NAKAMURA’S NOTEBOOK
中村達也が考える 2024-25年秋冬の10の真実 Nakamura’s Notebook
"MR_BEAMS"とは、ファッションをきちんと理解しながらも、
自分の価値観で服を選べる
"スタイルをもった人"のこと。
と同時に、決して独りよがりではなく、
周りのみんなからも「ステキですね」と思われる、
そのスタイルに"ポジティブなマインドがこもった人"のこと。
今回立ち上げたオウンドメディア#MR_BEAMSには、
私たちビームスが考える理想の大人の男性像と、
そんな理想の彼が着ているであろうステキな服、
そしてMR_BEAMSになるために必要な
洋服にまつわるポジティブな情報がギュッと詰め込まれています。
本メディアを通じて、服の魅力に触れていただいた皆様に、
ステキで明るい未来が訪れますように……。
NAKAMURA’S NOTEBOOK
トレンドとは、日々移りゆく人々の気分が生み出すもの。そして人々の気分は、ファッション傾向だけでなく、社会情勢や生活環境などの変化にも影響されます。
中村達也の審美眼は、ファッションの機微を捉えるだけではありません。
ファッションよりも敏感で捉え所のない、人々の内面を見据えているのです。
「ここ数シーズン、これといったウールスーツのトレンドがない状況が続いていますが、そういったなかでもスーツ好きな方は新しいスーツを求めています。そこでこの春夏に注目を集めているのが、コットンやリネンを用いたスーツです。
タイドアップはもちろん、ポロシャツやTシャツ、ニットなど幅広いカジュアルアイテムと合わせやすいのがコットン&リネンスーツの利点といえます。またカジュアルダウンすればオフでも着やすく、着るだけでお洒落に見えるので、休日にも重宝するはずです。欧米では昔からリゾートウェアとしても歴史もあり、大人のリゾートスタイルにもいいですね」
「ここ数年、春夏の定番的なキーワードとなっている〝リゾート〟。そこから打ち出されているのがオープンカラーシャツです。ヨーロッパ、特にイタリアでは、春夏のカジュアルシャツといえばドッピオ ウーゾ(イタリアンカラー)やカプリシャツが主流でしたが、今季注目されている〝レトロ〟や〝ヴィンテージ〟といった傾向が加わったことで、開襟シャツが取り上げられるようになりました。無地はレトロ、柄物はリゾートの傾向が感じられますが、双方ともリラックス感を意識した着こなしが正解です。日本のドレススタイルにおいては80年代のデザイナーズブランド以来の久々の登場なので、新鮮な気分で楽しめるアイテムでしょう」
「すでに4〜5年続いていますが、いまだパンツ最大のトレンドなのがドローコードパンツです。特に今季は提案しているサプライヤーがこれまでで最も多く、ラインナップしていないところはないほど。元々は〝リラックス〟というキーワードから登場したアイテムですが、当初は細身が主流でした。それが徐々に太めなものも増え、現在では細めなスラックスタイプから太めのパジャマパンツまで、バリエーションも幅広くなりました。リラックスパンツの進化系ですが、裾をダブルで上げるなど、普通のパンツとして楽しんでいる方も日本にはいます。コットンやリネンなど、今季らしい素材のものがオススメですね」
「ドレスカジュアルなスタイルにおけるショーツも久々の登場で、前回の10年ぐらい前はジャケットに合わせる着こなしが流行りました。その後、クラシック回帰の流れとなってはかれなくなり、リラックス感が求められるようになったコロナ禍でもドローコードパンツに振れてしまった。リラックス感に加え、軽さが求められるようになった今季、ようやくショーツが戻ってきたのです。今季はデザインのバリエーションが豊富で、提案するサプライヤーも多いので、本格的な流れといえるでしょう。以前と違いカジュアルな着こなしが主流となるため、ジャケットではなくオーバーシャツなどを羽織りたいですね」
「現在、世界的に男性がネクタイをしなくなっているという状況がありますが、そういったなかでもビームスでは売り上げも安定しており、またサプライヤーも新しい提案を毎シーズン用意しています。なかでも私が気になったのが、スモーキーカラーの打ち出しです。クラシックからネオヴィンテージまで、さまざまなパターンのネクタイにスモーキーカラーが用いられています。ややくすんだトーンはビビッドなカラーよりもコーディネートしやすく、手持ちのシャツやスーツに合わせても新鮮な雰囲気が楽しめるはずです。コットンやリネンのスーツ&ジャケットなど、今季らしいアイテムとも相性抜群なので、ぜひトライしてみてください」
