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飯塚さきの「雪駄の足音」

The Sound of Setta

2025.07.10

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文・飯塚さき

 

はじめまして!相撲の本や記事を書いております、相撲ライターの飯塚さきと申します。174cmの長身に胡坐をかき、ファッションにはあまり頓着なく生きてきてしまった私ですが、このたびなんと〈BEAMS SPORTS〉にてコラム執筆の機会をいただきました。私が普段、力士や親方衆、裏方さんら角界の皆さんと見ている景色を通して、大相撲の魅力や楽しさをお届けできればと思っています。

いきなりですが、あなたは大相撲を生で観戦したことがありますか。ここ数年、インバウンド観光客の増加を含め、相撲人気が急上昇しています。チケットは毎場所、発売からなんと10分足らずで15日間全日程が即完売。関係者でも入手困難で、プレミア化しています。

 

今月13日から始まる名古屋場所では、1月に横綱に昇進した豊昇龍関に加え、新横綱となる大の里関が東西の綱を張り、ますます盛り上がること間違いなし。さらには、新設されたIGアリーナに会場が移り、この名古屋場所がこけら落としになるとのこと。真新しい会場で新横綱を迎える場所とあって、ますます目が離せません。

 

  • ニッポン放送で初めてのパーソナリティー。スポーツアナウンサーの松本秀夫さんと

  • 両国国技館で英語の生解説も

さて、私が初めてお会いする人10人中1000人に聞かれる質問「なぜ相撲ライターになったんですか」をひとまずここで解消しておきます。

 

きっかけは、相撲好きな父や祖父母が中継を見ていて、物心ついたときから場所中はNHKがついていたという“好角家あるある”。加えて、3つ下の弟が、小学1年生から大学卒業まで相撲をやっていたためです。週末は弟の稽古についていき、大会があれば全国津々浦々、家族旅行がてら弟を応援しにいくのが日常でした。大相撲中継もよく見ていて、平成元年生まれの私はどっぷり朝青龍世代。思い返せば私の人生には常に相撲がありました。

 

幼い頃から、読書家の母の背中を見て、自分も本の虫に。母と共にせっせと図書館に通い、年間1000冊読んだ年もあったほどです(陽キャながら趣味が根暗)。そのうち書くことも好きになり、将来は作家になりたいとぼんやり思っていました。まさか相撲と文筆がかけ合わさって生業になるとは思っていませんでしたが、おかげさまで気づけばもうこの仕事をして7年が経っています。

  • 本場所初日の前日の土俵祭の様子。土俵に神を迎え、無事に15日間本場所を開催できるよう祈ります

  • 昨年TBS『マツコの知らない世界』にお相撲さんたちと出演

  • 普段のインタビューの様子。写真は元大関・魁皇の浅香山親方と

相撲の魅力は、神事の面とスポーツの面、その二軸にあると常々思います。試合の前に、神に祈りをささげるスポーツがほかにあるでしょうか。美しい土俵入りや仕切りを重ねる所作、そのひとつひとつに、邪気を払い、五穀豊穣を願う神事の心が込められています。

 

そして、なんといってもその迫力。頭と頭でぶつかり合う「ゴッ」という鈍い音は、何度聞いても鳥肌ものです。鍛え上げられた力士たちの大きな体。一瞬に込められる闘志。毎場所繰り広げられる優勝争いのドラマ――。日々想像を絶する鍛錬を重ね、15日間の長い戦いに臨む力士たちのカッコよさに、一度気づいてしまったらもうおしまい。沼から抜け出すことは困難を極めるでしょう。

 

まずはぜひ、テレビで相撲中継を見てみてください。現在は、AbemaTVで序ノ口の土俵から放送されているので、出先でもスマートフォンなどで気軽に見ることができます。角界では「贔屓」といいますが、ご自身の“推し”力士をつくるのがおすすめ。出身地が同じ、顔がタイプ、体型がカッコいいなど、理由は何でもOKです。贔屓をつくれば、ますます応援に熱が入ることでしょう。

  • 巡業で阿炎関と。私が抱っこしているのは元・照強関の子(笑)

  • ほぼ同時に引退した元関脇・妙義龍の振分親方(左)と、元関脇・碧山の岩友親方と、インタビューを兼ねて食事に。この北京ダックが非常においしかった

  • 仲良しの錦木関。2月に私の新刊『おすもうさん直伝!かんたん家ちゃんこ』出版記念イベントにも一緒に出てもらいました

次回のコラムからは、土俵上では闘志あふれる力士たちの普段の素顔も紹介しながら、彼らの魅力をお伝えします。ファッションに関しては新弟子の私ですが、力士たちの素敵な和装も紹介したいです。

Profile
  • 飯塚さき

    SAKI IIZUKA

    1989(平成元)年生まれ、さいたま市出身。早稲田大学国際教養学部卒業。ベースボール・マガジン社に勤務後、2018年に独立。『相撲』(同社)、Yahoo!ニュース、『Number』(文藝春秋)などで執筆中。新刊に『おすもうさん直伝!かんたん家ちゃんこ』。ほか著書『日本で力士になるということ 外国出身力士の魂』、横綱・照ノ富士の著書『奈落の底から見上げた明日』。2024年TBS『マツコの知らない世界新春SP』に貴景勝ら力士と共に出演。同年9月場所では、両国国技館内のインバウンド向け英語生解説を担当。2025年ニッポン放送『飯塚さきの いま大相撲がおもしろい!』でラジオパーソナリティーデビュー。

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