Better Circulation, Better Body

漢方から学ぶ、身体の巡り

健康や美容にまつわるトークのなかでよく耳にする「巡り(めぐり)」という言葉。「巡りのよい身体がいい」とはいうけれど、それってどんな状態なんだろう? どうしたらいい状態になるんだろう? その答えは「漢方」の考え方にありました。知っているようで知らなかった、奥深い漢方の世界をプロフェッショナルに教わりながら、身体を整えるためのヒントを探ります。

Featuring

LAOSI

(漢方薬店)

代々木公園にほど近い、東京・渋谷区神山町にある漢方薬店。「漢方は統計の医学である」「より現代的に、シンプルに。分かり易く伝え、生活に取り入れてもらう」をコンセプトに掲げ、漢方入門者にもわかりやすいセレクトとディスプレイ、そして漢方薬剤師の松浦尚子さんによるカウンセリングで、頑張りすぎずに日々に取り入れやすい漢方を提案する。

東京都渋谷区神山町42−9 @laosi.ph , WEB

薬日本堂

(カンポウブティック)

1969年に創業した漢方専門店。「一に養生、二に漢方」を掲げ、漢方薬、健康・美容サポート品、養生法など、日々の暮らしでできる健康づくりを提案する。今回訪れた東京・表参道にある「ニホンドウ漢方ブティック 薬日本堂 青山本店」は、漢方相談はもちろん、漢方を見て学ぶことができるギャラリーも併設。地下1階には薬日本堂が監修する薬膳レストランもあり、五感で漢方を体験することができる。

東京都港区南青山5丁目10-19 青山真洋ビル1・2F B1F @kusurinihondo , WEB

CONTENTS


01 漢方入門
そもそも、漢方って?

02 LAOSI
街の保健室的存在

03 薬日本堂
トータル漢方ケア基地


 

01 漢方入門

そもそも、漢方って?

「漢方」という言葉は、実は日本で生まれて、日本だけで通じる表現なんです。東洋医学の一つですが、日本独自に発展して、日本人の体質や風土に合わせて形づくられてきました。奈良時代に古代中国(漢)から日本に伝わり、その後江戸時代にオランダから伝わった西洋医学「蘭方」と区別するために「漢方」と呼ばれるように。

漢方は、身の回りのあらゆるものを素材として用いています。近いものにハーブがありますが、花や葉など植物由来の素材を使うハーブに対して、植物・鉱物・動物といった世の中にあるあらゆる素材を組み合わせたものが漢方。植物だけでなく、石や虫、化石、そして牛の胆石や角、鹿の角、亀の甲羅、カエルの分泌物なども用いられています。そして、単一の成分ではなく、複数の生薬を組み合わせて処方することも、漢方の特徴の一つ。多いものでは20種類以上の生薬が一つの処方に含まれていて、それぞれが少しずつ力を発揮し合いながら、組み合わせによって新たな薬効を生み出しています。

身体の不調は、一つの原因だけで起こるものではなく、全体のバランスが崩れることで現れるもの。「なぜその状態に至ったのか」という背景に目を向けて、原因となるバランスの乱れ全体に働きかけていくことが、漢方の考え方です。

鹿の角や亀の甲羅、牛の胆石まで! 漢方薬局でしか処方できないという動物性生薬の一部。即効性があり、滋養強壮効果が高いものが多いのだそう。

01
Kampo Basics

東洋医学の基礎「気・血・水」について知る

キーワードは、「気・血・水」!

東洋医学における健康の基本的な考え方に、「気・血・水(き・けつ・すい)」という言葉があり、人の身体は、この3つの要素で成り立っていると考えられています。

車に例えると分かりやすく、「気」は身体を動かすためのエネルギーのことで、いろいろなものを巡らせたり、外に出したりする原動力となるエンジンのような役割。「血」はいわゆる血液だけでなく、血液に乗って運ばれる酸素や栄養など、身体を養うために必要なもの全体を指し、「気」とセットで働き、一緒に身体の中を巡っているガソリンのような役割。そして「水」は、リンパ液や汗、尿など血液以外の体内の液体すべてを指し、身体のうるいおいを保ち、不要な熱を外へ逃がすことで体温調整を行う、ラジエーターのような役割。粘膜を潤すことで、ウイルスや花粉など外からの侵入を防ぐバリアの役割も担っています。

肌や目、喉、鼻の粘膜がしっかり潤っている状態は、免疫力が高い状態といえます。この「気・血・水」3つの要素が十分に作られて、体内を巡り、不要なものがきちんと排出されているということが「身体の巡りがよい」ということ。つまりそれが、健康な状態なんです。

「気・血・水」が体内で十分に作られ、巡ることが、健康の大前提です!

02
Well or not?

不調が起こるのは胃腸のせい?