「日本に比べ、ヨーロッパは春夏でも昼夜の寒暖差が激しく、夜はニットや軽いアウターが不可欠です。ゆえに昔から需要があったのが、肌触りのいいサマーカシミヤとサマースエードでした。なかでも洗練されたカジュアルアイテムが求められる今季の傾向から、サマースエードが再注目されているのです。シャツジャケットからテーラードジャケットまでバリエーションが幅広く、どれも非常に薄く、軽く、柔軟でありながら耐久性があり、現代の高度なレザー加工技術の賜物ともいえます。ライトネス、洗練カジュアル、そしてリゾートという、今季の3つのキーワードすべてに合致した、一着は備えていただきたいトレンドアイテムです
「テーラードジャケットなどは長らく軽量なコンストラクションが定着していますが、軽さを求める傾向はますます高まっています。例えば春夏の定番であるシャツ生地のジャケットも、従来はしっかりとした生地が多かったのですが、シャツにしか使われなかった薄手のものまで使われるようになってきました。そのような傾向はブルゾンなどのアウターにも見て取れます。さらに素材や仕立てなどのつくりだけでなく、ライトカラーを用いるなど見た目的にも軽やかさが重視されるようになりました。時代のニーズとしてももちろんですが、軽量で薄手ながらも耐久性のある生地が、技術的につくれるようになったこともあるでしょう」
「クラシックの柄物はやはりストライプやチェックが定番であり、ここ数シーズンはそれらが主流でしたが、この春夏はプリントものが増えています。今シーズンは特に軽く柔らかい生地にプリントしたものが多く、リゾートの流れも手伝って多くのサプライヤーから提案されています。これまではボタニカルやハワイアン柄のシャツなどが代表的でしたが、今季はバティックやペイズリー、幾何学など柄のバリエーションが幅広く、色合いもアップデートされ、さまざまなアイテムで提案されているのが特徴といえます。装いに一点採り入れるだけでも今シーズンらしい印象になるので、ぜひトライしてみてください」
「欧州における大人の休日の足元といえば、近年までドライビングシューズなどのラテンな雰囲気のスリッポンが人気でした。それがここにきてミックステイストの流れもあり、80年代〜90年代にフランスやイタリアで流行していたデッキシューズが久々に注目されています。
先日イタリアの高級リゾート地フォルテ デイ マルミに行ったのですが、そこの高級靴店にも並んでいるほど本格的に復権しています。スペリーソールを用いた本格派のヨットデッキからスリッポンタイプまでバリエーションも豊富で、カジュアルはもちろんドレスのハズしにもうってつけです。素足で軽やかに履くのがオススメですね」
「プリントものに並び、2025年春夏に注目されている柄がストライプです。一昨年くらい前から徐々に増えてきたものが、ここにきて一層の広がりを見せている印象です。シャツやパンツなど比較的これまでも提案されてきたものに加え、ブルゾンやジャケット、スカーフなど様々なジャンルにストライプが用いられています。またシンプルな色使いのものから多色使いのマルチストライプ、細ピッチから太ピッチまで、ストライプのバリエーションに関しても多彩になっています。柄物のなかでは採り入れやすく、自分好みのアイテムも見つけやすいと思うので、一点でもワードローブに加えてみてほしいですね」
「この春夏は多彩なカラーのアイテムが揃っており、アイテムだけを見る限りでは色の組み合わせを楽しむのかと思っていました。しかしながら、サプライヤーの提案を見る限り、同系色で揃えたアイテムを組み合わせるトーン・オン・トーンの着こなしが主流でした。トーンが揃っていると上品に見え、またモダンで洗練された印象を与えるので、テーラードウェアを洗練させて見せたいときなどには非常に有効な着こなしです。全身揃えるのは難しくても、トップスのみ、あるいはインナーとパンツのみでも、トーン・オン・トーンにすると上品に見えるのでぜひお試しください」
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中村達也が考える 2024-25年秋冬の10の真実 Nakamura’s Notebook
NAKAMURA’S NOTEBOOK
今季のトレンドはぜんぶココに集約 中村達也的、春の10個の太鼓判
NAKAMURA’S NOTEBOOK
【後編】中村達也の2023-24秋冬トレンド解説 正しい装い、16のルール。