ELEMENTS OF STYLE | 中村達也ブログ
ダッフルコート
"MR_BEAMS"とは、ファッションをきちんと理解しながらも、
自分の価値観で服を選べる
"スタイルをもった人"のこと。
と同時に、決して独りよがりではなく、
周りのみんなからも「ステキですね」と思われる、
そのスタイルに"ポジティブなマインドがこもった人"のこと。
今回立ち上げたオウンドメディア#MR_BEAMSには、
私たちビームスが考える理想の大人の男性像と、
そんな理想の彼が着ているであろうステキな服、
そしてMR_BEAMSになるために必要な
洋服にまつわるポジティブな情報がギュッと詰め込まれています。
本メディアを通じて、服の魅力に触れていただいた皆様に、
ステキで明るい未来が訪れますように……。
ELEMENTS OF STYLE | 中村達也ブログ
例年は6月にPITTI UOMOが行われますが、今年はコロナ禍でPITTI史上初の開催中止。
ファッション業界の人たちはPITTIに向けて気合を入れてコーディネートの準備をする人たちが多いので、そういった人たちにとっては物足りない夏になっているのではないかと思います。
この10年くらいはスナップが流行り過ぎたこともあり、リアリティーのないスタイルの人たちが増え過ぎたので、少しクールダウンするいい機会なのかなと個人的には思っています。
そんなこともあり、今回はここ3年くらいのPITTIのスナップの中から、”盛り過ぎないスタイル” を選んでご紹介します。
名付けて ”盛らないコーディネート PITTI編” です。
オリーブグリーンのダブルブレストのコットンスーツにデニムのウエスタンシャツ。
コットンスーツにウエスタンシャツをあわせるコーディネートは自分もよくやりますが、こんな襟がワイドなサルトリアテイストのスーツにあわせてもいいですね。
靴もシンプルに黒のタッセルで、無理をしている感じが全くありません。
時計がゴールドなのが唯一盛っている部分かなと思いますが、それもシンプルなコーディネートの良いアクセントになっていると思います。
スナップの常連ではないですが、この人のコーディネートは個人的にいつも気にしています。
日本のファッション誌にも度々登場するALESSANDRO SCUARZI
アメリカっぽい赤とブルーのシアサッカーのシャツジャケットにペパーミントグリーンのスキッパー、ホワイトデニムにスエードのタッセルスリッポンという、色使いもシルエットもリラックス感のあるコーディネート。
チラッと見えるベルトのバックルが実はかなり特徴があるのですが、あえて悪目立ちしないようにポロの裾でうまくカバーしています。
盛った感じのないシンプルなコーディネートですが、色づかいに特徴があり、アメリカとイタリアのテイストがうまくミックスされて、いいさじ加減のコーディネートです。
日本人がするとイタリアっぽく振れるか、逆にアメリカっぽく振れてしまうので、こんないい塩梅のコーディネートは見習いたいところです。
トートバッグはACATEかな・・・
大人のリラックススタイルには、こんなトートがいいですね。
LARDINIのハンドメイド ラインのディレクター ANDREA ANDREOLI
正直イタリア人で着こなしがいいと思う人は少ないのですが、彼のスタイリングは前職のDREW&COの頃から好きで、私が着こなしを注目している数少ない一人です。
生成りのリネンジャケットにベージュ系のニットポロとパンツという、いわゆるニュートラルカラーのワントーンコーディネートですが、ニットポロの色目が少しピンクがかった絶妙なトーンなのがポイント。
シンプルなコーディネートですが、なかなかできない色づかいです。
自分ならパンツより少し濃いベージュかブラウンのポロをあわせると思うと、自分がいかに凡人なのかと思ってしまう色づかいです。
チーフはシンプルに白リネンで、挿し方にさりげないこだわりが感じられます。
これはイエローとホワイトでまとめたコーディネート。
身に着けるアイテムも特に変わったディティールやシルエットのモノをあわすわけでもなく、シンプルなコーディネートの中にセンスの良さが感じられるのが良いところ。
こういうシンプルで気の利いたコーディネートのイタリア人て本当に少ないです。
足元はALDENのタッセル。
この色を選ぶのもさすがです。
BEAMSでも展開している、ナポリのブランドTITO ALEGRETTOのディレクターTITO ALEGRETTO
上半身はホワイトでまとめ、淡いベージュのパンツをあわせたニュートラルカラーのコーディネート。
足元がレザーのサンダルなのは彼にとっては盛りではなくハズシですが、我々日本人には見慣れないので盛った感じにも見えます。
ちなみに、セットアップにレザーサンダルはPITTIの会場でもチラホラ見かけるので、イタリア人たちにとってはハズシ技のようです。
バッグもキャンバスで抜けた感じを出しています。
ホワイト~ベージュのワントーンコーディネートなので、グリーンのポケットチーフがいい感じで差し色になっています。
前出のスクアルツィ氏もアンドレオーリ氏もそうですが、昨今の夏のジャケットコーディネートは、リラックス感のある抜け感がコーディネートのポイントです。
PITTIのスナップでは撮られる側ばかりが注目されていますが、撮る側(フォトグラファー)もコーディネートにこだわった人が多いです。
カモフラのミリタリージャケットにベージュのチノパンという、このフォトグラファーもシンプルなコーディネートですが、細部にこだわりが感じられます。
