豊かな森と生きる現代の工芸家。
九州の最南に位置し、暖かな気候に恵まれた鹿児島エリア。
ここを拠点に活動する同世代の工芸家、アキヒロジンさん(AKIHIRO WOODWORKS)、城戸雄介さん(ONE KLIN CERAMICS)、
盛永省治さん(CRATE)は、鹿児島の風土を生かしたものづくりと日々、向き合っている。
地方で暮らすことで分かる土地の魅力とは?
今回のイベントのために製作した別注アイテムのこと、地元で製作を続ける理由、そして3人の今後の展望について話を伺った。
まずは「STAND 九州」でリリースするアイテムについてお聞きします。今、人気の「セトモノKIKISA」はアキヒロさんの「KIKISA」を城戸さんが磁器でつくったもの。このアイディアはどうやって実現させたんですか?
アキヒロ:実は前々から、城戸くんと一緒にものづくりができたらいいなと思っていました。良いタイミングで機会が巡ってきたな〜と感謝しています。作業工程はシンプル。まずは僕が原型をひとつ作り、城戸くんに見せて改善点があれば直していくという流れです。2回目くらいでもう出来たのかな。
城戸:うん。陶磁器で作る時の違いの一つに、型取りがあります。ジンは型取りのことを考えずに作っていたので、型を外すときの要領を考え、持ち手の形状を工夫してもらいました。あと焼くと収縮するのでその分、(型は)大きく作ってもらっています。
完成した時はお互いにどういった反応だったんですか?
城戸:おっ、いいね!って感じでした。
アキヒロ:いやいや、僕はめちゃめちゃ感動しましたよ(笑)。自分が手を動かさないでモノができた! って。ただ、素材が木から陶器に変わったことで熱を感じるようになった。持ち手の構造は今後、もっと改良していきたいですね。
盛永さんの場合は、ご自分の作品を<PALM GRAPHICS>と<GELCHOP>、2組のアーティストにリデザインしてもらったんですよね。
盛永:はい、僕はただ、双方に送っただけなんです(笑)。もう、どうにでもしてください、と。
アキヒロ:盛永省治がキャンバスになったみたいで、いいよね。新しい世界って感じがする。
盛永:実は<PALM GRAPHICS>の豊田さんには5〜6年前にも同じようにペイントしてもらったことがあるんです。今回、「前よりもすごいものが送られてきた」って言ってもらえて嬉しかったですね。自分の作品に人の手が加わり、新たに生まれ変わることは、なんだか新鮮な気持ちになりますね。
城戸:僕は今回、BEAMSチームからの提案を受けて、火山灰を使った黒い釉薬シリーズの燭台を作りました。カップの蓋部分にそのままキャンドルが固定できるようになっています。つまり、食器がそのまま燭台になっているので、これだけでテーブルセッティングができるというのが面白い。“キャンプに持っていける”という裏テーマがBEAMSらしいですね。
地元、鹿児島で作品づくりをすることの利点に関してはみなさんはどうお考えですか?
城戸:鹿児島は木工や陶芸だけでなく、革や鉄などいろんな素材を使う同年代の作家が多いんです。彼らと交流するなかで化学反応というか、思いもよらないアイディアが生まれるのが面白い。今回、ジンと一緒にカップを作ったのも、いい経験になりました。それぞれ違う素材を扱う作家がいるということは、モノづくりするうえで良いインスピレーションを与え合える環境だと思います。
なるほど。アキヒロさんは?
アキヒロ:地元だから、という一言に尽きますね。僕の場合は木を使うんですが、鹿児島の木材には個性がある。地元の土地と木を考えたうえで、どんなものづくりができるか、これからももっと考えていきたいです。もともと生まれ育った場所だから、その土地の空気感を知ってることは大きいかな。だって、なかなか思えないですよね、そこにある木の形を追求しようなんてことは。
盛永:木のことは彼が言ってくれました(笑)。僕は普段から、基本的に一人で作業しています。なので、丸太を運ぶおじちゃんや木くずを持って帰ってくれる親切な業者の人、そういう人の良心で仕事が成り立ってきたと思っています。それはどこでも一緒かもしれないけれど、鹿児島人ならではの人の良さがあるような気がします。初めて会う人でもよくしてくれるし、親切な人が多い。もし、木くずを回収してくれる人がいなくなったら捨てるための経費が大きくなるし、もし、丸太を持ってきてくれる人がいなくなったらもう仕事ができなくなる。もともと全然知らない人たちだけれど、僕は勝手にみんなでチームだと思っています。
みなさん、次に作りたいものの構想はすでにあるんですか?
城戸:今までずっと、桜島の火山灰を使った釉薬で黒いシリーズを作ってきましたが、いうならばそれは表面だけのこと。もっと鹿児島ならではの作品を模索するために、山に土を掘りに行き、その土を使って一から自分で作り上げる陶器シリーズを考えています。もちろん、今回BEAMSとコラボレートした燭台のような、自分じゃ考えつかないアイディアのものも作っていきたい。自分と違う視点が加わることで全く想定しなかった新しい閃きが生まれるので、周りの人との関わりは持ち続けていきたいですね。
アキヒロ:僕はちょうど今、自分の家をDIYで作ってるんです。
盛永:DIYっていうか……、プロだけどね(笑)。
アキヒロ:でも家一つって考えると、やったことのないことがたくさんあるものでさ。完成予定は11月なので「ash」*で自宅の内覧会を行う予定です。実は今年の1月で「ジンカップ」が生誕10周年を迎えました。有り難いことに、今までは「ジンカップ」の注文にずーっと追われていたんです。今、ようやく解放されて、第一期ジンカップは終わりかなと思っています。さて、これからの10年は何を作るか……、それはこれから考えます(笑)。今は家のことしか考えられないな。それに「ash」の実行委員会が忙しくて、ここ何年かは自分の作品を出せていなかったので、次は新作を出そう! と思っています。楽しみですね。
「ash」*…鹿児島のクラフトフェア「ash Satsuma Design and Craft Fair」
盛永:僕は今正直迷っていて、手が止まっています。もっと大きいものをつくり続けていくのか、もっと量産できるものを作り続けるか……。
アキヒロ:デザイナーになるのか、アーティストになるのかってこと?どっちもが理想だよね(笑)。(小声で)それこそ、量産のものは城戸さんに作ってもらえばいいさ。
城戸:うちが人のデザインのものばっかりになるわ(笑)。まぁ、でもそういうのもお互いに協力すればいくらでもできるから、自分が本当にやりたいものが見つかったら、周りはいくらでも協力すると思います。
アキヒロ:うん、ほんとに城戸さんさえよければ僕はこの陶器との世界を広げたいと思ってるかな。
城戸:うちは構わないよ。省治さんみたいに、省治さんしかできないものではなくて、型を使うことで人手に頼りながらできるので、そういうものはやりやすいかな。みんな、アイディアがあればぜひやりましょう。
アキヒロ:今までは1から10まで、自分の手で作れるものしか考えてなかったけど、全く違う可能性があるし、面白さが広がるね。
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2017. 3/29.wed - 4/11.tue
2017年3月29日(水)〜4月11日(火)
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2017. 3/29.wed - 4/4.tue
2017年3月29日(水)〜4月4日(火)
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2017. 3/29.wed - 4/4.tue
2017年3月29日(水)〜4月4日(火)
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