ELEMENTS OF STYLE | 中村達也ブログ
ダッフルコート
"MR_BEAMS"とは、ファッションをきちんと理解しながらも、
自分の価値観で服を選べる
"スタイルをもった人"のこと。
と同時に、決して独りよがりではなく、
周りのみんなからも「ステキですね」と思われる、
そのスタイルに"ポジティブなマインドがこもった人"のこと。
今回立ち上げたオウンドメディア#MR_BEAMSには、
私たちビームスが考える理想の大人の男性像と、
そんな理想の彼が着ているであろうステキな服、
そしてMR_BEAMSになるために必要な
洋服にまつわるポジティブな情報がギュッと詰め込まれています。
本メディアを通じて、服の魅力に触れていただいた皆様に、
ステキで明るい未来が訪れますように……。
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今回は前回に続きディスプレイ指導 ドレス編です。
セールだけでなく、新入荷のアイテムを使ったディスプレイも増えていますが、さっそく注意すべき点があったので色々アドバイスしています。
前回同様、皆様のコーディネートの参考になることも多いと思いますので、じっくり読んでいただけると嬉しいです。
ベージュのチェックジャケットにデニムのファイブポケットをあわせたディスプレイ。。
一見どこが悪いのかなと思う方も多いと思います。
私が指摘したのは、上と下でコーディネートのテイストがチグハグなこと。
上がイタリアっぽいテイストに対して下はアメリカっぽいテイストに見えます。
シャツはボタンダウンをあわせているので、イタリアっぽい感じに見えるのは、ネクタイの色柄がイタリアっぽいからです。
なので、「ネクタイをもう少しクラシックなテイストのものに変えた方がいい」とアドバイスをしました。
変更後はこんな感じに。
ベーシックな段落ちのストライプ(幅広のストライプ)がいいのでは、というアドバイスをしましたが、セール時期なのであうものがなく、このタイを選んだということ。
結果的には良くなっているので問題はありません。
むしろ私の言うとおりにするよりも、本人が考えて良くなる方が理想的です。
ネクタイの配色も似ていますが、まったく雰囲気が変わると思います。
ジャケットのタイドアップにファイブポケットのコーディネートは、合わせるアイテムや色柄を間違えると、とても野暮ったく見えるので注意が必要です。
今回はネクタイのチョイスだけが間違っていたという感じです。
実はPITTIの会場でもジャケットにドレスシャツにタイドアップで、ただファイブポケットを合わせただけというイタリア人が結構います。
さらに、それにスニーカーをあわせている人も結構多い・・・
ドレスダウンもミックスコーディネートも、ドレスとカジュアルの基本を理解したうえでやらないとおかしなことになります。
秋冬新入荷のLARDINIのグレンプレイドジャケットを使ったディスプレイ。
グレイシュなブラウンに明るいブルーのウィンドウペンなので、ジャケットのトーンにネクタイを合わせたのだと思いますが、Vゾーンが重くしずんでジャケットの柄もぼやけて見えます。
「もう少し明るめのネクタイを合わせた方が良いのでは」とアドバイスしました。
修正後はこんな感じになりました。
最初のVゾーンと比べると胸元が明るい印象になり、ジャケットの柄も引き立って見えると思います。
ちなみに、このディスプレイも同じパターンです。
最初の画像と同じ色づかいのVゾーンで、シャンブレーのシャツのトーンが濃いので、さらに重たく見えます。
このコーディネートもVゾーンを明るくした方が良いというアドバイスをしました。
ただし、上のディスプレイに比べると良い点もあります。
パンツが淡いトーンなので、ジャケットとパンツでメリハリがついていて、ジャケットが引き立って見えます。
なので、最初のディスプレイもパンツもワントーン薄いグレーにした方がジャケットが引き立つと思います。
二つのディスプレイは、色のメリハリにもう少し気をつけた方が良かったという感じです。
秋冬新入荷のDEPETRILLOのヘリンボーンジャケットを使ったディスプレイ。
ネクタイの色合わせも良く、パンツのトーンも良いので、全体的に見てもバランスの良いコーディネートだと思います。
細かいところですが、唯一気になったのがベルト。
厚い一枚革のオイルドレザーのベルトを着けていますが、これはジャケットコーディネートには合わないベルトなので、変更するようにアドバイスしました。
ジャケットコーディネートなので、スーツよりもベルトの選択肢は広がりますが、ここまでハードなものはこのコーディネートには向きません。
カジュアルな要素をドレスに取り入れる場合は、そのカジュアル度を考えて取り入れなければなりません。
ソラーロのスーツを使ったコーディネート。
ソラーロの生地は「ベージュとオレンジの玉虫なので、このネクタイのような寒色系のネクタイは合わない」とアドバイスをしました。
チーフもジャケットコーディネートに使うような派手な柄でスーツコーディネートにはミスマッチです。
変更後のコーディネートがこちらです。
シャツとチーフのチョイスは良いですが、ネクタイがソラーロのスーツにあわせる色柄ではないという印象です。
