
牛乳石鹸のひみつ | Vol.1
教えて牛乳石鹸のこと! 工場ツアー編
Featuring

牛乳石鹸
(ぎゅうにゅうせっけん)
1909年に大阪で誕生した「牛乳石鹸共進社」は、常に良質な石鹸を作ることを心がけ、時代とともに進化。当時からロングセラーを続ける「赤箱」と「青箱」は特に有名で、2016年にはグッドデザイン賞を受賞。時代ごとにリニューアルされるパッケージデザインからは、当時の時代背景を感じることもできる。ひとつの石鹸が完成するまでは約1週間。あえて手間のかかる“釜だき製法(けん化塩析法)”で作る理由は、保湿感が高く、肌あたりのやさしい石鹸に仕上がるから。こだわりがたっぷり詰まった老舗メーカーは古くからのファンも多数!
ウェブサイト https://www.cow-soap.co.jp
YouTube 「360度工場見学動画」

01 Factory Tour
大阪に本社を構える牛乳石鹸。1963年に誕生した安田工場は、当時東洋一の化粧石鹸マンモス工場としても有名に。その大きさは甲子園球場の約1.2倍! 工場では200名以上が働いており、20代以下は30%近く。若いスタッフも活躍する現場を覗いてきました!

製造部長の小泉さん。入社して34年のベテラン。
STEP 1
どうやって作られているの?
工場内には大きな釜が11基もあり、1基につき約25万個の石鹸を作ることが可能。天然油脂を原料とし、香料を含むその他の配合物は時代の移り変わりとともに微調整を行なっているそう。産業廃棄物の削減や再生可能エネルギーの活用など、SDGsへの取り組みにも真剣!

たくさんの工程を経て完成する石鹸。完成するまでには約1週間もかかる。

石鹸ができるまでの工程が知りたい!
けん化、乾燥、混合、成型、そして包装。石鹸の完成には大きく分けて5つの行程がある。特に気を遣うのは、けん化行程で、熱のかけ方、攪拌条件、原料の添加スピードなどを状況により判断して対応。外気温などの諸条件で反応速度や収率が変化するからだ。約1週間もかかる昔ながらの釜だき製法を守っている。
「釜だき製法」ってどんな製法?
あえて手間暇のかかる「釜だき製法」を取り入れている牛乳石鹸。その訳は、「釜だき製法」により、天然油脂の中から天然うるおい成分が生まれ、保湿感の高い石鹸を作ることができるから。天然のうるおい成分が程よく含まれることにより、肌あたりのやさしい石鹸に仕上がるのだ。
こだわりの釜だき製法により、固定石鹸の元になる良質なニートソープを製造。牛脂とヤシ油に水と水酸化ナトリウムを加え反応させると、液面がクリーミーに。反応熱により湯気も立ち上がる。食塩水を加えて2度塩折することで純度の高い良質な石鹸ができる。

石鹸作りへのこだわりを熱く語るのは、けん化場の責任者である宮崎武志さん。実は工場の扉にあるウシの絵を描いたのも、宮崎さんなのである。


STEP 2
どうやって形にしていくんだろう?
釜で出来上がったニートソープは真空乾燥機の中で急速に乾燥させて、石鹸チップに。その後、配合工程へと進む。それぞれの行程は専門のスタッフが担当。何十年も技術を積んだ匠たちによる細かな調整でお肌にやさしい石鹸が作られていく。

香りや洗い上がりを決める混合工程って?
良質なニートソープを乾燥させて出来上がった石鹸チップに、各製品の香料や添加物を配合し、ミキサーで入念に混ぜ合わせていく。しっとりとした洗い上がりが特徴の赤箱には、ローズ調の香りやバターオイル、スクワランを混合。青箱はジャスミン調の香りなどが加えられる。

香料などの量は機械により自動化。いつでも変わらない石鹸が完成するのだ。

原料へのこだわりを教えて!
牛乳石鹸の魅力は、天然油脂を使用していること! 牛脂とヤシ油が主な原料で、あとは香料やうるおい成分を加えるだけ。昔から変わらず続くシンプルな作りだから、お肌にも負担が少ないはず!

工程を真剣に眺めるbb部員。作り方を学ぶことで、製品への愛は一層深まる!
成型工程にはどんなひみつが?
香料などを配合した石鹸生地をリファイナー(混練機)に入れて均一に練り上げ、再びチップ状に。この作業を3回繰り返したのち、プロッダー(押出機)で棒状に押し出していく。これにより素地がよく練られ、割れにくい石鹸が出来上がるのだそう。
その後は、石鹸バーを石鹸の金型に挟んで石鹸の形に成型。金型はマイナス15℃〜20℃に冷やされているから、型離れも◎。

人の手で曲げられるほど柔らかい石鹸バーが次々と石鹸の形に。


STEP 3
石鹸を包装して、ついにお客様の元へ!
型打ちされた石鹸に汚れやゴミが付着してないことを確認したら、ピロー包装の工程へ。石鹸を袋に包んだ後は1個サック箱に封入し、6個箱に挿入する。

包装工程はどのようにして行われるの?
写真は6個入りの包装過程。1個サック箱の石鹸を機械を使って6個箱に詰めていく。出来上がった製品は機械でダンボールに収納。6個箱が24個入る大きさで、そのまま全国へ出荷される。
環境への取り組みにも力を入れてるってほんと?
2013年竣工より大阪ガスと共同で開発した「甘水エコロジープラント」を用いて、石鹸のけん化工程で排出される廃液(甘水)を下水放流可能な水質にするとともに、バイオガスを生成。ボイラの燃料として有効活用している。二酸化炭素の排出量削減のため、鉄道貨物輸送を積極的に利用しているのも特徴。包装では脱プラや減プラの取り組みを続ける。

昔ながらの「釜だき製法」と最新の機械のコンビネーションで、良質な石鹸を素早く全国へ。


02 Red or Blue?
しっとりとした洗い上がりとクリーミーな泡立ちが特徴の「赤箱」。そしてさっぱりとした洗い上がりとソフトな泡立ちの「青箱」。牛乳石鹸を代表する2大スターは、肌質やその人の好みによって使い分けられるのが魅力! あなたはどっち派? 工場で働く皆さんに推しを伺いました。

小泉さん(34年目)
「断然、赤箱派!」

宮崎さん(28年目)
「何だかんだで、私は赤箱派!」

森さん(32年目)
「昔から変わらず、赤箱派!」

杉山さん(2年目)
「僕はさっぱりした青箱派!」

木村さん(12年目)
「私はしっとり系の赤箱派!」

松坂さん(20年目)
「ズバリ、私は赤箱派!」
キャッチーな牛のマークで知られる「牛乳石鹸」は、今年で創業110年を超える老舗メーカー。なかでも「赤箱」と「青箱」は、当時から変わらない“釜だき製法(けん化塩析法)”を取り入れ、手間と時間をかけて作られている。目にするだけでほっこりするデザインに興味津々だけど、どうせならこのブランドのことを全部知りたい! そう思ったbb部の堀と島田は本社がある大阪へ。工場見学をしながら、石鹸作りへの熱い愛を感じて参りました。