胃腸を元気にするために、できること

「気・血・水」は、胃腸の状態によって大きく左右されます。私たちの身体は、食べたものからこれらを作り出していて、その土台となるのが消化器である胃腸です。

血やエネルギーが不足したまま無理に巡らせようとすると、かえって疲れやすくなってしまいます。だからこそ大切なのは、日々の食事で胃腸を整えること、そしてしっかり噛んで食べること。忙しさから噛まずにさっと食べられるものを選んだり、水やお茶で流し込みながら食べる人も多いのではないでしょうか。そのような食生活は、知らないうちに胃腸へ負担をかけているんです。また、小麦類は消化に時間がかかるので、パンや麺類などの食事が続くと、胃腸は休むことなく働き続け、睡眠の質にも影響します。冷たいものや生ものも負担になりやすいので、常温や温かいもの、火を通した食事を意識することが大切です。

完璧な食生活を目指す必要はなく、パンをおにぎりに変えたり、インスタントでもよいので、お弁当には味噌汁を添えるといった小さな積み重ねが効果的です。特に味噌はとても優秀で、腸内環境を整えながら一緒に食べるものの消化も助けてくれます。ただ、大豆そのものは意外と消化が難しいものもあって。例えば、発酵食品としては優れている納豆は、あまり噛まずに食べてしまいがちなので、胃腸に負担がかかる場合も。だから、1日1杯の味噌汁をおすすめしています。

さらに、胃腸は自律神経とも関係が深いので、リラックスする時間を持つことも大切。胃腸の状態を見極める一つの目安として分かりやすいのが、「食後の眠気」です。食後に強い眠気やだるさを感じる場合、それは消化に負担がかかっているサインなので、無理のない食事量、いわゆる「腹八分目」に抑えるよう心掛ける。まずは生活習慣を整え、そのなかでどうしてもコントロールできない場合に漢方を取り入れるという考え方が大切なんです。

03
To nurture your body

季節と養生について

季節の移ろいに合わせて生きる

漢方では、万物を「陰」と「陽」のバランスと、「木」「火」「土」「金」「水」という5つのエレメントが相互に助け合ったり抑制したりする「陰陽五行説」の思想に基づき、そこに「気血水」を動かす身体の「五臓(肝・心・脾・肺・腎)」を関連づけて治療や養生をおこなっています。

例えば、「旬のものを食べる」こともその一つ。自然界と調和して生まれた旬のものは、植物や動物が生きていくための薬のような存在で、とても理にかなっているんです。最近では季節を問わず手に入る食材も増えましたが、自然界においてそんなことはありえません。だから人間も、季節や自然の流れに沿って食べたり、過ごしたりすることが、健やかに生きる方法だと東洋医学では考えられています。

「陰陽五行説」の考え方を図式化したシートを見ながら丁寧に説明していただきます。

知れば知るほど、日々の暮らしが大切なんですね!

まずは自分自身の生活と向き合いましょう!

02 LAOSI

保健室のように、気軽くやさしい漢方薬局

入り口にゆらめく大きなのれんをくぐると現れる、広々とした空間と壁一面のディスプレイ棚。そこには漢方薬だけでなく、お茶や調味料、スキンケアアイテムなどさまざまなアイテムが並び、薬局というよりもセレクトショップのような印象を受ける「LAOSI」。中央の大きなテーブルでは、管理薬剤師の松浦尚子さんによるカウンセリングやお茶の試飲などもできます。「より現代的に、シンプルに。分かり易く伝え、生活に取り入れてもらう」をコンセプトのもと、保健室のように気軽に身体の悩み相談ができる店づくりにこだわっています。

まずは体調に関するチェックシートに記入をして、カウンセリングがスタート。

処方よりも、まずは食生活の改善を!

日頃から美容や健康への意識が高く、ビタミンやコラーゲンなど常時7種類ほどのサプリを摂っているという上田さん。チェックシートには手足の冷えや、朝の胃もたれ、顔のむくみといった悩みを記入し、その後舌の状態をチェックしたところ舌がまっしろ。これは、エネルギー不足かつ血の巡りも悪い「気虚・血虚」という診断だそう。

「顔がむくむのは肺や胃腸の機能が落ちている証拠。自律神経がやや乱れていて、夜にちゃんと胃腸の消化がおこなわれていないので朝胃もたれがしているのだと思います。まずはこの胃腸を立て直さないと、サプリが吸収できずもったいないですね」と松浦さん。また、普段1.5〜2リットルの水を意識的に飲んでいても、上田さんのようにあまり汗をかかない人にとっては体内に水分が吸収されずうるおいが欠如し、トイレに行く回数が増えるだけで腎臓に負担がかかるので逆効果とのこと。そして診断の結果、今回は漢方の処方はまさかの「なし」! まずは食生活の改善を優先し、巡りのよい身体を目指すことを提案されました。

生活習慣や悩みを伝えながら診断を受け、改善策を探ります。

巡りにはエネルギーが必要なんですね......!