ソラーロは光沢があるので艶っぽく見えますが、もともとは英国のクラシックな生地なので、ネクタイは抑えめにクラシックな柄を選んだ方がエレガントに見えます。
色がベージュ系と言うこともあり、ベージュのコットンのスーツと同じような感覚でコーディネートしているディスプレイが他の店舗でも見られたので、今シーズン何度か同じようなアドバイスをしました。
ネイビーのワイドストライプのスーツにネイビーのドットタイというシンプルなコーディネート。
少し前のBEAMSのディスプレイだと、シャツをストライプやチェックにして柄を3つ使ったコーディネートが多かったのですが、柄を多用したコッテリしたスーツコーディネートは今の流れではないので、なるべく柄は二つまでに抑えるようにアドバイスしています。
シンプルで清潔感もあり良いコーディネートだと思うのですが、少しあっさりし過ぎて物足りない感じもするので、「シャツをタブカラーに変えて襟型に変化をつけてみては」というアドバイスをしました。
すると、下のような画像と担当者のコメントが届きました。
全身の画像で見るとホワイトシャツに見えましたが、実際はライトグレーにホワイト襟のクレリックでした。
タブカラーと同様にクレリックを合わせるのも、Vゾーンに少し変化をつける効果があります。
コーディネートがシンプルで少し物足りないと感じたときは、無理に柄物のシャツを合わせるのではなく、このようにクレリックやタブカラーなどで襟の表情に変化をつけると良いと思います。
このコーディネートも同じようなアドバイスをしました。
このディスプレイを作ったスタッフが英国調のスタイリングが好きなので、このような超シンプルなコーディネートになったと思われますが、実際の英国人はここまでシンプルではありません(笑)。
同じような英国調のコーディネートですが、こちらの方が私的には英国感を感じるコーディネートです。
ピンクのシャツに少し派手めなジャガードタイ。
90年代の英国調ブームの頃のようなコーディネートで今また新鮮な感じです。
担当者がそれを意識してコーディネートしたかわかりませんが、現在のBEAMSの店舗のディスプレイではほとんど見られないコーディネートです。
ジャガードのネクタイが戻ってきているので、ある意味先取り的なコーディネートとも言えます。
秋冬新入荷のLARDINIのスーツを使ったディスプレイ。
機能素材を使った所謂トラベルスーツ的なもので、ジャケットもパッチポケットでセットアップ感覚のスーツでもあります。
このコーディネートでアドバイスしたポイントは、ジャケットがパッチポケットでセットアップ感覚のスポーティーなスーツであるのに対して、Vゾーンがドレッシーに見えてミスマッチなところです。
最近このように、スーツやジャケットのテイストとVゾーンがチグハグなディスプレイが増えているので、その都度アドバイスするようにしています。
我々世代はアメリカン トラディショナル、ブリティッシュ、イタリアンクラシックと、様々な国のクラシックスタイルを経験して、それぞれに対するドレッシーとスポーティーの解釈を学んできましたが、今は40代中以降のスタッフでギリギリブリティッシュを経験しているかという感じなので、基本が曖昧になってきていると感じることがここ数年増えました。
それは私の課題でもあるので、改善して行こうと思っています。
無地のスーツを使ったシンプルなコーディネート。
スーツが無地なので、柄のシャツや大柄のネクタイをあわせたくなるところですが、クレリックのシャツと小柄のネクタイでシンプルにまとめています。
ビジネスマンの方にも参考になる良いコーディネートだと思います。
一点だけアドバイスしたのがチーフ。
特に左側のチーフはスーツスタイルに合わせるチーフではないですね。
最近チーフのチョイスが間違っているディスプレイが多く、アドバイスをする機会が増えました。
せっかく良いコーディネートなのに、最後のつめがあまいケースが最近多く見られます(苦笑)。
ドレスのディスプレイはビジネスマンの方が参考にされるケースも多いですが、全く参考にならないという厳しいご意見を頂くことが、ここ数年増えています。(前回のブログアップ後にもご意見いただきました・・・)
前回も書きましたが、店舗のディスプレイは客様がご覧になってコーディネートを真似してみたいと思っていただかなければ意味がありません。
ドレスと言っても、ビジネスシーンだけを想定してコーディネートを組んでいるわけではないですが、そうであったとしても、少なくとも「自分は会社でこんな格好できないけど、ドレスコードが許されるのであれば真似してみたい」と思っていただけるようなディスプレイでなければならないと思っています。
ドレススタイルにも流れや変化は必ずあります。
それをお伝えするのもBEAMSの役割だと思いますが、基本がなく応用ばかりが先に来てバランスが悪くなっているのではと感じています。
前回と今回のブログは自分の反省も踏まえて書きました。
”行き過ぎず、古臭くならず”
それが大事かなと思っています。
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