには、
特有のアタリが出来て、体型にも合ってくる。
その人だけの汗と涙と、訪れた土地土地の埃を吸い込んだ、
自分の経験が刷り込まれたデニムパンツこそ、自分だけの特別な一本です。
ハイウエストのデニムパンツは、ショート丈のベストを合わせて長さを強調しましょう。Tシャツはタイト目のものをタックイン。このデニムパンツと相性がよいシューズは、タッセルスリッポンのような甲が低いモデルがオススメです。
丈が短いデニムパンツは、トップスを長めにするとバランスがよく見えます。パンツの裾はワークブーツにかからないように、ソックスをちらりと見せるのがポイントです。インナーのTシャツは重ね着してデコルテを見せないように。
ワイドシルエットのデニムパンツは、トップスをタイトにしたくなりますが、長めや大きめのものを合わせてボリューム感を強調しても面白いです。サンダル感覚で履ける〈パラブーツ〉の別注シューズで足元に抜け感を作りましょう。
メンズライクな服を着る機会が多い私たちは、スリムなデニムパンツには大きめのトップスを選びがち。ですが、たまにコンパクトにまとめてみるとアメリカの少年っぽくて新鮮です。裾のチェーンステッチのアタリを見せたいので、裾は1回しか折りません。
自分に合う、シンデレラサイズのデニムを持つ自分に合うシンデレラサイズのデニムパンツを持っている。そして、最低5パターンは持っていたい。それが〈ビームス ボーイ〉のデニムパンツに対するルールです。まずはブランドでも、年代で選ぶのでもなく、自分のジャストサイズを探すこと。穿いたときのヒップライン、ボタンフライの第一ボタンの食い込み方。ジャストの感覚を常に忘れずに。そこから自分ならではの味を持つように育てていく。けれどもいくら万能だからといってジャストサイズの一本ではダメ。ハイカットのシューズには丈が短いデニムパンツや、オーバーサイズのトップスにはあえてのワイドシルエットなど、デニムパンツの丈・シルエットにはこだわっていきましょう。そしてどのスタイルにも言えますが、裾のアタリが見えなくなってしまうので、2回以上は折らないこと!
〈ウェアハウス〉のデニムは、シルエットはもちろん、デニムの捻れやアタリ感も含め、洗濯機や乾燥機が普及した1960年代に作られた某有名デニムブランドのヴィンテージジーンズを完全再現したもの。オーセンティックなヴィンテージのディテールや色落ちはそのままに、レングスを日本人がオリジナルパターンで穿けるように設定しています。なかなか自分ではここまで穿き潰せない……という人に自信を持ってオススメしたい、ヴィンテージジーンズが楽しめる新品です。まずはこのデニムパンツでヴィンテージディテールを勉強するのはいかがでしょうか。
フロントはボタンフライ。面倒くささもアメリカのワークウェアらしくていい。
レザーパッチ、タグなど、某有名デニムブランドのディテールを忠実に再現。
デニムパンツを裏返すと、ヒップポケットには隠しリベットが。これも1960年代当時のディテール。見えないところにもこだわりを。
裾のアタリが見えなくなってしまうので、デニムパンツを折るのは1回まで。ユニオンスペシャルのチェーンステッチもしっかり見える。
靴といったらヒールこそ女性の象徴。普通はね。
私たちが見ているのはアメリカのリアルなお父さんの足元。
西海岸の〈ナイキ〉や〈ヴァンズ〉もいいけれど、
私たちの贔屓は東海岸、アイビールックの故郷、ボストン生まれの〈ニューバランス〉。
履き心地だけじゃなくアイビーとの相性の良さを含めて、“900”番台こそが私たちの定番。
スニーカーの色とソックスの色を合わせるのも〈ビームス ボーイ〉らしい履き方。
『990』は今シーズンのオススメモデル。まさにアメリカのお父さんが履いていそうな感じでしょう?
