FEATURE

2022.09.28

“つづく”は環境問題だけじゃない
自分が心地よく毎日を過ごす
ために必要なことだと思うんです

地球に、人に、動物に優しいことを、と言われるとなんだか壮大で難しそうだし、建前だけじゃ続かない。
でも、ワクワクを諦めたくない私たちにだってほんの少し視点の切り替えをするだけでできる何かはきっとあるはず。
そんな“つづく”のリアルなヒントをBEAMSスタッフの日常から切り取る連載企画。
今回登場するのはBEAMS本社でイベントプランナーとして働く前田瑞貴。
アメリカで強く刺激を受け、その経験をいかして日本でも“つづく”を実践する姿をご紹介します。

 

「今、“つづく”という視点で興味のあること、それはセックスエデュケーションです。生理や性交渉のことを口に出すことは恥ずかしくないと小さい頃から母に教えられて育ったのですが日本ではタブーとされることがとても多いと感じています。でも、“性”って” 生”に関わること。子どもの頃からもっとオープンに、もっと正しく伝え、関心が広まることが大切です。どうしても受け身になったり弱い立ち位置になったりしがちな女性にとって、この国が持続可能な生きやすいクールな場になるために必要だと感じています。そんな理由で時間を見つけては、関連するサイトをチェックしたり、フェムテックを扱う店をのぞいたりして最新の情報を得るのが私の日常。ビームスでもまずは社内から理解を深め、何か発信できるようなことがないのか考えていきたいですね」

 

 

この場所は六本木にあるNY発祥の店、「New Stand Tokyo」。NYに行った際に見つけ、セックスエデュケーションやフェムテックを具体的に意識するきっかけとなったショップでもあります。「fermata」というフェムテックのお店の直営店でありながら、同時にフェムテック以外のエコな生活用品も置いているので、情報収集できる場のひとつとして休日に足を運んでいます。

New Stand Tokyo https://shop.newstand.jp
港区六本木7-2-8
営業時間 12:00-19:00(月〜木、日曜) 12:00-20:00(金曜)
定休日 火、土曜

 

 

実際に私が使っているフェムテックアイテムたちです。様々なところから情報を得ていますが、例えば生理用品でいうと<AUGUST(https://www.itsaugust.co)>のCEOでもあるNadya Okamotoさん(https://www.instagram.com/nadyaokamoto/)やコンドームの携帯などを提唱してるKyokoさん(https://www.instagram.com/kyoko_ordinary/)などは同世代でとても共感できる存在です。また、プロダクトだけでなく『SEX ED. FOR ALL(性教育を全ての人に)』というセックスエデュケーションを促進する団体などを応援し、映画や音楽の観点での活動も行うMaude(https://getmaude.com)にも注目しています。

ベスト/祖母のお下がり
スカート/NYCで買った古着
シューズ/Ray BEAMS × Adidas Super Star
バッグ/Coming of Age NYC

 

 

「私が持続可能な社会について具体的に関心を持つようになったのは、4,5年前にNY近くのバッファローという場所に一年間留学したのがきっかけです。その頃はNYでサステナビリティブームがピークを迎えていた時期。フェムテックについても意識の高まりを感じました。大学の寮ではドネーションボックスが設置され、もう着ない服を洋服に困ってる人へ寄付。もう使わなくなった家具や家電を寄付し、みんなでリサイクルしていくのが当たり前。そのおかげで学生たちは無駄に新しいものを買うことがグッと減ります。また、今や日本でも見掛けられますが、オーガニック専門のスーパーがたくさんあることもその時は衝撃的でした。自分の身体にも環境にも優しいものばかりが売られているってなんだかすごいこと。毎日の行動が、自分のだめだけじゃなく誰かのため、環境のためになるってなんて素晴らしいことだろうと感じる毎日でした。 帰国後もそういった生活を少しでもキープしたいという気持ちは続いています。でも大きなことをしようと頑張ってしまうのではなく、日常で自然にできることをしたい。例えば私なら、自転車を利用するのは休日のちょっとした短い時間だけ。わざわざ自分用に購入しなくても、シェアすればお財布にも優しいし地球にも優しい。こうしてシェアサイクルを利用するのもひとつの素敵なアイディアだと考えています。」

 

 

私が利用しているのは『HELLO CYCLING』というサービス。使うときにその場でアプリから予約しています。提携しているステーションなら乗る場所も返す場所も自由。家からすぐの場所にもあるのでとっても便利です。

 

 

フェムテック系アイテムと初めて出会った「BULLTEIN」というニューヨークエンパワーメントのストアと「by CHLOE」というバーガーショップで食べた初めてのヴィーガンフード。(今は「BEATNIC」というヴィーガンレストランに変わっています。)留学先では“つづく”に関する様々な初めての出会いがありました。

シャツ/Christian Dior Sports (古着)
デニムパンツ/Lee (父の若いときのお下がり)
シューズ/Opera National de Paris
ベルト/BEAMS BOY

 

 

