Be a Gents!タイドアップスタイルからドレスクロージングのいまを紐解く
“格好良さ”の定義が時代ごとに移り変わろうともクラシックなスタイルによって浮き彫りにされた着る者の内面を汲み取る感性を人々が持ち続ける限り
「ネクタイをして格好つけたい」という男たちの欲望は枯渇しない。
時代性と個性とが邂逅するそれぞれのタイドアップスタイルからドレスクロージングのいまを紐解く
ブラウンのグレンプレイド柄スーツにホワイトよりも柔らかい印象にまとまるクリームカラーのシャツを合わせて。絶妙な色合いのシャツとブラックをベースにした総柄ネクタイとのコントラストが、新しい世代のコンテンポラリーを構築する。
イタリアの伊達男たちがこぞって採り入れる“アズーロ・エ・マローネ(青と茶の配色)”をベースにしながらも、シューズは黒の表革を選択。引き締められた足元が、柔らかみのある色合わせを洗練されたスタイルに昇華する。
重厚感のあるグレーフランネルのダブルブレステッドスーツには、チェック柄のネクタイとシャンブレーシャツを。古き良きカントリースタイルを彷彿させつつも同時にモダンな印象を受けるのは、ディテールのバランスにまで配慮した賜物。
いまやスーツはビジネスウェアの範疇から外れた存在。逆転の発想で“洒落込むための最高の服”と捉えれば、以前であれば躊
躇していたはずのブラウンスーツにも自然と手が伸びるはず。必然、Vゾーンにも遊びを効かせたくなってくる。
ダブルブレストのネイビーブレザーやタブカラーシャツ、そしてブラウンのチェック柄のネクタイ。大人は懐かしく思う一方で、若者は新鮮に感じる。両者に共通するのは「自分らしく着こなしたい」というポジティブなマインド。
難易度が高い服ほど自分らしく着こなしたくなる。モノトーンのハウンドトゥースにライトブラウンのペーンを組み合わせた複雑味のあるジャケットを、どんなふうに着こなそう? そんな日々の思考がファッションを一層面白くする。
着心地が良いこと。肌触りが良いこと。そんなふうに、“肌で良いものを認識する”のは、とても大切なことだ。袖を通すたび、生地に触れるたびにその良さが実感できれば、自然と愛着も湧いて、長く大切に付き合いたくなるはずだから。
ドレスクロージングにしては珍しく長く続いた感じのある、ここ数シーズンのモノトーンブーム。停滞したトレンドからいち早く脱却するのもファッションの醍醐味だからこそ、新鮮味溢れるベリーのネクタイでVゾーンに華やかさを添えて。
ファッションを楽しむうえで根底にあったはずの、「着飾って外出をしたい」というモチベーション。普遍の色気を感じさせるブラウンのダブルブレステッドスーツが、久々にそんな“格好つけたくなる”気持ちを思い出させてくれる。
コーデュロイ、フェアアイル、タッターソール……。ときには、流行りの色柄や素材を目一杯採り入れてみる。ファッションとそれ以外の分水嶺を見極めながら要素を足し引きする工程が、いつか自分自身の新しいスタイルへと通じる轍となる。
Photo / Shunya Arai[Yard]
Styling / Akihiro Shikata
Hair & Make-up / Kenichi Yaguchi
Model / Fergal[Evviva]
Russell[Evviva]
Bruno[Cinq Deux Un]
Donovan[Bravo Models]
Martin[The Management]