別注の仕掛け人同士がそのこだわりを徹底激論しました
特別な別注のおはなし

無藤:西口くんと面と向かって洋服の話をするなんて、久しぶりじゃない?
西口:たしかにそうですね。大先輩とこのようなお話ができるのはとても嬉しいです。
無藤:面白い話、楽しみにしています。そろそろ本題の今季の別注について話を。
西口:では、僭越ながら私から。この<エンツォ ボナフェ>は、過去に取り扱いがあったモデルをモディファイドしたものです。

無藤:この色気のある感じはいいね。今季はブーツが気分ってこともあって、なおのこと刺さる気がする。
西口:本当ですか!?嬉しいお言葉ありがとうございます。ブリッラはどんな感じですか?
無藤:うちの一発目はこれでいこうかな。<ティト アレグレット>のジャケット。

西口:色気という点では、このジャケットもブーツに負けてないじゃないですか。
無藤:思い入れのあるブランドだからね。
西口:生地がシャドウブラックウォッチってところも素敵ですね。
無藤:そういう意味では、僕も<バフィー>のカシミアニットと<エルネ>のパンツは“やられたな”と思ったよ。
西口:このカシミアの<バフィー>は、ボートネックなんですけど、ネック部分が横に開きすぎていないのがポイントなんです。

無藤:そう! この開きの絶妙な調整のおかげで、大人が着てもイヤらしくならないんだよね。いや、本当にいいよ。そして、このシューカットのスラックスも今季、まさに気分だよね。僕はちょっと勇気がなくてバイイングできなかったなぁ。
西口:無藤さんなら難なくはきこなしちゃいそうな気もしますけど。
無藤:そうかもね。だからまずは僕が試して、すんなりはけたら40~50代のお客様にも受け入れられると思うから、そうしたら来季あたりバイイングしようかな。

西口:その半歩先の感覚、大切ですよね。私は時折ヤリすぎてしまうことがありまして。
無藤:ヤリすぎちゃうところは、やっぱりあるよね。<エンメティ>の赤のライダーズは我ながら“振り切ったな”って感じだし。
西口:個人的にとてもブリッラらしくていいなと思っていました。

無藤:洋服の歴史にもすごく興味がある西口くんとしては、この<ディノマッティア>のコンチョベルトも気になるんじゃない?
西口:そうなんです。こういうウエスタン調のベルトって、いつ頃流行ったんですか?
無藤:僕が入社した87~88年あたり。当時からスタッフはミックスコーデが好きで、ウエスタン調のベルトにアルマーニのソフトスーツを合わせていたなぁ。当時は、もっと太くて本気っぽかったけど……。

西口:勉強になります。ところで、この<ジャブス アルキヴィオ>のパンツもいつにも増してしなやかな風合いですね。
無藤:毎シーズン人気の「マサッチョ」で新しい生地を使ったやつだね。リヨセルが入っているからクタッとしていて、ドレープがきれいに出る。人気目線で言えば、<バブアー>の「スペイ」も売れているんでしょ?

西口:そうなんですよね。しかも今季は取り外しできるライナー付きでオーダーしたんです。一見地味な別注ですけど、このひと工夫で着用できる期間が格段に長くなるので、本当におすすめです。

無藤:いいね。うちでもやっているよ。地味な別注(笑)。<フィリッポ デ ローレンティス>のチルデンニットは、元々全体がケーブルだったものを、袖の部分をフラットにして色変えしただけっていう……。
西口:目立った別注ではないですが、そのおかげでコスプレっぽさが薄れて、ジャケットを着たときもストレスに感じないのではないでしょうか。そういう意味では、意味のある地味さだと思います。

無藤:嬉しいこと言ってくれるよね。そういう細かさもビームスらしいかなと。そんな西口くんには、このムートンダッフルがすごく似合いそうだね。
西口:この<チンクワンタ>は自信作ですね。デニムとカットソーにこれを羽織るだけでラグジュアリーな雰囲気に仕上がります。ところで、素材といえばスエードのイメージが強い無藤さんが表革のローファーを別注していたのが気になっていたんですが……。

無藤:なんか久々にブラックデニムとかジャケットにカラーニットというスタイルに合わせたいと思ったんだよね。
西口:靴の気分は断然表革ですよね。

無藤:ちょっとスカした感じで履きたいっていうか。だから<ポルペッタ>に別注しちゃった。最後のアイテムになるけど、このマフラーも抜群に売れそうな配色だね。
西口:そうなんです。配色のバランスがすごくよかったので、<ジョンストンズ オブ エルガン>にハーフカットでリクエストしちゃいました。
無藤:今季の別注もお互いてんこ盛りだ。
西口:是非、皆様に実際に手に取ってご覧いただきたいですね。