ミリタリージャケットのサイズ感、古着と思われる2インプリーツのチノパンのサイズ感と丈感がとてもバランスが良く、その足元がVANSのデッキシューズというのもいいですね。
最初の画像はボルドーのTシャツ、3枚目は同じ色のリネンシャツと、シャツの色にはこだわりがありそうなのも気になります。
よく見ると時計や時計ベルトもこだわりがありそうです。
ここ数年、こんな感じのミリタリーテイストのコーディネートをした人をPITTIでも多く見かけるようになりましたが、妙に盛り過ぎてバランスがおかしい人が多いのも事実。
自分とは全くテイストの違うスタイルですが、こだわっていないように見えてこだわっているところも好きなコーディネートです。
BEAMS Fのアシスタントバイヤーの芹澤
ネイビーブレザーに白Tにチノパンという超シンプルコーディネート。
背が低い人でワイドパンツが似あっている人を見たことがほとんど無いですが、いいバランスで着こなしていると思います。
芹沢は学生時代バレーボールをやっていたので、上半身がしっかりしていて肩幅もあるので、ジャケットとパンツのつながりが良く、パンツの丈のバランスが良いのもポイントです。
Tシャツの適度なボリューム感もワイドパンツとの相性がいいです。
靴がアメリカっぽいモカシンというのもポイント。
これで普通のローファーやタッセルだと堅くなって逆に野暮ったく見えてしまいます。
このコーディネートも適度な抜け感がポイントです。
盛らないコーディネートは色々な部分でサイズ感やバランスが大事です。
長く伸びた髭が個性的で顔を見ただけで充分盛った感がありますが、顔と赤いネッカチーフを除けば白とブルーのシンプルなコーディネート。
白ジャケットに白ネイビーのボーダーT、パンツはデニムのグルカと個人的にも好きなコーディネートです。
サイズ感も適度なゆとりでトレンドに振り過ぎていないのも良いところ。
アメリカっぽいレトロなスニーカーをあわせているのもいいですね。
自分も同じようなアイテムを持っているので、真似してみようかなと思わせるコーディネートです。
実はボーダーTを上手く着こなしている外人さんをPITTIで見かけることはほとんどありません。
ちょっと日本人的な感覚のコーディネートかなと思います。
デニムのグルカパンツがいいですね。
来年BEAMSで展開しようかな・・・
イタリアのブレーシアの伝説的なセレクトショップ、ADRIANO&SONSのオーナーだった、ADRIANO FRANCASSI
稀代のウェルドレッサーと言われた彼も70歳を超えました。
白い貝ボタンのネイビージャケットに白のワンピースカラーのシャツ、ピンクのパンツと、2000年代前半頃の王道的なイタリアンクラシックのカジュアルスタイルなので、彼くらいの年齢の人がするととてもサマになります。
足元は、この世代の人達だとスペルガというパターンになりがちですが、トップサイダーのデッキシューズをあわせるのは彼がアメリカのテイストをよく理解しているからだと思います。
彼がオーナーだったアドリアーノ&サンズは、イタリアで初めてラルフローレンを取り入れた店としても有名です。
私が10数年前に彼を注目するようになったのも、日本の某誌で取り上げられたスタイルが、当時のイタリア人とは明らかに違うアメリカの雰囲気を感じさせるコーディネートだったからです。
最近見なくなったカラーパンツ、さすがにピンクは穿けないですが、明るいブルーやグリーンならこんな風にあわせてもいいかなと思わせるコーディネートです。
西口のシンプルなモノトーン コーディネート。
シャツはブラックデニムのウェスタンで、パンツもブラックデニムのリーバイスですが、パンツが少し色落ちしているので、微妙にブラックのトーンがずれているのがポイントですね。
シンプルなモノトーンコーディネートですが、これでパンツがシャツと同じトーンだと野暮ったく見えます。
まあ、西口なのでその辺は計算済みでしょうね(笑)。
足元がブラックスエードのウェスタンブーツは盛るというより捻りですね。
首元のブラックのバンダナだけ少し盛ったかなという感じですが、これが無くても充分スナップされるモノトーンコーディネートだと思います。
細部に気を使ったコーディネートなので、盛るより難しいコーディネートかもしれません。
スナップブームが起きてからスナップを撮られるためのコーディネートをする人が増え、シンプルで気の利いたコーディネートの人が少なくなり、PITTIの会場はなんだか盛り盛りのおかしな格好をした人が増えたなというのが正直な印象です。
撮る側にとっても盛ったスタイルはわかりやすく絵になりやすいので、そうなってしまうのも仕方ないですが、そういう意味では昨今のPITTI SNAPは撮る側と撮られる側のかけ引きなのかなと思います。
実は、ここ数年でPITTIに来なくなったフォトグラファーも増えています。
お祭り騒ぎのようなPITTI SNAPに嫌気がさしたようですが、自分が見ても数年前と比べてフォトグラファーの数は確実に減っています。
6月のPITTIが中止となり、1月も微妙な感じの中、スナップの在り方も少し変わってくのかなと思っています。
ということで、私もこれまでと同様に流れはお伝えしつつ、読者の皆さんが取り入れやすい、リアリティーのある盛らないコーディネートを色々なかたちでお伝えして行ければと思っています。
”行き過ぎず、古臭くならず”
やはり、そこがポイントかなと思っています。
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