ヒールよりもスニーカー〈ニューバランス〉といえば数字が並んだモデル名。スニーカー界のロールスロイスと呼ばれた『1300』も、『1500』もいい。小さいサイズのない“2000”番台もいいですが、やっぱり一番は良い意味でも“ダサい”フォルムの“900”番台。アメリカのお父さんが履いている率NO,1のあの“900”番台の特徴といったら、小さなNロゴとぽってりとしたシルエット。メイドインU.S.A.の象徴である“900”番台には、かっこいいよりちょっとダサめがお洒落だと感じる私たちの心をくすぐる何かが詰まっているのです。
〈ニューバランス〉の“900”番台は、スタッフの着用率が非常に高く、気づいたら〈ビームス ボーイ〉の定番的存在に。もちろん、〈ビームス ボーイ〉の洋服との相性は抜群です!人と被りたくない私たちにとっても、〈ニューバランス〉は例外。
ワークウェアとして、そのための機能が備えられたお洒落をするために生まれたわけではない服。
もしかしたら、今という時代に着るにはある意味、不便なものかもしれません。
けれども意味を持って生まれたそのステッチや、ポケットを眺めればその背景が目に浮かぶ。
私たちはそのすべてを着たいと思っています。
チンストラップは1940年代以前のカバーオールの特徴的なディテールです。なので、チンストラップのボタンだけ留めて自慢げに目立たせましょう。Gジャン感覚でカジュアルに着こなすと、コーディネートの幅が一気に広がります。
少し強引ですが、ワークウェアを広義に捉えると現代のオフィスウェアも仕事着のひとつです。ブレザーのセットアップにカバーオールをアウターとして羽織るのもBOY的にはアリ。スニーカーとソックスの色合わせにもこだわりを。
働くために生まれた機能美を愛すお洒落をするために生まれていない、働くために生まれた洋服。普通の女の子が興味を示さないようなワークウェアに、あえて興味を持っていきたいというのが〈ビームス ボーイ〉。そんな私たちにとってカバーオールは外せないアイテム。私たちは、服に対して自分たちなりの付加価値を見出していますが、そのひとつが“粗野感を提案する”かもしれません。アメリカの物作りが感じられる“粗野感”。着ていく上では不自由なことも多いけれど、いい意味での適当さと、そこには意匠的なデザインは組み込まれていないことがほとんどなので、いつまでも古く見えないし、長く愛用できるのだと思います。
アメカジといえば、デニムやダック地のカバーオール。使い込むほど刻まれていく色落ちやダメージは醍醐味のひとつです。〈ヘッド ライト〉のカバーオールは、1942年に作られた所謂“大戦モデル”をモチーフにした一着。“大戦モデル”特有の簡素化されたディテールを再現し、通常は3本のステッチが2本になっていたり、あえていびつな縫製になっています。
1940年代以前のヴィンテージに見られる仕様で、台襟と一体化したチンストラップ。襟のバタつきを抑えるために施されたディテールです。
左胸の懐中時計を入れる変形ポケット。この変形ポケットを特徴とするカバーオールは、ヴィンテージ市場でも人気です。また、それぞれのポケットが四角なのもこの年代までの特徴で、それ以降のアイテムはラウンドしたポケットに変化。
袖口はレイルローダーカフス仕様で、バータックで補強されている。袖口のボタンも“大戦モデル”らしく、2つから1つに減っている。そんなイレギュラー感も私たちにとっては見逃せないポイントです。
主に1940年代以前のディテールとして有名なチェンジボタン。今回のモデルは“大戦モデル”なので通常は月桂樹ボタンですが、稀に存在するチェンジボタン仕様になっています。
ときにはアクセサリーよりも、存在感とそのデザインで腕を彩る時計。
そこで選びたいのがミリタリーウォッチ。
高い視認性のインデックスに、装飾とは無縁のシンプルな文字盤。