今の状態を「陰陽五行説」の考えにあてはめて具体的なアドバイスへ。

辛いものや酸っぱいもの、甘いものなどの嗜好は、なんと自分で自分の身体を無意識に治そうとするサイン。「辛いものが好き」という上田さんは、胃腸の疲れから肺の機能が落ちているからなのだそう。東洋医学でいう肺は、呼吸器だけでなく「気・水・肌・免疫」を司り身体を潤わせる臓器。その肺の機能を高めるために、陰陽五行説に基づいた食事のアドバイスとして、「体内にうるおいを与える白いもの」が挙げられました。具体的には大根や豆腐、レンコン、カブ、キノコなどがよい食材とされています。

あとは呼吸。吸うときに交感神経、吐くときに副交感神経が有意になるので、上田さんの場合は吐く呼吸を意識するとよいとのこと。胃腸にいい食べ物は「黄色で甘いもの」。イモ類やカボチャ、トウモロコシなどです。米もここに含まれますが、玄米は非常に消化が悪いので、白米に少し入れたり、酵素玄米やおかゆにするなどの工夫が必要です。

人間の身体はめちゃくちゃ優秀! 自分で治す力がもとから備わっているんです。

入浴剤やドリンク、ミールキットなど漢方初心者でも手軽に取り入れやすいラインナップがズラリ。

良質な食材と調味料でサプリ要らずの身体に

漢方の処方の代わりに、「LAOSI」で取り扱うおすすめ商品を紹介してもらいました。なかでも注目は、発酵食品のベースとなり消化を助ける効果が高い麹を使った食品類。米麹で作ったドリンクや発酵ライスミルク、さまざまな料理に使える酒粕パウダーなど、手軽に美味しく取り入れられるのもうれしいポイント。そしてサプリは摂らない松浦さんが「唯一摂って欲しいサプリ」と言っているのが“良質な天然塩”。

「海水からつくられた天然塩には、身体に必要なミネラルがしっかり含まれています。現代の日本人はミネラルが不足しがちな傾向にあるといわれていますが、減塩が強調されていることもあり、塩そのものを避けがちです。塩をとると血圧が上がる、とよく言われるのは主に精製された塩の影響です。精製塩はミネラルが取り除かれており、身体への作用も異なります。逆に、精製されていない天然塩はミネラルを含むため、身体のバランスを整え、結果的に血圧の調整にもつながると考えられています。冷えの原因の一つもミネラル不足。天然塩などからしっかりミネラルを補うことで、冷えの改善にもつながっていきます」。

そして、自分が暮らす土地の近くで作られた塩を選ぶのがいいと松浦さんは言います。「私は北海道出身で、それまではずっと北海道の塩を使っていたのですが、東京に住むようになってから北海道の塩を摂ったとき、身体が熱くなる感じがしたんです。逆に沖縄の塩は身体を冷やすというように、同じ塩でも味や効果がいろいろあります。東京でも天然塩を作っているところがありますし、塩だけでなく野菜なども、身近な土地で採れたものが、一番自分の身体に合うのかなと思っています」

まさに目からウロコの情報ばかり!

今回LAOSIで上田さんが選んだ商品。身体の内側、外側両方からの効果が期待できそうです。

(左上から時計回り)石川県・金沢の酒造「福光屋」の純米酒の酒粕をフリーズドライにしたパウダー。完全無添加で下味や隠し味、お菓子作りなどあらゆる料理に活用できます。純米酒粕パウダー¥486(80g) スキンケアブランド〈GOLEM(ゴーレム)〉の中でも最も水分を保持する力が高いイエロークレイ。天然の保湿剤であるマグネシウムも豊富。Australian Yellow Clay¥999(40g)国内で大切に育てられた、トレーサビリティが明らかな原料のみを使用したサムゲタンキット。手羽元と塩、ニンニク(お好み)を加えるだけで自宅で簡単に楽しめます。国産だけの巡る参鶏湯¥2,580(3-4人分)肺を潤し、腸内環境を整える白キクラゲは味噌汁や鍋物に。20分ほど煮込むとトロトロに。白キクラゲ¥500(30g)※すべて税込価格

自分の住む土地の旬を食す。健康の本質はとてもシンプルなんです。

03 薬日本堂

提案型総合ショップで体験する、漢方ライフスタイル

1969年に創業した漢方専門店、〈薬日本堂〉が運営する、漢方にまつわるさまざまなことを五感で体験できる「ニホンドウ漢方ミュージアム」。スキンケア製品や健康食品など、漢方の知恵を活かしたアイテムが揃う「ニホンドウ漢方ブティック」には漢方相談ブースが併設され、体質や予算にあわせた漢方薬を選定してくれます。また、地階の薬膳レストラン「10ZEN」では、薬膳鍋のほか、お粥やスープ麺などがあり、美肌・デトックス・アンチエイジング・滋養強壮など、自身の体質や目的にあわせたチェックリストをもとにその日のメニューを選ぶことができます。

チェックリストの結果に基づき森田さんが選んだのは薬膳スープ鍋。オリジナルのスパイスブレンドで身体がポカポカに。

美味しくてヘルシーで大満足!