「留学以外にも影響を受けた場所や人が存在します。まずは家族。性教育のことでは母の影響を受けましたが、父のものを受け継いで今大切にしているものがたくさんあります。例えばレコード集めが趣味だった父からの影響で当時の音楽に触れたいと思い、 自分でも時間を見つけてはお気に入りを探しにいくようになり、コロナ禍ではレコードをかけることで気持ちが安らぎました。また、自転車のシーンで穿いているデニムパンツもそうなのですが、父や祖母から譲り受けたお気に入りの洋服もいくつもあるんです。どちらも、父が購入した時から数十年も大活躍してくれていると思うと、一層愛おしく感じます。家族以外では、日本に戻ってきたとき、せっかくなら環境のことを考えた場所でアルバイトをしたいと探して働かせてもらった「LUSH」での経験は今でも大きいですね。熟考されたリサイクル可能なパッケージやエシカルな製法のプロダクトはもちろんのこと、そこで働く方たちも意識の高い方ばかりでとても刺激を受けました。その頃から今まで、ずっと<LUSH>は愛用しています。

 

必要な量だけの石鹸を買えるサービスがあるのも<LUSH>の良いところ。量り売りしている店舗は限られているので、必要に応じて買いにいくお店を選んでいます。

 

 

「日常生活で一番消費をするものは食事。そう考え、留学先でもかなり多くのスーパーマーケットを積極的に訪れて、それぞれの店の特徴などについて自分なりに研究をしました。一人暮らしだと量の多い食材はどうしても余ってしまう。だから、日本に戻ってからも少し高くても長持ちするようなものや少量のものを選びたい。そう思っていたところ、家から自転車で行ける距離の場所に量り売りのお店がオープンし、よく買い物に行くようになりました。他のスーパーでも敢えて18時以降に利用し売れ残りの食品を買ったり、すぐに使いきるものは消費期限の近いものを選んだり…。そういったものは値引きされていることもあり、お得感と食品ロスを減らすことに貢献できるという充実感を同時に味わえるのも嬉しいです。食品だけでなく、日用品を選ぶときにも可能な中で環境に配慮した選択を。“心地よく関わる”というのが“つづく”を長続きする方法だと思うので無理をしないというのも大切だと感じています」

 

 

食品を保存するときに使い捨てのものを使用しないよう、コンテイナーや<Stasher>、ミツロウラップの<Bee Wax Wrap>など使用しています。最近になってミツロウの袋タイプをみつけ、とても重宝しています。洗剤関連は掃除の際は自然由来の洗剤やクレンザーなどなるべく地球に優しいものを。<ル・シェンヌ・エ・ル・ロゾー>のベジタブルスポンジは売上の1%が貧しい人々を支援する団体に寄付されるところも気に入っています。

 

 

 

できるだけミニマム暮らすのも“つづく”に貢献できることのひとつかもしれません。水はペットボトルを買うより少しだけプラスチックゴミを減らせるタイプに(写真上)。キッチンの引き出しの下段はゴミ箱を入れ分別しています。

 

Tシャツ/ Blindness × The Met Store The Camp Collection
パンツ/Vivienne Westwood Red Label
ソックス/BEAMS BOY

 

これからの私の”つづく”

“自分の心地良い”と“社会や環境の心地良い”のバランスをうまくとっていけるように今後も生活していきたいです。また、自分がプランニングしたり関わるイベントでも意味のあるアクションを組み込めるように企画していきたいです。

 

Mizuki’s recommendation list

ECOSIA

自分が検索した際に発生する広告費が木を植える費用に使われる検索エンジンです。ただいつもの検索をこのサイトにするだけで地球に良いことができるので、知ってからは毎日活用しています。サイトは英語ですが、日本語検索もできるんですよ。https://www.ecosia.org/

yoi media

集英社によるウェブメディアで「体・心・性」に関して、発信してくれます。日本でもこうやって少しづつ発信力の有るメディアが動いてくれるのは嬉しいです。https://yoi.shueisha.co.jp/

reing living

「個」のあり方を自由に表現出来ることを尊重するクリエイティブスタジオ。インスタでは、日頃違和感を感じていることへの考え方や捉え方にはっとさせてくれるコンテンツばかり。https://www.instagram.com/reing.living/

ETHICAL CONVENI

伊藤忠商事が行っているエシカルなコンビニ。環境、教育、経済、ジェンダーなど取り組み難い内容を普段の生活にも取り入れやすいようなアイテムを扱ってるのも魅力的。https://ethical-conveni.com/

 

PROFILE

  • Mizuki Maeda 前田瑞貴ビームス イベントプランナー

    1997年兵庫県生まれ。2020年コロナ禍の入社同時にビームス 大宮へ配属。現在、イベントプランナーとして本社で勤務。音楽やアート、文化の繋がりにを深堀りするのが好きで大学時にアメリカへ留学。私的女性アイコンはSade Aduが今の気分です。

Photo:Mai Kise Direction:Takako Shirasawa