そんな機能だけを残して無駄をすべて省いた必要最低限のデザインは、
ミニマルだけどちょっぴり無骨な匂いも感じてしまう。
腕時計もやっぱりアメリカブランドアメリカ軍にディスポーサブルウォッチを支給していた歴史もある〈タイメックス〉の『オリジナルキャンパー』はミリタリーウォッチの中でも私たちにとっての最高峰。そんな〈タイメックス〉、軍隊のためだけじゃもったいない。決してハイブランドのような扱いではない、あのチープな感じがカッコいい。それを例えるとすると、〈ヘインズ〉や〈ディッキーズ〉や〈フルーツ オブ ザ ルーム〉などと一緒のような雰囲気。アメリカの庶民の腕(時)を支えてきた、お手頃だけど丈夫な〈タイメックス〉に尊敬の念しかありません。気張らないのに存在感や物語を感じる、そんな不朽の名作を私たちは身につけたいと思うのです。
私たちにとって〈タイメックス〉は、どんな高級腕時計よりも魅力的。〈ビームス ボーイ〉ではオリジナルモデルだけでなく、〈エンジニアド ガーメンツ〉と一緒に別注したバーバークロックモチーフをはじめ、今まで数多くのアイテムを別注してきました。今シーズンは、ムーブメントが丸見えのクリアな『オリジナルキャンパー』をオーダー。内側に隠れた機能美が、何より最高のデザインなのです。
私たちが好きなメンズウェア。
その背景やルールも知った上で着こなすことを楽しみたい。ルールを知らなければ、
それを着崩すことも、遊ぶこともできません。
つまり、ルールを破ることで生まれる自分らしさも生み出せないのだから。
メンズファッションのルールとは何か?その基本はブレザーに詰まっています。
フーディとイージーパンツを組み合わせたスポーティなコーディネートも、ブレザーを羽織るだけでアイビースタイル風に。東海岸好きの私たちは、N.Y.ヤンキースのキャップも好きだし、ブレザーとの色合わせもいいでしょう?
ブレザーとスラックスは同生地のセットアップ。インナーのTシャツをネイビーにするとワントーンでまとまりが出て、カジュアルなのにエレガントにも見えます。バンダナ、コンチョベルトを加えるとよりBOYらしさがアップ。
アイビー、カントリー、ワークなどアメリカンテイストをミックスしたアメリカ“増し増し”コーディネートも、ある意味BOYらしさです。ポイントはネイビー・ブルー系のグラデーションでまとめること。ブーツのゴツさで甘さを軽減。
インナーをハワイアンシャツにするだけで、グッと夏のブレザースタイルに。チノパン、ソックス、スウェードブーツのトーンを合わせるとカジュアルになりすぎません。夏のムードをさらに盛り上げるならカンカン帽がオススメです。
ブレザーとマドラスチェックのスラックスにはB.D.シャツを合わせるのがアイビーのセオリーですが、BOYは変化球も大好きなので、ウエスタンシャツでも正解です。なので、足元はスニーカーでもローファーでもなくサンダルです。
“ブレザー”は私たちのワードローブアイビールックの万能選手にして基本のジャケット、ブレザー。〈ブルックスブラザーズ〉が“NO,1サックスーツ”としてレディメイドのナチュラルショルダーのジャケットを販売したことをきっかけに、今までの堅苦しいジャケットとは違う雰囲気が若者の心を掴みました。3つボタン段返り、中央のボタンのみ留める、ベントはフックベント、などの決まりが沢山あることも魅力。まずはディテールや着こなしをちゃんと知り、そこからいかに自分らしさを生み出していくか。着心地の良い服をそのまま着るというより、あるものをどう自分に寄せて着こなすか。ブレザーを着こなすということは、その難しさと同時に楽しさも教えてくれる最高の一着です。
