出会えた好きを大切に。

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    調査隊コラム
    伊藤万理華「全部私が抱きしめてあげる」。自分を味方につける生き方

    「調査隊コラム:好きなものの愛し方は人の数だけ。」vol.4

    MARIKA ITO
    インタビュー・テキスト:羽佐田瑶子撮影:小林真梨子 インタビュー・編集:野村由芽 

    Mar 11.2020

    信じられるのは自分しかいない。

    「人と比べてしまうこともある」と語られていた伊藤さんですが、「ファッションの専門用語も知識も多くない」と話しながらも、自分の好きを信じられる強さの源はどこにあるのでしょう? 誰かと比べてしまう気持ちとどう対峙されてきたのでしょうか。

    伊藤:人と関わると比べたくなるし、でも人と関わらないと生きていけない。そんな中で、信じられるのは自分しかいないじゃないですか。特に、「好き」は絶対的な答えがないものだから、自分の中にあるものが正解だと思います。

    私は、知識よりも情熱が勝つと思っていて。徹底的に考えてしまうタイプなので、例えば「どうして私はこの映画が好きなんだろう?」と、自分の中で追求して考えるんです。私も誰かと比べられてしまう経験も比べてしまう経験もたくさんありましたが、自分で納得した答えを出せているのであれば、好きな気持ちを他の人と争う必要はないと思いたいです。「私はこういう理由で好きだから、あなたの思い方とは違うけどね」って。物事はいろんな観点で見られて素敵なものになっていくはずです。

     

     

    暗くてネガティブな性格も、踊ることや表現することが好きな明るい性格も、全部「私」が抱きしめてあげる。

    お話を聞いていると、自分自身の気持ちを主観的につぶさに観察されている部分と、一方で俯瞰して客観的に自分を見る視点を持っている印象を受けます。普段から、自分の気持ちをどのように整理されているのでしょうか?

    伊藤:日記も続かないぐらい、言葉にすることが苦手なので、自分の中でひたすら悩んで考えることが多いです。信頼できる人に相談することもありますが、これまで卒業や個展など、大きな出来事は全部自分で決めてきました。どう見られているか、見られたいか、何をして生きていきたいか。客観と主観の視点をどちらも持つこと。特に客観的な視点に目をそらさないことが大事だと思います。

    例えばグループにいた時は、性格もネガティブな部分が大きかったり、ニッチなものが好きだったりしながらも、一方でアイドルは明るくなければいけないという気持ちがあって。「まりっか」と自分自身を表現することに最初は戸惑いもありました(笑)。でも、ご縁があって歌が生まれて、それを褒めてくださるファンの方がいて。自分の中の明るい部分も肯定できた時に、心がすごく軽くなりました。自分が好きな世界だけではなくて、周りが評価してくるものから逃げないで、どちらも自分の個性だと認めることができたんです。

     

     

    伊藤:それで、2017年の個展で二つムービーを作りました。一つは、暗い部分をぶつけた作品。もう一つは、肯定する気持ちを教えてくれたファンのみなさんへの感謝を伝えるために急遽作らせてもらった“はじまりか、”。片方の私じゃ、私は存在しないんですよね。暗くてネガティブな性格も、踊ることや表現することが好きな明るい性格も、全部「私」が抱きしめてあげることで気持ちが楽になりました。

     

     

    境界線はつくらず、自分の心をやわやわの状態に保っておきたい。

    周りの声に耳を傾け過ぎると、自分を見失ってしまいそうになることもあるのではないかと思います。数多の選択肢から心地いい場所を作っていくために、伊藤さんはどんなことを大切にしながら自分の気持ちを守っているのでしょうか。

    伊藤:なんでも、境界線を作りたくないと思っています。アイドルの時に、歌も踊りもモデルも役者もバラエティも、枠に関係なく経験させていただけたので、余計にそう思うのかもしれません。私は、どちらかと決めつけないで自分を保っていきたいです。

    あと、いただいたアドバイスを聞けるように心の部分は柔らかくしておきたいです。私の軸はやわやわですね。ただ、柔らかいだけで自分は変わらないこと。本当の味方は自分だと信じたいです。

    ファッションだって、可愛い服もかっこいい服も着たいし、メイクする日としない日があっていい。区切られちゃうと悲しいんです。でも肩書きにとらわれず、自分の大切なことを守っていればいい。次第に、映画も個展もどちらもやっている自分自身が重なって、伊藤万理華として認知されたら理想的です。

     

     

    読者と伊藤万理華さんのQ&A。「好きなことは趣味でいいとよく大人は言うけれど……」「周りの意見に流されずに、一度やってみて」

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    PROFILE

    伊藤万理華MARIKA ITO

    1996年2月20日、大阪生まれ、神奈川育ち。乃木坂46卒業後、女優としての活動に加え、雑誌「装苑」で手描きコラム連載、PARCOでの個展を2度開催するなどクリエイターとしての才能も発揮。心斎橋パルコオープニング映像企画「真夜中は女の子」、パルコ劇場初の朗読劇「仮面夫婦の鑑」など映像、舞台など幅広く活躍。2020年、「第33回東京国際映画祭」で主演映画「サマーフィルムにのって」(2021年公開予定)が特別招待作品として上映。

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