2025_26 AUTUMN WINTER VOL.12
〈ブリッラペルイルグスト〉が提案する2025-26AWスタイル -温もりという優しさに包まれたなら-
"MR_BEAMS"とは、ファッションをきちんと理解しながらも、
自分の価値観で服を選べる
"スタイルをもった人"のこと。
と同時に、決して独りよがりではなく、
周りのみんなからも「ステキですね」と思われる、
そのスタイルに"ポジティブなマインドがこもった人"のこと。
今回立ち上げたオウンドメディア#MR_BEAMSには、
私たちビームスが考える理想の大人の男性像と、
そんな理想の彼が着ているであろうステキな服、
そしてMR_BEAMSになるために必要な
洋服にまつわるポジティブな情報がギュッと詰め込まれています。
本メディアを通じて、服の魅力に触れていただいた皆様に、
ステキで明るい未来が訪れますように……。
2025_26 AUTUMN WINTER VOL.12
ファッションとは常に移り変わっていくもの。インターネットの登場や流通網の発展により、近年そのサイクルは一層早まりました。
そんな変化の時代にあって普遍的魅力を放つのが、かつて活躍したスタイルアイコンたちです。
ビームス随一の洒落者である中島信司が、時代を超越した彼らのファッションを紐解きます。
「昔は一般的にお洒落と思われてなかったウディ・アレンですが、最近は絶妙な抜け感が業界内でも再評価されています。コーデュロイスーツにツイードコートで重厚感がありますが、ウエスタンシャツとチェック柄マフラーでアメリカ的な抜け感を演出しました。“ニューヨークトラッド”ともいえるスタイルですね」
「明るいベージュのスーツを着ているのが、私のマストロヤンニのイメージ。ブラックのマフラーとシューズを加え、フェリーニの映画『8 1/2』に通じるモダンさを演出しました。ベージュ、ブラウン、ブラックの色合わせは、キュビズムの画家フェルナン・レジェの作品も意識しています。このような配色の絵が多く、カッコいいんです」
「芸術家としての感覚がファッションにも表れているのがホックニー。ソックスの色を左右で変えるなど、自由なファッションに惹かれますが、サヴィル・ローに出入りしていたらしく、トラディショナルがベースにあるため奇抜で終わらない。ペイントデニムでアーティストっぽさを、またノーカラージャケットでモダンさも表現しました」
「ゴダールやトリュフォー作品の常連だった、フランスの俳優ジャン=ピエール・レオをイメージしたスタイリング。オフホワイトのコートとベージュシャツに、鮮やかなブロックチェックのタイで差し色とアクセントを利かせた、60年代のパリジャンにも通じる組み合わせです。ゆったりとしたバルカラーコートも優雅なパリの雰囲気を醸します」
「レイヤードが昨今はキーワードになっていますが、1960年代から実践していたのがアンディ・ウォーホル。ダブルブレストのジャケットにダブルのライダースをレイヤードした彼の着こなしを表現しました。ロックやアートのアンダーグラウンドな人々との交流を彷彿させます。全体をモノトーンで揃えれば、難しくないスタイリングです」
「〈アルニス〉や〈シャルベ〉など、パリの名店の顧客だったフィリップ・ノワレ。ハンティングジャケットなども愛用していたことから、フランスの伝統的なアウトドアジャケットをメインに据えてみました。鮮やかなシャツで色味を利かせ、スカーフで艶っぽさを醸し出すのもノワレ流です。こんな装いで狩りに出かけていたのではと想像します」
抜け感のある独特の着こなしが、ビームス社内でも一目置かれている中島。ビームス随一の映画好きでもある、そんな中島の着こなしに多大な影響を与えてきたのが、洒落者として知られる映画俳優や芸術家などのスタイルアイコンたちです。なかでも特に中島が注目してきたのが、現在ではなく過去に活躍していた往年のアイコンたち。彼らの着こなしには、現在のセレブリティとは一線を画す、時代を超越した魅力があると、中島は言います。
「1960〜80年代くらいの映画や著名人の記録写真には、今でも魅了されるスタイルアイコンの着こなしが数多く存在します。あらためて観なおしても、新たな発見があったりして楽しめるんです。彼らはそれぞれが独自のスタイルをもっており、時代を超えて人々の記憶に残ります。そして現代にも刺激やインスピレーションを与えてくれる、永遠のお手本なのです」
スタイルアイコンたちの魅力をこのように語る中島。時代を経ても色褪せない彼らの魅力は、末長く愛せる品揃えと服づくりを目指すビームスにとっても、絶好のお手本といえるでしょう。ただし、そんなアイコンたちのスタイルを現代に愉しむには、ひと工夫することが重要なのだそう。
「スタイルアイコンの着こなしは、やはり現代的にアレンジすることが必要です。私はその際、"この人が今生きていたら、こんな着こなしをするかもしれない"というふうに、想像力を働かせるようにしています。現在のファッションの流れを感じながら、かつてのスタイルアイコンたちがどうアレンジするかを想像するのは、私にとっては面白い作業でもあるんです。
それと周囲に"〇〇のマネ"と悟られるとやはり恥ずかしいので、なるべくそのままに見えないように心掛けています。ただし私の場合は、朝に家を出る際、妻から"今日は〇〇だね"とバレてしまっていることも多々あるんですけどね(笑)」
新しい装いを生み出すのに、想像力は何よりも大切な要素。スタイルアイコンたちが現代に投げかけるイマジネーションは、中島のインスピレーションを刺激し、クリエイションの源となっているのです。
「最近、クローゼットの奥に眠っている服を引っ張り出し、ワードローブに復活させることに喜びを感じています。洋服の仕事を40年近くやっていると、いつかまた着るだろうと思いつつ、タンスの肥やしとなっている服が結構あり、それらを今どうやってコーディネートしたら新鮮な感覚で身につけられるのかを、よく考えるのです。そんなときに役立つのが、古い映画や記録写真です。なかでもスタイルアイコンたちの姿は、何度も観た映画や写真でも、あらためてインスパイアされるものがあります。そして新たな発見やファッションの醍醐味とともに、いつも気分を盛り上げてくれるのです」
時を経てもなお観る者を魅了し、刺激すら与えてくれるスタイルアイコンたちの装い。それは変化の時代を生きる私たちに、時代を超えた普遍的な格好良さがあるということを示し、いつの時代も憧れを抱かせる存在に他ならないのです
中島信司 Shinji Nakajima
中島信司 Shinji Nakajima
1966 年東京生まれ。「ビームス渋谷」にアルバイト として入店し、社員となったのちに「ビームスF」へ異 動。約10年間店長を務め、2004年よりメンズドレ スクロージング部門では社内初となるヴィジュアルマー チャンダイザーに就任。現在メンズドレス全店のウィ ンドウディスプレイやマネキンのコーディネートなど を統括。趣味はサーフィンと映画、そして愛犬との散歩。
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