ブレザーは〈ビームス ボーイ〉にとってアメリカントラディショナルが凝縮されているアイテム。なので、トレンドに関係なく毎シーズンブレザーを作っています。流行に左右されたディテールやサイズ感にはしません。社会人用のスーツでもなく、学生服でもない、デイリーなファッションアイテムとして楽しめる女性のためのメンズライクなブレザーです。
第1ボタンが反り返った“段返り”の3つボタンはアイビーリーグスタイルの定番ディテール。通常の3つボタンとは異なり、第2ボタンだけを留めます。チェンジボタンを付け替えて雰囲気を変えるのも◎。
〈ビームス ボーイ〉では裏地にレジメンタルストライプを採用。いわずもがなアイビーリーグスタイルに欠かせないネクタイの柄です。
スタンダードなブレザーのすべてに採用されているフックベント。カギ型を意味するこの仕様は、強度を増すために用いられており、モーニングコートの仕様にも採用されているクラシックなディテールのひとつ。
120年も前、イギリスの上流階級が嗜むスポーツ“ポロ”競技の騎手が
着ていたシャツが源流のB.D.シャツ。アイビーリーガーとその卒業生が足繁く通う、
かの有名な〈ブルックスブラザーズ〉が発祥です。ジョン・F・ケネディやアンソニー・パーキンスなど、
アイビーリーグ卒の有名人がカッコよく身に纏っていたことから、瞬く間にファッションアイテムとなったもの。
肉厚で丈夫、着込めば味が出る“オックスフォード生地”が定番。
アイビーリーガーが憧れる、英オックスフォード大学と同じ名前というのも響きがいい。
このシャツは〈ビームス ボーイ〉にとって最も欠かせないものの一つ。
サックスのB.D.シャツにグレーのスラックスのマニッシュなコーディネート。そこにBOYらしさをさらに加える場合、アメリカのおじさんっぽさを味付けします。ガムシューズには柄ソックスを合わせ、ネクタイもあえて長めに。
B.D.シャツワンピースにはニットベストを組み合わせてロングとショートの丈感を楽しみましょう。BOYの場合、基本的にB.D.シャツの第一ボタンまで留めますが、バンダナを合わせるときは例外です。デコルテはもちろん出しません。
シャツの第一ボタンは留めるあらゆるスタイルのシャツが出回っており、その着こなし方も様々。けれども〈ビームス ボーイ〉ではアイビーリーガーが入学式やミサ(もしかしたらデートも?)などにしていた“第一ボタンまでしっかりと留める”正式な着こなしを守りたい。なぜならB.D.シャツこそ、私たちが憧れたアメリカのカルチャーが具現化されたものだと思っているから。洗いざらしでも、カジュアルに着るときでも、だから私たちは第一ボタンまでしっかり留める。それが私たちの“ルール”です。
一見するとシンプルなオックスフォードのB.D.シャツですが、実はこだわりがたくさん詰まっています。女性が着用しやすいように、襟のサイズをコンパクトに設定。なので第一ボタンまで閉めても堅苦しくありません。前立ての打ち合わせはメンズ仕立ての左前に。〈ビームス ボーイ〉別注のロゴ入りシャツボタンや裾部分にはさりげなく施したBB刺繍もポイント。ウエストを絞らず、ボーイッシュな印象になるようにデザインしています。
着脱への強度を増し、袖まくりもしやすくなるように袖先に付けられた剣ボロ、その中央についているガントレットボタンは、こだわって作られているシャツの目印です。
背中のプリーツ部分に施されたループは、アイビーリーガーがロッカーにかけるために作った仕様だとか。ヨーク下部分のボックスプリーツは肩や背中の可動域を補助するためのもの。
裾の前身頃と後身頃が合わさる部分に取り付けられているガゼットは、強度の弱いつなぎ目を補強するためのもので、洗濯時のほつれやパンツの中の引き連れを防止する役割。
アメリカのカルチャーとファッション、そのすべてを“結ぶ”布がバンダナ。
日々持ち歩くのに、真っ白で小綺麗なハンカチはちょっと照れくさい。色や柄の違い、それを首に巻くか?
