Fashion

Be Athlete

コンテンポラリーダンサー、
柿崎麻莉子のファッションストーリー。

Fashion story with Mariko Kakizaki,
a contemporary dance.

2020.07.24

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解放するココロとカラダ、

結びつくファッション。

FEATURE : MARIKO KAKIZAKI | 柿崎麻莉子(コンテンポラリーダンサー)

“新しい服を着ると、自分の想像してなかった動きになる。”

"ダンスと音楽と服を分けることに、魅力を感じない。"

"アスリートって、言葉と体が繋がっている気がする。"

"服をきれいに見せるのではなく、服を使って自分を表現している。"

My thoughts.

柿崎麻莉子さんは、世界中から志願者が集まるイスラエルのバットシェバ舞踏団の門を叩き、グローバルで活躍しているコンテンポラリーダンサー。ディオールのショーにもダンサーとして参加するなど、パリコレにも出演している。しかし服を美しく魅せるためにポージングするファッションモデルではなく、精神と身体の末端までを使って踊る表現者。だから服によってヘアやメイクが変わるように、動きも変わる。柿崎さんにとってはスカーフがあればそれがインスピレーションになり、スニーカーがあればそれが象徴的な動きになる。窮屈な服であればそういった制約の中から生まれる表現がある。

 

現場では、自由にカラダを動かす彼女をひたすら撮る、の繰り返し。彼女は自分のiPhoneをスタジオの音響につなげ、衣装が変わるたびに服からイメージされる音楽を自由にかける。静寂なエリック・サティの「ジムノペディ No.1」に始まり、ハイテンションなシーロー・グリーンの「フォゲット ユー」に終わった即興プレイリストの幅の広さは、服に対する彼女の感受性の豊かさを物語っていて、身体を動かすこととファッションの楽しさが結びついていることを感じた。

 

環境が作り出す自然のリズムと、生命のリズムがシンクロシティを生み出すことへの心地よさは「森林浴に似ているのかも」と柿崎さんは言う。スポーツとは、一般的にサッカーやバスケットボールや野球といった体力的競技を指しがちだが、かつてイギリスでは乗馬や釣りや狩猟をスポーツと言った。語源はラテン語の「Deportare」で、日々の生活から離れること、気晴らしをすること、楽しむ言葉が転じ、省略されて「Sport」になっている。身体をハードに動かして競うことがすべてじゃない。大好きなファッションや音楽が、心と身体に自然と結びつくことで、自分のキャラクターを表現できること。その夢中になれる瞬間に、スポーツのヒントがあるような気がする。

Profile
  • 柿崎麻莉子

    MARIKO KAKIZAKI

    コンテンポラリーダンサー

    1988年生まれ香川県出身。2012年、イスラエルのダンスカンパニー「Batsheva Dance Company」に所属。2015年より現在の「L-E-V Sharon Eyal | Gai Behar」に所属し、世界中を回る。公演活動と並行して世界各地でワークショップも行っている。2011年韓国国際ダンスコンペティション(KIMDC)にて金賞を受賞。2014年Jerusalem Dance week competitonにて振付作品『Golem Couple』が受賞。2013年度香川県文化芸術新人賞を受賞。KAGAWAアンバサダー。

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Photo : Keita Goto[W]
Styling : Itsumi Takashina
Hair & Make-up : Hiroko Ishikawa
Edit & Text : MANUSKRIPT

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