VOL.

A TOTAL OF 17 STORIES ABOUT WOMEN WHO LIVE THEIR
EVERYDAY LIVES WITH A SENSE OF CURIOSITY AND FRESHNESS,
BROUGHT TO YOU BY THE MODEL MAKIKO TAKIZAWA.

ISSUE

2019.09.13 UPDATE

VOL.02

「環七から水平線」
菅原 敏

岬の突端にもかかわらず

「この先、さらに直進です」

そんなことを言うものだから

新しい靴でアクセルを踏み込み

波をけって朝焼けを目指す

魚の群れを追い越して

くじらの背中をいくつか越えて

珊瑚の街までひた走る

 

「この先、水平線を左折です」

知らない国のラジオが流れ

トランクの中から聞こえる鼻歌

波しぶきに踊るワイパー

 

「まもなく、目的地です」

私は波間に車を停めて

秋の深さの海原で

ガラスの小瓶を遠くに投げる

 

 

PROFILE

MAKIKO TAKIZAWA

VERYの表紙モデルを経て、2020年4月より創刊される「VERY NAVY」を新たな活躍の場に。〝お母さん業〝が大好きと言い切る彼女のライフスタイルは、愛情とセンスでいっぱい。3児の母。特技は貼り絵、飾り巻寿司など多彩!

BIN SUGAWARA

詩人。2011年、アメリカの出版社PRE/POSTより詩集『裸でベランダ/ウサギと女たち』で 逆輸入デビュー。執筆活動を軸に、異業種とのコラボレーション、ラジオやテレビでの朗読、アメリカ、ヨーロッパ、ロシアでの海外公演など広く詩を表現。Superflyや合唱曲への歌詞提供、東京藝術大学大学院との共同プロジェクト、美術家とのインスタレーションなど、音楽や美術との接点も多い。現在は雑誌「BRUTUS」他で連載。近著に『かのひと 超訳世界恋愛詩集』(東京新聞)。東京藝術大学 非常勤講師。

Model: Makiko Takizawa (NLINE) / Photo: Takanori Okuwaki (UM)

Hair: Koichi Nishimura (angle management office)

Makeup: Kazuko Hayasaka (W) / Styling: Takashi Ikeda

Location: keigoFukuda (A PLUS) / Edit: Kenichi Aono (BEAMS)