ポケットから出す?バッグから垂らす?今日のコーディネートにはどうやって合わせるか、
バンダナを味方につければ、スタイリングが生き生きと動き出す。
バンダナは、私たちの日々の相棒。
ブレスレット感覚で手首に巻いてみる。昔、パティ・スミスもフジロックフェスティバルでやっていました。
ヒップポケットからチラリとのぞかせる。習慣にしておくといつでもさっと出せるし便利。
バンダナは毎日欠かさないバンダナは、その日のコーディネートの色や柄に合わせる、たとえそれが見えていても見えていなくても。バンダナをハンカチとしてではなく、アクセサリーだと考えれば、その日のスタイリング、メイク、ネイルに合わせて選ぶのは楽しいもの。とくに〈ビームス ボーイ〉の服には、キラキラしたアクセサリーや、華奢すぎるものよりも、バンダナやネイティブアメリカンジュエリーのような存在感のあるものの方がしっくりきます。
右上の写真のバンダナは、〈ビームス ボーイ〉のディレクターの私物。しかも、これはコレクションの(ほんの?)一部です。ここまで揃える必要はありませんが、バンダナをコレクションしておくと、アクセサリー感覚で遊べて楽しいものです。古着屋などで集めるのもいいですが、お店には〈ビームス ボーイ〉オリジナルのバンダナもご用意しています。ブランド名とイニシャルのBBをあしらった自慢の柄です。
HOW TOスカーフやマフラーのようにバンダナを首に巻いてみよう。似ているけど微妙に違う。そんなちょっとした巻き方のこだわりも〈ビームス ボーイ〉らしさです。
指輪で留めてみる。小さいと通しにくいし、大きいと指輪が落ちちゃうので気をつけて。
メンズライクにネクタイ巻き。剣先が広がらないので、すっきり見える。
細かいテクニックは使わずにシンプルに。どんなコーディネートにもしっくりくるかも?
バンダナを捻りながら巻く。ひねりの利いたスタイルがお好みな人にオススメ。
裏が起毛しているコットンのカットソー生地、
汗を吸ってくれる運動着によく用いられた素材だった故にその名が付いたスウェット。
〈ビームス ボーイ〉の定番として、絶対譲れない点が両Vの汗止めに針抜きリブ、フリーダムスリーブ、そしてグレー杢。
スウェットが生まれて間もない頃のディテールと最も普遍的な色を愛さない理由はないのだから。
両V、そしてグレー杢のスウェットを愛してやまない私たちは、シャツとパンツを白にすることでグレー杢の存在感を強調して目立たせます。ハワイアンシャツとバンダナの柄をさりげなくチラ見せするのもBOY流の遊び心です。
グレー杢に目がない1色ではなく2色の糸で構成されている杢糸を使うという非効率な雰囲気と、汚れを目立たせないようにしていたという説のある機能的な色合いに、ストーリーを感じずにはいられません。数多くのグレー杢のスウェットがありますが、こだわるならば、コスト削減や時代の流れの中で失われていった古い技法を駆使したものを身に纏いたい。ヴィンテージスウェット特有のディテールである汗止めガゼットの両面使いに、脇に縫い目がなく、着心地が良い丸胴編み。袖の切り返しが肩から脇にかけてS字状に伸びており、脇の下に縫い目のない袖のつき方のフリーダムスリーブ。パッと見はわからないかもしれないけれど、そんなディテールを大事にすることが〈ビームス ボーイ〉の定番へのこだわり方なのです。
両Vとは、首元についたV字状のガゼットが前後についていること。生地の縮み防止や汗止めのためにつけられたものですが、コスト削減や技術向上などにより1960年代頃には減少していったヴィンテージスウェット特有のディテール。
リブとボディの2トーンや色ブレもイレギュラーなヴィンテージ仕様ならでは。メイドインU.S.A.のスウェットといえば裏起毛ですが、〈ビームス ボーイ〉では通年着用していただけるように裏毛を採用しています。
両Vや後付けパーカなど、すべてディレクターの私物。微妙な色の差だとしてもやっぱり欲しいものは欲しい!