カウンセリング前に、チェックシートに記入しながら自分の身体と向き合います。

自分の身体を知る「漢方五臓チェック」

まずはカウンセリング前に、気血水と五臓のバランスを知るためのチェックシートを使って自分の身体の状態を知る作業をおこないます。チェックを入れた項目が多いタイプが自分のタイプ。森田さんの最近の身体のお悩みは、ここ4-5年で疲れが取れにくいこと、胃もたれがあること。生理時の経血の量など。ここから食事や睡眠時間など日頃の生活習慣について丁寧なカウンセリングを経て、現在の状態やこれから必要な体質改善について、漢方相談員・薬剤師の岸さんからアドバイスをもらいます。

舌の状態からこの日の体調をチェック。森田さんは色味がきれいで、少しだけ血流が崩れている状態でした。

エネルギーを補い、胃腸を整える!

チェックシートとカウンセリングによると、森田さんは特に「気虚」と「血虚」の傾向が強く出ているという結果に。

「気虚は、身体全体の巡りを支えるエネルギーが不足している状態。血虚は血行が悪くなり、顔のくすみやクマが気になったり、肩などのコリが強くなったりします。また、婦人科系の痛みが出やすくなることも。改善のためには、まずは『気』を補い、血をしっかり体内にとどめながら、巡りを整えていくことが大切です」と岸さん。

特に、胃腸の働きが少し弱っているようだったので、胃腸を元気にしながら、同時に気虚を改善する体質に合った漢方薬を提案してもらいます。

選定された漢方について、それぞれの生薬の基原、効能、薬味まで丁寧に説明してもらいます。

改めて自分の身体と向き合うことができました!

ご自身で続けやすい漢方を選ぶことも大切です

漢方薬は顆粒タイプや煎じ薬など種類もさまざまで、配合量や飲みやすさも異なります。今回は、続けやすさとのバランスを考え、分包された顆粒タイプをセレクト。自分の好みやライフスタイル、予算に合わせて取り入れ方もアドバイスしてもらえます。

まずは1ヶ月飲み続けてみます。効果が楽しみ!

Impressions

  • 上田 奈沙

    (ビームス宣伝課)

    自分の身体のことをもっとシンプルに考えよう!

    薬を処方されないという新しい提案に驚きましたが、とても信頼がもてました!
    巡りのよい身体のためには、まずはベースづくりが大切なので、季節や環境にあわせながらシンプルに自分の身体と向き合っていきたいと思います。

    PROFILE

    鹿児島生まれ、奈良育ち。プレス経験と関西でのBtoB担当を経て、今春より宣伝担当として再び拠点を東京へ。持ち前の好奇心から、美容や健康といった「心身を整えるメソッド」を片っ端から実践するのがライフワーク。仕事とプライベートの境界を飛び越え、自ら試して納得した「本当に良いもの」を探求することに情熱を注ぐ。
    @___nasa73

  • 森田 麻衣子

    (Pilgrim Surf+Supply ウィメンズディレクター)

    信頼のおける、自分のためだけの処方

    ずっと取り入れてみたかった漢方にようやく触れることができました。きちんとカウンセリングをして私だけのために処方していただいたというのが心強いですし、安心して飲めます。改めて自分の身体と向き合うよい機会になりました!

    PROFILE

    東京生まれ。〈BEAMS BOY〉のショップスタッフ、プレスを経て、2017年より〈Pilgrim Surf+Supply〉のウィメンズディレクターに就任。鎌倉を拠点に、ヨガや登山などアクティブで自然と調和するライフスタイルを実践中。一児の母としての顔も持ち、ヘルシーでしなやかなスタイルにも定評がある。
    @maikomorita

Photographer: NINA, Text: Mana Soda, Creative Direction: jeep creative department.

BACK TO Hi! Professional!

Category

  • Hi! Professional!
    Hi! Professional!

    教えて! 美のプロフェッショナル!

  • Brand Tour
    Brand Tour

    注目ビューティブランドのほんとのところ。

  • My Best Beauty Gadget
    My Best Beauty Gadget

    みんなのビューティガジェット。

  • Try!
    Try!

    気になるビューティコンテンツ、やってみた。

  • TOPICS

    ビューティなこと、いろいろ。