NAKAMURA’S NOTEBOOK
この春は、軽やかな気分で。中村 達也のトレンド解説〜2025年春夏編〜
"MR_BEAMS"とは、ファッションをきちんと理解しながらも、
自分の価値観で服を選べる
"スタイルをもった人"のこと。
と同時に、決して独りよがりではなく、
周りのみんなからも「ステキですね」と思われる、
そのスタイルに"ポジティブなマインドがこもった人"のこと。
今回立ち上げたオウンドメディア#MR_BEAMSには、
私たちビームスが考える理想の大人の男性像と、
そんな理想の彼が着ているであろうステキな服、
そしてMR_BEAMSになるために必要な
洋服にまつわるポジティブな情報がギュッと詰め込まれています。
本メディアを通じて、服の魅力に触れていただいた皆様に、
ステキで明るい未来が訪れますように……。
NAKAMURA’S NOTEBOOK
中村達也が見据えるのは、ファッショントレンドというファンタジーでも、マーケティングというデータでもありません。
それは今の気分にマッチし、身につけることで自分自身を余すことなく表現できる、リアルクロージングなのです。
「ここ数年リラックス感のあるスタイルが注目されていますが、2024-25年秋冬もそれは継続しています。そんなリラックスした雰囲気を表現しやすいのが、柔軟かつ軽やかなニットウエアです。ドレス系のスタイルが好みの方でも採り入れやすいアイテムであり、今季らしいこなれたカジュアル感を比較的容易に演出できるという面でも注目されています。なかでもビームスがとくにお勧めしたいのが、ジップアップ、カーディガン、ケーブル編みという3つのニットウエアです」
「長らくスーツは新たな流れがなく、無地やグレンプレイドなどの定番ばかりが提案されてきましたが、ここにきてやっと新しい傾向が見られるようになってきました。それが昨年から見るようになったストライプスーツです。これまではタイドアップでクラシックに着ることの多かったストライプですが、今季はノータイにスカーフやタートルなどでスポーティに着こなす提案が新鮮。ゆえに紡毛系のワイドピッチストライプといった、ドレスダウンしやすいものが多くなっています」
「ビジネスシーンにおいてスーツやジャケットを着なくてもよくなった人が増えたことで、ドレススタイル全般でカジュアル化が進んでいます。結果ネクタイも世界的に需要が減っていますが、日本、とくにビームスのお客様にはネクタイ人気が根強く、毎シーズン注目度が高いです。大きなトレンドは無いですが、カラーだけは新鮮な色が提案されています。ティールブルーやテールグリーン、パープルなど、原色ではない中間色が多く、合わせやすい色が揃います。グレーベースのものも新鮮ですね」
「コートの傾向はここ数年、ラグランスリーブでゆったりしたシルエットのものが主流でした。ショートブルゾンの流れや暖冬の影響もあり、そろそろ軽快なコートが出てくるかなと思っていたのですが、その予想は見事に外れ(笑)、ゆったりめのオーバーコートが昨年より多くなっています。ラグランのバルカラーが最も多く、ツイードなどのカジュアルダウンしやすい素材が充実。スーツやジャケットに羽織るのもいいですが、ニットなどに合わせてカジュアルに着るのもお勧めですね」
コートには珍しい、大振りのブロックチェック生地を用いたベルテッドコートは、一枚でインパクトのある装いを演出。随所をモディファイドした別注モデルであり、ラペルのあるチェスター風のデザインでジャケット代わりにも羽織れます。
キャメルカラーのロロ・ピアーナ社製ダブルフェイスウールで仕立てたステンカラーコート。ふっくらとした軽量かつ柔らかな生地であり、一枚仕立てながらも保温性は抜群。適度にゆとりのあるリラックスしたシルエットも現代的です。
〈マッキントッシュ〉の人気バルカラーコート『バルフィールド』を今季らしいクラシックなガンクラブチェック生地で別注。オーセンティックな二枚袖のラグランスリーブやたっぷりとした着丈など、まさに旬の要素を満載したコートです。
「英国調というキーワードはかれこれ年ほどクラシックの分野では続いており、現在も根強く残っています。その影響が今季の温かみのある素材使いにも見て取れます。ただ、英国クラシックというと“変わらない”というイメージもありますが、実際には確実に変わっており、柄の配色や柔らかさ、軽量性などがアップデートされているのです。素材を載せるアイテムに関しても新鮮なものがあり、クラシックながらも全体的には軽やかな雰囲気となっています」
Herringbone
一見ツイードのヘリンボーン生地は、ミドルゲージのニット製。広めのショールカラーや構築的な肩まわり、サイドパネルを設けた立体的なボディなど、テーラードジャケットとしての見え方にこだわった別注モデルです。
Glen Plaid