ボディはゆっくりと丁寧に編み立てられた丸胴編みを採用。脇に縫い目がなくシームレスで着心地の良さが特徴です。
袖の切り返しが肩から脇にかけてS字状に伸びる袖のつけ方をフリーダムスリーブと呼びます。その名の通り、腕が自由に動くように開発されたものですが、手間がかかるため、1940年代から1950年代にしか生産されていません。
ミリタリーウェアは、戦うため、身を守るために作られた究極の機能服。
そこには一切の無駄がなくて、必要に迫られた最低限の要素でデザインされています。
その男臭さが格好よくて、無性に憧れてしまうのが〈ビームス ボーイ〉です。シンプルなデザインですが年代ごと、
また時代や用途に合わせて変化する、ちょっとしたディテールにもロマンを感じます。
アメリカのおじさんのようなコーディネートが大好物な私たち。ファティーグジャケット、古着をモチーフにしたパイピングのヘンリーネック、プレストパンツ、〈ニューバランス〉の『990』。BOYってまさにこれでしょ!
ミリタリーにロマンを感じる映画や写真集でみたファティーグジャケット。戦場のGIだったり、それをファッションにしたヒッピーだったり。軍もの全般に言えることですが、脳裏に焼き付いているのは“オリーブドラブ”と呼ばれるグリーンの生地で作られたジャケットやパンツ、どれにも多くのポケットやステッチやボタンがついていたこと。物が取り出しやすいように設定された斜めのポケットやフラップ。補強のためにこれでもかと盛られたステッチ。機能を全力で追及したものには、それにしか持ち得ない機能美があります。そんなことがどんなトレンドよりも気になるのが〈ビームス ボーイ〉です。
〈ビームス ボーイ〉では毎シーズン、何かしらのヴィンテージミリタリーウェアを元ネタにオリジナルアイテムを企画しています。大きくデザインをデフォルメすることはせず、生地やちょっとしたサイズ感をアレンジ。こちらは、1960年代のベトナム戦争で米軍に採用されていたジャングルファティーグジャケットを超軽量ナイロンで製作したもの。元ネタよりもパッカリングが効いて、ステッチワークも映える仕上がりに。
ボタンが表から隠れて見える比翼タイプは、当時のファティーグジャケットの代表的なデザイン。
八の字についているポケットは、物が取り出しやすいように考慮された機能性を重視したデザイン。ポケットのむき出しのボタンはファーストモデルから引用したもの。
袖口とウエスト部分に施されたアジャスターもファティーグジャケットならでは。
履きたいスニーカーと言ったら、メンズものが多い私たち。
古着屋に行っても自分のサイズを見つけることが難しいというのもありますが、大は小を兼ねる、
ということであえて大きめのサイズも履きます。
足元が大きい方がスタイリングのバランスもとれる。けれども締めるとこは締める!
メンズライクな服や古着を着るからこそ、細部にはこだわりと清潔感を出すべきなのです。
スニーカーの紐はタイトに締める脱ぎ履きしやすいからって、紐を緩く結んだりしない。紐の緩みは心の緩みと、今日もギュッと靴紐を締める。そこには、コーディネートには爪先や靴の紐までこだわりを持つ、という気持ちが込められているのですが、靴紐へのこだわりはそれだけではありません。いろんな靴があるように、そこにはまた沢山の紐の通し方もあります。正解はないのだけれど、自分は上から通す、平行に通すなど、そんなところまでちゃんとこだわりたい。私たちは靴を買うと、一旦全部の紐を抜いて、また通し直します。靴磨きをする時と同じように、それは靴に対しての愛着を表す、ある種の儀式となっているのです。
今回の〈コンバース〉の『オールスター』は、紐の結び方を左右揃えて上からにしています。私たちはスニーカーの紐をタイトにすることを好みますが、自分のこだわりを持つことが大事です。正解も不正解もありません。些細なことですが、そういった積み重ねが日々のファッションを楽しくすると思うのです。