アイルランドのモロイ&サンズ社による、本物のドネガルツイードで仕立てた新作ジャケット。厚手で着込むたび身体に馴染む着ごたえのある一着ですが、グリーンのペーンを重ねたグレンプレイドで重々しく見えません。
Heritage Plaid
ヘリテージテイストの大振りのガンクラブチェック生地は、ベージュベースにキャメルとグレーの配色でモダンさも薫るのが特徴。袖付けを前肩に補正し、日本人体型にフィットするアンコンモデル『コスタ アズッラ』です。
Corduroy
コットンベースのジャージを用いた、カーディガンのように快適なアンコンジャケットを提案し続ける〈チルコロ1901〉。光沢のあるモスグリーンの太畝コーデュロイジャージ製の新作は、非常にモダンな出来栄えです。
「近年の傾向として、トレンドアイテムが戻ってくるサイクルがとても早くなっています。かつてはリバイバルするのに年くらいかかりましたが、いまでは2~3年で戻ることも。ムートンのアウターはその典型です。ファー&ボアの温かみが求められての復活ですが、ワイルドからリッチ、ヘリテージからラグジュアリーまでと、幅広い雰囲気のアウターが揃うのが特徴。昨今の世相を鑑みた、フェイク素材のものも見られます」
「欧米のインフルエンサーたちが挙って採り入れていたのが、アイテムを重ね着したレイヤードスタイルです。おもにカジュアルにおいては、やや過剰なほどの重ね着も見られますが、それはやはり難易度が高いので、ビームスでは大人がやりすぎずに楽しめるスタイルで提案。いつものコーディネートにニットやベストなどプラス1アイテムを加えることで、今季らしいレイヤード感は十分演出できます。またプラスするアイテムも含め、全体を同系色でまとめると、上品に見せることができます。」
「コロナ禍の閉塞感から解放されて以降クラシックの色使いは全体的に明るめになってきました。なかでも今季はナチュラルカラーを打ち出すラグジュアリーファッションの影響が大きく、ホワイト、ライトグレー、キャメルという、互いに相性がいい上品なカラーがベースとなっています。そこに秋冬らしいブルーやグリーンのアイテムを差し色的に用いるのが、今季らしい色合わせといえるでしょう。色使いが暗くなりがちな秋冬だからこそ、明るく上品な色にトライしてみてください」
Light Blue
ライトなトーンながら落ち着きのある、絶妙な色調のブルーに別注したシャツジャケットは、ストレッチ性があり、ケアも容易なウルトラスエード(人工スエード)製。ゆったりめのシルエットで、ブルゾン感覚で羽織れます。
White
2023年に逝去したサヴィル・ロウの伝説的テーラー、エドワード・セクストンをオマージュした新作『エドワード』。上物をタックインした際に腰まわりが際立つ設計。尾州の低速織機で織ったオリジナルフランネル製です。
Green
製品染めによる独特のフェード感がリラックスした雰囲気を醸すクルーネックセーター。ウールカシミヤ製で肌触りも申し分なく、ビビットすぎない絶妙なグリーンにより、デイリーに活躍してくれるニットです。
Camel
リラックス感のある佇まいが今季らしいニットジャケット。袖と裾のリブをフラットに変更するなどのアレンジを加えた別注モデルであり、カーディガン感覚で気軽に羽織れるのが魅力です。秋口から春先まで活躍します。
Light Gray
明るめのトーンが新鮮なグレーパンツ。ストレッチコーデュロイを用いた製品染めであり、肌触りも滑らか。また、ウエストがグルカショーツのような共地ロングベルトを片側で留める仕様になっているのも特徴です。
「しばらく新しい流れがなかった巻き物ですが、今季久々に注目されているのがプリントのストールとスカーフです。1980~90年代に〈ビームスF〉が得意としていたアイテムであり、当時以来のリバイバル。シルク製の薄手のものが主流ですが、今季らしく見せるには首からジャケットのなかに垂らしてアクセントにするのがポイント。オーバーコートやコーデュロイジャケット、またはレイヤードスタイルなどの今季的な着こなしの総仕上げとしてご活用ください」
「クラシックでは5~6年前に流行したネイティブパターン。今季再び着用するインフルエンサーが増えていますが、ビームスでは80年代のフレンチアイビースタイルを彷彿させるアイテムとして提案します。当時のフレンチアイビーでは、ネイティブ柄のブランケットベストなどを採り入れる着こなしが提案されていましたが、当時を知らない若い世代にとっては新鮮に映るはずです。あくまで大人なフレンチのアクセントであり、ラギッドなアイテムと合わせてアメカジ風にならないようご注意を」
NAKAMURA’S NOTEBOOK
この春は、軽やかな気分で。中村 達也のトレンド解説〜2025年春夏編〜
NAKAMURA’S NOTEBOOK
今季のトレンドはぜんぶココに集約 中村達也的、春の10個の太鼓判
NAKAMURA’S NOTEBOOK
【後編】中村達也の2023-24秋冬トレンド解説 正しい装い、16のルール。